雨を謳えば | 今井 学 Official blog「わたしはねこになりたい」

今井 学 Official blog「わたしはねこになりたい」

歌手、指揮者、今井学の公式ブログです。
出演情報等を気が向いたとき、不定期にこちらでお知らせさせていただきます。(笑)
どうぞよろしくお願いします(^_^)ノ

僕は雨が嫌いだ

雨の匂いだけで気分が下がるし、
気圧の変化で頭痛くて大変だし(台風なんか来た日にゃあ…)、
ベランダに出て夕涼みすることも出来ないし、
散歩だって気楽にできない。

僕は雨が嫌いだ

こんなこと言う人がいる。
『素敵な傘を持てば、雨の日も楽しくなるよ!』
本当にそうだろうか?

例えば先人の言葉に倣い、素敵な傘を買ったとしよう。
雨の日の朝。
わくわくして家を出て、まだ使われてない傘をさす。
色が流された灰色世界を飾り付ける色、柄…

おお。確かにちょっぴり楽しそうだ。

駅に着く。
傘を畳む。
電車に乗る。
雨と風の音の所為で、昨夜はあんまり眠れなかった。
乗り換え駅まで20分…うつらうつら…
…………
気が付けば駅に着いて、人々が乗ってくる。乗り過ごせば遅刻してしまうかもしれない。
「すみません、すみません」と腰を低くしながら、素早く電車から降りる。
……ふぅぅ。
よかった……
と、思うも束の間、次ははぁぁ、と溜め息。
「傘…忘れた…」

楽しかったのは家から最寄り駅までの一瞬。
その後一日悶々とした日々を過ごすことになる。

ほら、雨の日って、楽しくない。


僕は雨が嫌いだ

傘は忘れるもの
家を出るときに雨が降っていなければ傘は持って出ない
天気予報?そんな不確かな情報で、傘を無くしたくない。だって家にはあと一本しか残ってないから。しかもボロボロのやつ。


今日も一日が終わる。
明日は台風だそうだ。
最寄り駅を降りる。
家までの道を歩く。
雨が降っている。
人々は傘をさす。
どしゃ降りだ。
傘なんかない。
髪が濡れる。
家まで歩く。
ひたすら。
歩く歩く。
歩く…。
歩く…。
ぽた。
ぽた。
ぽ…

ふと、気が付く。
僕は下を向いたまま歩き続ける。
ああ、そうか。
顔が濡れるのが嫌なのか。
眼鏡をしているときは、眼鏡が濡れて前が見えなくなっちゃうもんな。
でも今日は眼鏡をしていない

……
ふと、思い付き、顔を上げる。

顔に雨粒がかかる。

不快に思いつつも、更に顔を上げる。

ゆっくりと、天を仰ぐ。

街頭が街を照らす。
月が光っている。

雨が降っている。
雨が頬を濡らす。

……
すとん、と何かが落ちる。

そうか。
これが『生きる』ってことか。


僕は雨が嫌いだ。

僕は雨が嫌いだ。

でも……
雨に降られることは、それほど悪くないかもしれない。