理事会の2日後、副理事長Gとマンション玄関で出くわした。Gに管理士顧問とUに会って雇用契約書を交付し、Uが署名捺印した1部を預かってくれているなら、管理事務所にある従業員全員の雇用契約書バインダーに綴じこんで保管するので、後日持ってきてほしいと頼む。
翌日Gから自分に電話がかかった。Gはいくら自宅を探しても見つからないという。聞いた自分は頭を抱えた。このマンションは自主管理だから日頃の管理組合運営に管理会社を入れず、直に雇い入れた従業員に任せている。新規に雇い入れたその従業員が署名捺印した雇用契約書を紛失するなんてあってはならない。万が一、管理組合と従業員の間で労働争議が起こると、この雇用契約書がなければ、労働基準監督者や裁判所に証拠提出できる書類は何もなくなる。従業員が署名捺印した雇用契約書は管理組合にとって唯一にして絶対的な証拠なのだ。それを紛失するなんて自主管理組合の役員として無知、無責任すぎると嘆きたくなった。でも、Gも大切な役員仲間だと思い直して、もう一度Uを呼び出して署名捺印してもらってくれと頼み、Uも抵抗なく応じてくれて、署名捺印した雇用契約書を無事管理事務所に保管することができた。
数日してGから電話がかかってきた。Uのことかと思えば、もう1年契約更新を理事会で決議したマンション管理士の顧問が自らのSNSに「やったたー」と1年更新を勝ち取ったことを誇っているのが出ていたと情報が入る。あれほど、理事大半が管理顧問に少なからず不満があったのにAグループから守ってもう1年だけを機会を与えているのに、こちらの神経を逆なでするようなことをSNSに公開するなんてあきれてしまった。
同じ頃、今度は理事Dから連絡が入る。管理士顧問のホームページを見ていたら、豪邸の庭を背景に白いスティールの丸テーブルと椅子のところで嬉しそうに撮られている管理士顧問の写真が掲載されていると。
管理士顧問の庶民感覚が疑われた。一体いくらの顧問料を管理組合は組合員が納めた管理費から支出しているのか理解しているのかと思った。この管理士顧問の来期の契約更新はありえないと自分は密かに思った。
来月の決算理事会は7月23日と決まっていたので、それに向けて監査最終報告書作成の準備を始めた。
夜勤従業員の雇用契約書更新もあり、6月末にGに頼んで夜勤従業員から署名捺印した雇用契約書をもらうことになる。ここでもGは雇用契約書の重要さがわからないことが起きる。2枚の同じ雇用契約書をその場で提示して、どちらか一方に署名捺印して返してもらうのだが、Gは2枚とも渡して、翌日以降事務所の机の上に署名捺印し他方をおいてもらい、それを自分に受け取ってくれという。どこまでいってもGは訳がわかっていなかった。
こうして6月は終わりを告げた。
以降の話は次のブログ「マンション自主管理組合76」に譲ることにする。