葬儀会場は、彼女の地元の県の大きな市内よりも、離れた山の中にあり、


のどかな、田舎のかおりがする場所だった。


彼女の生まれ育った場所は、もっと離れた田舎だと聞いた。





通夜も含め、250人もの人が集まり、多くの人に見送られて彼女は旅立つことができた。


東京にも葬儀には参加できないけど、彼女を偲んでいる人はたくさんいる。


彼女の人柄が本当によく表れていたと思う。





「しっかり、かたちとお別れしておいで・・・。


葬儀は ありがとう を伝え 遺されたものとして、しっかりと生きていく決意表明をする場だから・・・・」



そういって、送り出してくれた人がいた。





葬儀の前日の夜。


亡骸に対面することと、お別れがつらくて・・・・


母に電話して大泣きした。








棺が開けられ、献花をする。




(いやだよ・・・どうして?・・・なんでだよぉ・・・ごめんね・・・)



頭の中には、そんな言葉しか出てこない・・・・・



でも、顔見れるのはこれが最期じゃん・・・    



まだ  淡い期待していたから、 CDには入れられなかった言葉があるじゃん・・・




今、言わなきゃ   もう  届かない  かも しれない





「・・・ ・・  ・・・  ・・・・ありがとう、・・・・・・ありがとう、・・・・・・ありがとう!!!」







彼女の横に付き添ってた、彼女にそっくりのお母さんが、


「ほら、ありがとうってよ。聞こえてるよね。ありがとうってよ・・・。」


その横顔に胸が張り裂けそうだった。




でも、やっと言えたよ。        お母さんが一緒に伝えてくれたし、    届いたよねぇ・・・






彼女が大好きだったスヌーピー。


その大きなぬいぐるみを、献花に集う人々に紛れ


そっと棺の 足元に入れた旦那さんの横顔



泣き崩れて、棺から離れられない 彼女の 地元の幼馴染みらしき女性



一所懸命 孫に 念仏唱えるおじいちゃん



気丈にも明るく振舞いつつも


そっと 棺を のぞいて


「・・・お母さんよりも早く逝くなんてねぇ・・」    って つぶやいた お母さんの うしろ姿





どれもが鮮明に脳裏に焼きついている




心は辛くて苦しくて、 顔は涙でぐちゃぐちゃなんだけど、


頭の中で 冷静に その瞬間 、瞬間を 切り取ってる、自分がいて



心と頭は別の存在なんだと  漠然と感じた。




ご家族のお気持ちで、


東京から来た私達も含め、親族友人30人近い人たちが


お骨拾いまでさせてもらった。


わたしにとってはじめての経験だった。




「本当に今までがんばったねぇ、ゆっくり休んでね・・・。


東京にいるみんなも会いたがってたよ・・・・


これから頑張るから見守っててね・・・・。」




最期の最期に彼女にかけた言葉だった。



ありきたりな言葉なんだけど、


何事もあきらめずに全力で走っていた彼女に対して、


そして、本気でそうして欲しいと思った 素直な言葉だったと思う。





暖かい 湯気のような煙が 立ち上っていた。



そこには もう彼女は いなかった。



その瞬間に 「あぁ、ほんとうにかたちとのお別れだったんだ」  


もう  いない んだ、 ってわかった。




たぶん 薬品が混ざってるんであろう、この石鹸のようなかおりを嗅いだら


このときのこと、また思い出すんだろうけど・・・・・



初めての作業に、はしを持つ手が少し震えてたけど


お骨からは 何も 感じず、思い出せなかった。



彼女が旅立ってしまった世界と 遺されたもののいる 世界の境界線 を知らせる


これは 儀式 なんだ。




そう思えばおもうほど、


本当に最期の最期だったけど 顔を見て、触れることが出来た あの瞬間は尊いものだと思えた。


前日、怖くて泣いたけど・・・・


話が出来なくても、まだ鼓動のあるうちに会いたかった・・・と悔やんだけど・・・・



来てよかった・・・少しだけ、救われた気がした




そして、顔を見て 「ありがとう」 と伝えさせてくれた旦那さんとご家族に


心から感謝しています。









 


















当時親交のあったメンバーがみんな集まるのは、4年ぶりだった。


懐かしい話に花が咲き、近況を報告しあい、彼女と過ごしてたあの時とおんなじ空気のまんま


楽しい時間が流れた・・・・



メッセージを録るために、はじめてスタジオを借りた。


慣れない雰囲気に、緊張して・・・


マイクを前にしたら余計想いが溢れて頭の中いっぱいになって・・・


言いたいことの1割くらいしか言えなかったかも・・・


みんなも緊張しつつも、思い出や願いをこめてくれた。


彼女はやっぱりみんなとの思い出の中でも、何気なくも楽しませてくれ、明るく暖かい人だった。



みんなのメッセージの願いはひとつ・・・・・


「キセキを信じてる・・・」





みんなが集まるまでは正直不安だった。


メッセージCD作って、持ってくなんてご家族にとって反って酷なことなんじゃないのか・・・


自分のやろうとしてることは、誰のため?もちろん彼女のため・・・いや、傍にいる家族のため?


もしかして、無力感に苛まれた自分のため?


