NO 2D NO LIFE!!
A-BOY,A-GIRL[読み:えーぼーい、えーがーる]
一般に言われるアキバ系の男女の意。
基本的にPC関連、美少女アニメ、ゲームに精通。
普通の会話には全く参加せず、最も得意とする分野に話が及ぶと、道路脇にひっそりと隠れているパトカーが急にサイレンを鳴らし豪速で大通りに飛び出してくる勢いと同じくらいのモチベーション、瞬発力を持ち合わす。
会話を完全に自分のテリトリーに保守、何時の間にか中田英寿ばりの王様的地位を獲得、話についてこれない人間を罵倒し下に見るという行為に及ぶ人種も確認されている。
対処法として、猥談、ファッション、または流行の話をすると全く寄ってこないことが論文で著されている。特に猥談は有効。猫の小便避けの石のようなポジションに自らがなると、それ以来全く近寄ってこないことも確認されている。
群れを成す傾向があり、集団になるといやに強気。一般人にはわからないディープな話を展開することに快感を得ているという報告もある。
というのが、辞書に載ってます(嘘)
うちの学校に多くのA-BOYがいるというのは周知の事実でありそれは認識していたのだが、A-GIRLというのはあまり見たことがない。実際はたくさんいるのだが、GIRL自体学科にいないというのが事実。
しかしそのA-GIRLと一戦を交えることになった…
とある、英語の授業。
研究では有名な学校だが、英語の授業となると中学高校と変わらないというのが実態。
そんな授業内で失敗を犯した。
3人でグループを作り英語のすごろくをやるという、何とも子供だましな企画をネイティブ外人教師が展開。そして自分が入ったグループにA-GIRLがいた… 見た目で俺の中の目玉のおやじが、「気をつけろ、鬼太郎!」と連呼はしていた。
すごろくというのは、マスに英語で質問が書いてあり、そこに止まると英語でその質問に答えるというもの。やってみるとおもくそつまらないというのが感想だが、そこは授業。終身刑を迎える囚人のようにおとなしくひっそりと従うしかない。
そのA-GIRL、話してみると意外にフレンドリー。Aじゃないんだ…とホッとして、それなら地を少し出してもいいかな?と思いすごろくを進めた。
そして俺がサイコロを振り、止まったマスが「Do you like games?」とあった。ここで失態を犯す。
ゲームは好きですか?って、そりゃ好きですよってことで、「Yes,Ido.」とだけ言った。
すると、A-GIRLが食いつく。
「え、どんなゲーム好きなの?」と聞かれ、「え、え、英語で聞けよ!」と思ったが、「先生!2番が二つあります!」とテストの時にどうでもいい指摘をする学級委員キャラになってもしょうがなく、普通に「オンラインゲームだよ」と答えた。
そこでちょっとだけもう一人の男の子を交え、オンラインゲームは面白いね的な話が広がった。ここでAなGIRLであれば、オンラインゲーム話を深く掘り下げるのだが、そんなこともなく、普通の人だったんだ、よかった…と話は終わるはずだった…
しかしここで急展開。
「なんていうやつやってるの?」とストレートど真ん中160Km、日本球史最高速球発動。
もう一人の男の子が今どきの感じで、話を広げてもマニアックになるだけでみんなで話せないことを考慮し、「言ってもわからないからいいよ」と斬り捨てた。
もう一人がわからないということだけではなく、もしそのGIRLと俺が同じゲームをやっているということになれば、話は地質調査のボーリング作業の如く奥深くまで及ぶことは必至。俺が話をしなくても向こうが話してくるに決まっている。グループで仕切られているが、周りにはたくさん人がいる。ここでマニアックな話はできるだけしたくない。
まだ2人だけで閑散とした部屋で話しているのならわかる。いや、わからない。
2人になったらなったで、熱いおでんを用意してちくわぶをおでこにぶつけて帰る可能性もある。
そんなことを思い、GIRLの反応を待っていた。
すると、「じゃあ、武器の名前とか言ってみて。それでわかるかもしれない。」
いや、わからなくていいから。
しかも武器の名前っていきなりマクロ的かよ!と教科書の角で後頭部をヒットさせながら突っ込むところ。
渋谷のスクランブル交差点で武器の名前を叫んだら、何かの称号がもらえる(しかも身内だけの称号)という、とかく仲間にいじられるおいしい話なら乗ってもいいが、こんなとこで言う必要は毛頭ない。
「うるせえからさっさと進めようぜ」と言いたいとこだが、ここは穏便に返さないといかん。
穏便とウォンビンって何か似てる。って、そんなことはどうでもいい。でも前からそれは感じてた。でも言いたい!!
