Gateway FX7028jをXPへダウングレード - 5月1日 | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

◆【お客様のご依頼】
GatewayのFX7028jを買ったが、OSがWindowsVistaHomePremium搭載で、ネットゲームなどをするに当たって支障をきたすことがある。これをWindowsXPにダウングレードしてほしい。購入したお店(ジョーシン)でOS(XP_Home)の正規版CDは購入したが、どうやってダウングレードするのかわからない。ジョーシンの店員いわく、「これ(XP_HomeのCD)でダウングレードできるはずですが、正しく動いてくれるかについてはサポートできませんし、個人情報保護の観点からジョーシンでのXPダウングレードサービスは行っていません。」とのこと。途方に暮れたため、なんとかXPにダウングレードしてほしい。Gatewayデスクトップ、OS:VistaH.P.、CPU:Core2Quad_2.66GHz、MEM:3GB、GeForce8800GT。


◆【実際の症状】

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◆【処置】

まず、この操作がうまくいかなかったら最悪の場合Vistaで再セットアップすることになる可能性がある、という警告をしておきました。メーカー側(Gateway)としては、この機種をXPにダウングレードすることに関して一切サポートしないという対応を取っています。それに関連した不具合等が発生したり、最悪パソコンがぶっ壊れても、一切メーカーサポートは受けられません。また、購入から1年以内ですが、この操作(メーカーが想定しない操作)をした時点でメーカー保証は完全に吹っ飛ぶという大きなリスクがあります


データのバックアップは既に済んでいるということでしたので、とりあえず事前処置としてDriverMaxというフリーソフトにて、デバイスドライバを集める作業を行いました。当然、Vistaで当たっているドライバがXPでも同じように当たるとは限らないのですが、デバイス名の確認と共に、XPで当たってくれたら嬉しいかな?程度の気持ちでした。しかし、これが後で大正解となりました(後述)。


さっそくXPのCDを入れてCDブートを試みました。ここで最初の問題が発生。XPのCDを入れると最初に青画面に白文字でドライバ類の読込みが行われるのですが、それが済んだあとのセットアップ開始画面のところでブルースクリーン発生。エラー内容は「STOP:0x0000007B」→「INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE」、ブートデバイスに関連するエラーということになります。


ひとまず原因がわからなかったので、ビデオカード(GeForce8800GT)を取り外してオンボードビデオにて再度トライ、しかしやはり同じタイミングでブルースクリーン発生。次に、他のSATAハードディスクを接続し、そちらにインストールしようとするがやはりブルースクリーン発生。SATAが悪いのかと思いIDEハードディスクを接続しましたが、やはりブルースクリーン発生。XP_Home以外のOSで試したのですが、XP_Proでもブルースクリーン、Win_2000でもブルースクリーン。つまり原因はビデオカードでもなく、ハードディスクでもなく、OSの種類でもない。


ここで、この機種について検索してみることにしました。すると、やはりこの機種をXPにダウングレードしようとして「うまくいかない」という旨の記事ばかりが見つかり、逆に「成功しました」という記事は一つも見つかりません。さらに1時間ほど検索したところ、上記STOPエラーと発生タイミング(OS再インストール中)を絡めた検索にて「AHCIがうんぬん~」という記事を見つけました。わらにもすがる思いでBIOSのハードディスク関連項目をチェックしていくと、「[Advanced]→[Drive Configuration]→[Configure SATA as]→[IDE or RAID or AHCI]」という項目を見つけました。最初これが[RAID]に設定されていました。これを[IDE]に変更してみたところ、XPのインストール開始画面が正常に表示されました。これで最初のブルースクリーンの問題が解決しました。XP再インストールの際に、XPが標準で対応していないAHCI(もしくはRAIDか?)の転送モードで動作しようとしていたことで、ブルースクリーンが発生していたのではないかと思います。


無事XPのインストールが完了し、さてメンテナンス開始と思ったのもつかの間、よく見るとシステムドライブが"C"ではなく"H"になってました。そういえばインストール開始時にそう表記されてたような…。マイコンピュータを覗くと、マルチカードリーダーの類が"C, D, E, F"となっており、DVDドライブが"G"に、システムドライブが"H"、拡張パーティションが"I"に割り当てられていました。カードリーダーやDVDドライブのドライブ文字は容易に書き換えできますが、システムドライブが"H"というのは今後の事を考えるとよろしくありません。ソフトによってはインストール時に初期設定で、"C:\Program Files\"以下を指定してインストールしようとするものがあり、その際に不具合が発生する可能性が高いからです。


