EF二人は29年間管理組合従業員として勤続した。その間に二人ともマンションの一室を購入し区分所有者にもなった。彼らが在籍した29年間他に従業員の出入りはまったくなかった。その意味では管理事務所はブラックボックスだった。悪く言えば、彼らはどこに管理組合運営の盲点があるか隅々までわかっていて、いつかしかそれを私利私欲に使っていったはずだ。でも、この理事会で報告した彼らの不正疑惑は氷山の一角であるものの証明しきれないものだった。全区分所有者が信じる、任せるというより無関心、放ったらかして招いた挙句のことで彼らの疑惑は然の帰結だった。

 

自分は監事として5月理事会が終わってから、彼らが在籍していた時の残存書類資料を徹底的に調べ始めていた。カテゴリーによって自主管理組合発足の時から残っているもの、全く残っていないもの、最近まで残っていても途中数年分が欠落しているもの、途中まで全くないものなど書類保存は杜撰そのもので、倉庫に束にして乱雑においてあるような始末だった。この中には不正疑惑を示す書類が処分されていると感じるものもあった。

 

その中で管理組合修繕工事の業者相見積もり資料がまったくない。1社見積りで修繕工事費用を業者に出してもらい、それを決算理事会で承認をもらって総会に事業(修繕)計画として上程して承認をもらう。当然そのままの見積り額でその業者に工事を発注する。これを29年間桁違いの大規模修繕工事以外はほぼすべての工事でやってきていた。これでは修理項目ごとに業者が固定し、キックバックいわゆるリベートが発生する土壌になっていったに違いない。まさに濡れ手に粟だ。相見積もりを取らないこと最悪だ。

 

そして実際発注して工事完了した場合、工事完了証兼保証書をほとんどの工事でもらっていない。微細な工事では確かに完了証や保証書をもらわないことがあるが、このマンションの修繕工事のほとんどがこの完了証や保証書が残っていない。きっと工事を請け負った業者にいつ工事をしたかを聞いていたに違いない。次はいつ工事をしたらいいか、まだしなくていいか教えてもらって、工事するなら、また同じ業者に仕向けてリベートを受け取っていたはずだ。ずぶずぶの関係になっていったに違いない。

 

そのために彼らは在籍途中でも退職後でも発覚しないよう、調査でバレても証拠を押さえられないよう、書類を破棄処分していたと考えられる。もう目を覆うばかりで、一度悪事に手を染めたら止められず、退職するまで続いたと思われる。

 

工事完了証がないと最終工事年月日と修繕工事個所がわからず、修繕周期に照らして次の工事を最終工事から何年後のいつにしたらいいのかわからなくなる。これは大規模修繕工事をする上で、長期修繕計画を立てられなくなる。そしてこれはいつにいくらの費用が必要になるかを明らかにする資金計画でもある。EFが管理組合の資金に巣づくって甘い汁を吸い続けるために彼らの悪事の証拠にもなり、長期修繕資金計画につながる重要な書類を破棄して保存してこなかったのは本当に罪深いことだった。

 

まもなく竣工から半世紀になるこのマンションは長期修繕資金計画に裏付けされた大規模修繕工事を順次しなければならない。なのに今、この長期修繕資金計画の書類も整備されていない。一から作るので地場の業者ではなく一級建築士に依頼をかけないといけない。付帯的な作成費用も入れれば、少なくとも100万円以上はかかる。彼らは彼らが招いたこんな結果を区分所有者としてどんな思いでいるのか聞きたかった。

 

たいへんな悪影響を及ぼす重要書類保存義務に反する行為をEFは重ねてきたと理事会に説明した。次回の決算理事会では自分は理事会に監査最終報告書を提出すると言って、監事の自分は監査報告を終えた。これで自分はAグループ全員に宣戦布告した。退路はたった。

 

理事長は6月理事会の閉会を宣言し散会した。

 

以降の話は次のブログ「マンション自主管理組合73」に譲ることにする。