とか色々思案。
「ねえ、何かないの?」
という念押しの問いに覚悟。もうこれはしょうがない。答えなきゃ先には進めないし、もう彼女は食いついてしまっている。力づくでぶっちぎるというのがスタンスだが、適当なことを言って凌ごうと路線変更。
「えーと、今はアズノウアズってやつだね。」とか適当発動。
「それって服のブランドじゃなくて?」とあっさり交わされ、「やべ!ばれてらっ!」と相当焦る。
「いやいやあるんだよ…」とかモロバレ必至を強引なドリブルで突破(たぶんできてない)。
「どんなゲームなの?」
と尋問は続く。
先のマスに書いてある質問で「Where is your first date?」というのが目に入った。
First date……My first kiss(High Standardの曲)…はじめてのチュウ……キテレツ大百科……
おお、あのオープニングの「いざ進めや キッチン!!」のお料理行進曲!
それはいいが、それがどうした?いや、そこから何かをひねり出さねば…… ……
「あのね、世界を旅して色々な食材を集めて料理するゲーム」
と適当に次ぐ適当。
ここまでくると何のために作り話してるのかわからない。
「やってみたい!名前だけ教えてよ!」
将棋で言う詰みの状態。
もう面倒くさくなったので、「他にはないゲームだから検索すれば出るよ」と面倒くさいにも程がある答え方。これで嘘だということをわかってほしかった…
隣を見ると、男の子は話に飽きたのか呆れているのかわからないが携帯をいじくりだす始末。
蚊帳の外に出るんじゃないよっと感じ、さぁさぁと進行するべくサイコロを男の子に渡す。
さぁ、さっさと終わらそう!と新鮮な空気を入れ込んだ刹那、「私のやってるやつはね、結婚とかあってね…」と、新喜劇ばりの順当なボケが。許してくれる空気なら、椅子からずり落ちるリアクションしてたよ。
話によると、現実でもゲーム内でも旦那がいて、装備がなんちゃらでそれは自慢できるもので、ゲーム内では人気者で行けば仲間が色々いるとか……
男の子は再度携帯をいじくり下を向き、俺は口が開きっぱで聞き流していた。
また結構な声量で話すから、向こうでグループ組んでいたとある野郎に聞こえたらしく、いきなりこっちに乱入。どうやら同じオンラインゲームをしているらしく、
「なになに、×××の話してんの!?」とどうにも止まらないテンションを誇示。そのテンションならプレミアリーグでもやっていけるわと感心した。
そっから乱入男とA-GIRLで延々マニアック話。もう全然わかりません。
話は乱入男のアニメ話まで及んだ。
待っても埒があかない様子。携帯にいじくり飽きた男の子は顔を机に伏せて寝だす。
輩は完全なるA。斬っても何も出てきやしない。出てくるとすれば直線と曲線の美少女魂。構わんだろう。
腰の差さってる鞘から!こうやって刀抜いちゃって!そろそろ斬っちゃう?!斬っちゃう!?
「先にこれおわらせねえ?」と振り抜くと、
「もう終わりってことでよくない?」と、振り抜く前に居合で俺が殺られてた…
それだけ言い放つと、A-GIRLは乱入した男と別の席に移り話を続けた…
男の子と顔を見合わせて、「ようわからんね…」と苦笑い。
もう二度と真っ向から勝負はしない…