間違ったことしてるんじゃないか?いや、間違ってなんかない・・・


葛藤して迷い迷いの1歩だった。


でも、みんなの声を集め、みんなも同じように思い願ってる気持ちがわかると、


本当に心強く、一人ではうまく前に進めないのに仲間の力は迷いなく加速させる推進力に繋がったように感じた。


こんなことに気づかせてくれたのも彼女のおかげだと思う。


ほんとうに  ありがとう 。



みんなの声を録ったのが、先週末。


早く、声を届けてあげたい!今週末には届けるはずだった。




〔ごめんね。今日の昼に亡くなりました。〕    旦那さんよりメール




声が出なかった。


泣きたいのに、泣きたいのに声が出なかった。


涙と、嗚咽と、よくわからない音が、口から漏れてた。





ごめん、みんなの声、感謝の言葉、想い、願い、              


間に合わなかった。



ごめん。ごめん。ごめん。ごめんね。


ごめんなさい。ごめんね。ごめん。




私がもっと早く動きだしてたら、みんなの声届けられたかな・・・・・


後悔しないように、最大限の出来る事をやろうと思った・・・



だけど、あとからあとから後悔がこみ上げてくる。

今日の昼、友人が亡くなった。


未だに実感が持てない。


私にとっての彼女は


時間にしたら、わずか1年少し一緒に働いた同僚だった。


でも、家が近かったためによく仕事後は一緒の電車で帰ってた。


彼女の好きだったレゲエのイベントに行ったり、2人でカラオケでオールしたり、


仕事中に突然「カレーが食べたい!!」って言い出す私に付き合って、一緒の仕事帰りにココイチに行ったりしてた。


なんてことない話題で盛り上がり、彼女はいつも大好きな彼の話をしてた。彼との夢もよく聞かせてくれてた。


そんな大好きな彼とも、1年前に結婚して幸せに暮らしてるはずだった。




4月に急に「元気にしてるかな?」って気にって彼女にメールを送った。


彼女が地元に帰ってからは、遠距離になってしまったため、たまに連絡して近況を報告するくらいだった。


数日たっても返ってこないメール・・・・


忙しいのかなぁ~と少し寂しく思い始めていた矢先、彼女の旦那さんからメール。


〔あいつ今体調よくなくて、入院しとんよ・・・・だから代わりに返信しました。 旦那より〕


そっかぁ・・・タイミング悪いときに連絡しちゃたな・・・・


〔そうだったんですね。心配なので、元気になったら連絡くださいって伝えて下さい。〕


〔ありがとう。・・・・でも、あんまりいい状態じゃなくて・・・いい連絡できなくてごめんね・・・〕


どういうことだろう?不安がよぎる。


突っ込んで質問してもいいのかな? うまく判断が出来なくなってく頭の中・・・


〔良かったら、今どのような状況なのか教えてもらえませんか?デリケートなことなので無理にとは言いませんが・・・〕


〔ごめんね。もう、ほとんど脳死の状態で後は心臓がどれくらいもつかどうかってところ。

この事は取りあえずまだ誰にも話さないでね。また3人で飲みに行きたかったね・・・〕


目の前が真っ白になった。頭の中も真っ白に。今ままで経験したことない感覚だった。


気がつくと涙が溢れ、「何で?何で?・・・」と繰り返していた。


何なの?脳死って・・・どれくらいもつとかもたないとか・・・・


何の時間なの・・・    何を待たされてるの?



突然の知らせに・・・数日は食事も寝起きもままならなかった・・・


元より、この知らせを受ける前、数ヶ月の私の生活は荒んでいた・・・


仕事も・・恋愛も・・・将来も・・・・この世の中全てに・・・自分以外のものに触れるのが苦しかった。


燃え尽き嫌気がさし、抜け殻のように過ごしていた。なるようになってしまえばいいと投げやりだった・・・



この知らせが当初は追い討ちをかけるかのように錯覚してしまった。


でも、改めて彼女との時間を思い出すことが出来、彼女と過ごした時間は何気ない毎日で、


スペシャルなことなんてない毎日だったけど・・・


あの当時、上京して間もなく寂しい思いをしていた私にとってはあの何気ない毎日が何よりの充実だった


ことを思い出すことができた。  


当時は、恥ずかしながら考えもしなかったけど


その日々を支えてくれてた彼女の存在の大きさに、改めて気づかされた。


誰にとっても大切な時間を毎日を、なんて無駄に過ごしていたんだろう。


くだらない感情と、考えに支配されてつまらないことを理由に何逃げてんだろう・・・・


あんなに夢に向かって頑張っていた彼女が・・・


今、ベット上で生命の時間と戦ってるのに・・・・




〔取りあえず誰にも言わないで・・・・ 〕


それが、旦那さん、ご家族の申し出だった。


しばらくはその申し出に従って、彼女のキセキを祈りつつ自分自身を立て直すために


躍起になっていた。


「何が起こるかわからないのだから、日々悔いなく生きなきゃ!


彼女もきっと、落ち込んでる姿より前向きな姿を見たいはず。


何より彼女が本当に頑張り屋だったから見習わなきゃ」


時間がたつにつれ・・・ふっとした瞬間に感じる無力感・・・・


彼女に対して直接的に何も出来る事が無い自分の無力感に徐々に押しつぶされそうになっていた・・・・



今のこの時間はカウントダウンなの?残された時間なの?


いや、私は今回を機に彼女の存在の大きさに気づき、たくさん思う時間が出来た。


これは彼女からの与えられた時間なんだと思う。


最後の瞬間を迎えてからじゃなくて、今感謝の気持ちを伝えなくちゃ・・・・声を贈ろう。


そして、この時間はご家族や私だけのものじゃない・・・。


彼女と親交のあったみんなのものだと思う。


旦那さんには後から謝ればいい。


特に親交のあったメンバーには伝えて、みんなの声を集めよう。