検索すると、Microsoftのサイトにて「Windows のシステム ドライブまたはブート ドライブのドライブ文字の復元方法」という記事があったので、これを参照しながら手動でレジストリの書き換えを行い、そのあと再起動しました。順調にWindowsの旗マークまで行って、そのあとようこそ画面の直前のところまで表示された段階で先に進まず。マウスは動く、エラー表示は無い、でも起動が進まない。…はい、どうやらうまくいかないようですね。


今度はOSインストール時にカードリーダーやDVDドライブ等を読み込まないよう、再び外フタを開けてケーブルを外しておきました。代わりにUSB接続の光学ドライブを接続し、BIOSの設定をいじってUSB接続デバイスからの起動が優先されるように変更しました。すると、電源投入後にUSB接続の光学ドライブを読み込みに行くのですが、どうもうまく読み込まれない。画面のカーソルは素早く点滅しており、どうやらCDを読み込んでますと言わんばかりですが、そのまま先に進まず。しまいには光学ドライブのアクセスランプが消灯し、回転が止まりました。設定をいじりながら3回ほど繰り返したのですが、同じ現象が続きました。…はい、どうやらうまくいかないようですね。


USB接続の光学ドライブでのブートをあきらめて、ひとまず内蔵DVDドライブのケーブル類をさしこみ、再びXPのインストールから出直しました。すると、先ほどドライブ文字を変更した効果か、システムドライブにしたいパーティションが"C"、拡張パーティションが"D"に割り振られました!そのままCドライブへのXP再インストールを開始し、問題なく完了しました。


XPインストールが完了し、とりあえずオフラインでXP_SP3の導入、およびIE7の導入を行いました。この時点でXP標準のドライバが当たらなかった主なデバイスは「SMバスコントローラ」「Video」「Audio」「LAN」「Modem」、その他にもいくつかのドライバが当たりませんでした。


ひとまず「Video」はGeForce8800GTとわかっているので、NVIDIAのホームページからダウンロードして当てました。続いて、最初にDriverMaxで吸い出しておいたデバイスドライバの中から、Videoを除く全てのドライバを戻す作業を行いました。これで正しく当たってくれたのが「SMバスコントローラ」と「Modem」でした。「Audio」はどうやら当たったようですが、Audioアプリケーションが正しく機能しません。まぁ、Vista仕様をそのままコピーしたのでこれは想定内です。しかし、「ゲーム用に使いたい」というパソコンでサウンドが再生されないのは致命的と言わざるをえません。「LAN」については、これまで集めてきたドライバ集の中からそれっぽい名前のドライバ(Intel Gigabit Network Connection Drivers)を適当に当ててみたら当たりました。しかし、最後の砦は「Audio」です。


DriverMaxのおかげで、このパソコンに搭載されているAudioデバイスが「IDT High Definition Audio CODEC」であるということはわかっています。しかし、アプリケーションが正常動作しないため音声が再生されない。念のためIDTのホームページでXP用のAudioドライバを探したのですが、残念ながら公開されていませんでした。最終手段としてWindowsUpdateに賭けてみることにしました。手動でWindowsUpdateを行い、そのときに[カスタム]を選択すると、ハードウェア系のアップデートも表示されます。すると、WindowsUpdateでこのAudioデバイスのアップデートが表示されており、更新を行ったところ見事ドライバが当たり、音声が再生されるようになりました


最初に問題となったAHCIですが、IntelのホームページからドライバをダウンロードするとXPでも使えるようになるという記事を見つけたので、さっそくダウンロードしてインストールしようとすると「このシステムは、このソフトウェアをインストールするための最低要件を満たしていません。」とエラー表示されインストールできませんでした。実は既にインストールされてたりして?と思い、BIOS設定を[IDE]から[AHCI]に変更して再起動したところ、起動途中で最初に出たようなブルースクリーンが発生しました。念のため[RAID]に設定してもブルースクリーンとなりました。AHCIを利用するには、関連する全てのハードウェアがAHCIに対応していなければならないため、やはりこのパソコンはAHCIに対応しないハードウェアが一部あるのかもしれません。そこでAHCIの利用をあきらめ、IDE互換モードを選択しました。


それ以外に当たっていないドライバも一部ありましたが、ポータブルドライブを直差しするデバイスなど、おそらくXPが動作するにあたって致命的ではないと思われるもののため、ここは仕方なくあきらめました。そのままXP高速化メンテナンスを完了し、「Paragon Drive Backup」(ハードディスクまるごとバックアップソフト)にてXPリカバリ用の独自データを作成し、今後の再セットアップに備えました。


◆【結果】
特に問題なく動作しています。Vistaのときと比べると、ほとんどの操作が一瞬で完了します。さすがCore2Quad!!


◆【その他】
実作業時間...10時間...\10,000。今回は非常に良い勉強になりました。