◆【お客様の自覚症状】
電源を入れると、Windowsの旗マークヒラヒラ画面で長い時間かかり、そのあと再起動がかかってしまう。富士通ノート FMV-BIBLO NB75K、 Win XP Home 、CPU_?GHz、MEM_512MB。
◆【実際の症状】
ハードディスク内に不良セクタがあり、起動に必要なデータが壊れてしまったと思われます。
◆【処置】
ハードディスクを新品に交換し、添付のリカバリディスクにて初期化、およびアイループ式高速化フルメンテを行うことにしました。また、現在年賀状作成ソフトの住所録データが入っているので、可能ならばこれらのデータ救出も行うこととしました。
Windowsの旗マークヒラヒラ画面が出ているなら、まだハードディスクは完全には壊れていません。中のデータを救出できる可能性は非常に高いです。そこで、KNOPIXで起動したあと最低限必要なデータの救出を行い、チェックディスクにてHDD内のエラーを回復し、Windowsが正常起動できるかテストします。正常起動できれば、HDDまるごとバックアップを行い、HDDを新品に交換したあとデータを復元すれば、全てのデータを完全に復元できます。まずはこれにチャレンジしますが、まるごとバックアップが不可能であればリカバリする方法へ転換することにしました。
以下作業の5.で行ったチェックディスクの結果を、正常起動(8.)したあとにイベントビューワから調べたところ、220KBの不良セクタがあったことがわかりました。このため、起動不能の原因はハードディスク故障でほぼ間違いないでしょう。ちなみに物理メモリは512MB搭載していたのですが、ノートン先生がインストールされていた事もあり、起動完了時点で約400MBを消費していました。そのため、ハードディスク故障に至った原因は「慢性的なメモリ不足によりハードディスクへのスワッピングが多発し、そのためハードディスクに大きな負担がかかり続けたため、ハードディスク故障に至った」と結論付けました。
フルメンテナンス(10.)の途中でSP3にアップグレードしたのですが、そのときにノートン先生がバグってエラーを連発したため、ノートン先生は一時的にアンインストールしてお客様にて再度インストールしていただくことにしました。
Internet Explorer (IE) にて Microsoft の正規認証サイトや Adobe のフラッシュプレーヤサイトなどにアクセスすると、ページが英語表記されてしまいました。そのため、IEの言語設定をいじって優先順位1位に日本語を追加しました。再度これらのサイトにアクセスし、正しく日本語にて表示されることを確認しました。
まるごとバックアップを試みるも、試行錯誤しましたがエラーにて成功しませんでした。諦めてHDDを新品40GBに交換してリカバリをすることにしました。しかし、100GBハードディスク搭載の富士通ノートは、40GBでは容量不足のため領域(パーティション)を設定できないという旨のエラー表示が出てリカバリできませんでした…最低な仕様…富士通のワナにはまりましたΣ(ToT)。
現在お店には100GB以上のノート用新品ハードディスクの在庫が無かったので途方に暮れていたのですが、よくよくリカバリプログラムを見ると、最初の領域(パーティション)設定の項目さえクリアすればリカバリできそうなフローでした。そこで、XPのCDからハードディスクのパーティション分けを行ったあとでリカバリを試したところ、なんと大成功しました♪
その後リカバリを行ったのですが、ちょっとした思い付きでKNOPIXにて起動し、故障したHDDのデータを換装後の新品HDDにまるごとコピーしてみたらどうかと思いました。もし失敗しても、再びリカバリすれば問題ないです。成功すれば、お客様は修理受取後に各種設定をやり直す手間が省け、故障前の状態にていつも通り使えるようになります。MBRは共通のはずなので、理論的には特に問題は起こらないはず。
さっそくコピーを実行し、こちらがみごと成功!データ救出どころか、故障前の環境を復元できました。HDDも新品に差し替えてあるので、不良セクタは存在しません。
<進行状況>
1. 正常起動チェック→NG
2. セーフモード起動チェック→NG
3. KNOPIX (Linux OS) にて起動→OK
4. 住所録データの救出作業→成功
5. DOS上からHDDのチェックディスク(chkdsk /r)→完了
6. 正常起動チェック→NG(1.と同様)
7. Win XP Home のCDで「Windowsの修復」を実行→完了
8. 正常起動チェック→成功
9. 不要ファイル・不要ソフトの削除→完了
10. Microsoft Update にて最新状態へ更新→完了
11. 不要ファイルの削除→完了
12. HDDまるごとバックアップ→失敗(エラーにてストップ)
13. クリーンアップ→まるごとバックアップ→失敗
14. デフラグ→クリーンアップ→まるごとバックアップ→失敗(諦めました)
15. HDDを新品40GBに交換→完了
16. 「このハードディスクは容量不足のため使用できません」エラー表示→リカバリ失敗
17. XPの正規版CDからハードディスクのパーティションを作成→完了
18. リカバリディスクにてリカバリ開始→完了 (ここで発想転換して19.へ)
19. KNOPIXにて故障HDDから新品HDDへまるごとコピー→完了
20. 正常起動チェック→成功 (ただし各種エラーが出現)
21. Microsoft Update にて最新化→完了
22. ムリヤリのまるごとコピーに起因する各種エラーの原因追及と解決→成功
23. 各種ソフトウェアの起動チェック、不要ファイルの削除→完了
24. クリーンアップ→デフラグ→完了
25. 正常起動チェック→成功 (修理完了)
▲故障時、220KBの不良セクタがありました(イベントビューワにて確認)
<蛇足>
もっとも、最初から新品HDDに交換してリカバリしていれば、修理屋の仕事としては「さっさと片付く」レベルです。おそらくその程度の作業なら実作業2時間で完了してます。しかしそれではデータは完全に消滅しますし、お客様にとってはパソコンの再設定が非常に大変です。アイループの修理の特徴は「修理代が破格」ということもあるのですが、「クオリティーの為には時間を惜しまない」という点もポイントです。同じ修理内容で、これ以下の料金にて修理できる修理業者さんは、おそらく日本全国どこを探しても存在しません☆
◆【その他】
持込修理。実作業時間...9時間。料金...\14,000。