メジャーリーグベースボール(MLB)の発祥の地である米国には全世界から優秀な野球選手が集まってきて驚くようなプレーを魅せてくれるので世界最高峰のリーグと呼ばれている。日本人選手は1964年村上雅則さんが投手として初メジャーリーガー、その約30年後野茂英雄氏が投手として、2001年イチロー氏が野手としてMLBに挑戦し成功したことにより多くの日本人選手がMLBに挑戦するようになった。

 

MLBは毎年3月下旬から9月末までの間をレギュラーシーズンとし各チーム162試合を戦う。交流戦(インターリーグ)も行うが、総当たりは試合数からしてしないしできない。

10月からはポストシーズン(PS)としてプレイオフ(PO)を戦う。ワイルドカードシリーズ(3試合2先勝制)、ディビジョン(地区)シリーズ(5試合3先勝制)、リーグチャンピオンシップシリーズ(LCS:7試合4先勝制)、ワールドシリーズ(7試合4先勝制)を戦いワールドチャンピオンを目指す。

 

MLBはアメリカンリーグ(ア・リーグ)とナショナルリーグ(ナ・リーグ)に分かれる。両リーグとも同じで広大な米国を東中西の3つの地域(地区)に分ける。各地区に5つのチームがあり、その地区内の都市に本拠地をおく。よって3地区合計で15チームあり、アナ両リーグ合計30チームある。

 

9月末レギュラーシーズン終了時、両リーグ各地区優勝チームが決まる。合わせて各地区優勝チームの勝率で1~3位の順位をつける。東中西全地区の中で優勝チームを除いて最高勝率の上位3チームをワイルドカードチームとして1~3位の順位をつけて選出。

ワイルドカードチーム1位と2位がワイルドカードシリーズを戦う。このワイルドカードシリーズ勝者が優勝チーム1位と地区シリーズ①を戦う。

もう一方、優勝チーム3位とワイルドカードチーム3位がワイルドカードシリーズを戦う。このワイルドカードシリーズ勝者が優勝チーム2位と地区シリーズ②を戦う。

地区シリーズ①と②の勝者がLCSを戦い、リーグチャンピオンを争う。リーグチャンピオンを制したチームはもう1つのリーグチャンピオンとワールドシリーズを戦い、ワールドチャンピオンを決する。

 

今季、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の3投手が所属するドジャースはナ・リーグ西地区優勝を果たした。勝率は優勝チーム3位だった。ワイルドカードシリーズでワイルドカード3位のレッズと対戦し2連勝でワイルドカードを突破した。続いて優勝チーム2位のフィリーズと地区シリーズで対戦し3勝1敗で下してLCS進出を昨日決めた。

 

二刀流翔平は打撃不振に苦しんだが、この地区シリーズで一番の功労者は朗希だった。第一試合と第二試合はセーブポイントを上げ、4試合目は8~10回の3イニングを投げ、打者9人に36球を投げ、無安打、無四死球、無失点のパーフェクトピッチングをした。中継ぎ、抑えの不安定なドジャースブルペンで朗希だけがチーム唯一の絶対的救世主になった。米国のファンもメディアも朗希に大熱狂し大絶賛した。朗希をDamon closer、絶対的Closerと呼び出した。あまりに米国の人々がほめ過ぎるから褒め殺しに遭わないか心配してしまう。

 

朗希の主な球種はフォーシーム(直球)とスプリットで直球は160km(100mile)を超える。スプリットは落差が40cm以上あり打者の直前で急に沈む。直球もスプリットも手のリリースポイントが同じで打者にとっては見分けることが難しくお手上げ状態。米メディは朗希のスプリットを「消える魔球」と呼び始めた。

 

自分が小学生の頃、「巨人の星」(原作:梶原一騎)というスポ根野球漫画があった。主人公の星飛雄馬は父一徹にから厳しい英才教育を受けて、やがてプロの野球選手としてマウンドに立った。飛雄馬は大リーグボールという魔球を編み出す。当時、大リーグ(メジャーリーグ)は雲の上の存在であり憧れ。だから魔球に大リーグボールと命名した。漫画の中の大リーグボール2号は消える魔球で途方もない方法で球が消える。

 

漫画の消える大リーグボール2号は60年の時を経て、朗希のスプリットに姿を変えて、現実世界に「消える魔球」として飛び出てきたのかもしれない。朗希の魔球はこれからも自分に見せつけて魅了してほしいと思う。

 

さあ、3日後の火曜日から始まるLCSで朗希の活躍を心から祈りたい。朗希、頑張れー! 翔平も由伸も頑張れー!