今日は七夕だ。

七夕は「星祭り」とも呼ばれ、旧暦(太陰太陽暦)の7月7日に行われてきた。 現在使っている新暦(太陽太陰暦)にすると、2025年の七夕は8月29日。 国立天文台では2001年から旧暦の七夕を「伝統的七夕」として報じている。 少しわかりにくいが、二十四節気の処暑の日かそれより前で、処暑に最も近い新月を含む日から数えて7日目が「伝統的七夕」の日となる。2025年の旧暦7月7日は、新暦で 8月29日(金)にあたる。

2025年の処暑(期間の始まり)は8月23日(土)で白露の前日(処暑の期間の終わり)は9月6日(土)。

 

処暑の「処」には止まるという意味があり、暑さがおさまる頃を表わす。厳しい残暑が和らぎはじめ、朝夕は涼しい風も吹き、虫の音も聞こえてくる。残暑はまだ厳しいものの、夏の太陽の勢いが徐々に鎮まり、朝晩は過ごしやすくなる時期とされている。

ご先祖様の霊をお送りする「送り火」や子どもたちの健やかな成長を願う「地蔵盆」もこの時期に行われる。

 

七夕の起源である中国の乞巧奠(きこうでん)とは、織物の上達や手芸の巧みさを祈る女性の行事で、織姫にあやかって「技芸の上達」を願う儀式。日本に伝わったのは奈良時代といわれている。

日本にも古来より、神に捧げる布を織る女性「棚機津女」(たなばたつめ)の伝承があった。乞巧奠とこの信仰が融合して、七夕は「織姫と彦星の伝説」として形作られていった。

 

物語としては、機織りが得意な天帝の娘の織姫と真面目な牛飼いの青年の彦星は天帝の勧めで結婚し、とても仲睦まじく過ごしていた。結婚後二人は愛し合い過ぎて二人とも仕事を怠けてしまうようになったため天帝の怒りを買って、二人を天の川を隔てて引き離された。ただ働くことを条件に、年に一度だけ天の川を越えて会うことが許された

 

でも、さらに悲しいことに二人が再会できるかどうかは天気次第。雨が降ると天の川が増水し、橋が渡れなくなってしまう。そのため、晴天の夜は二人の愛が天に届き、雨の日は再会がかなわなかったとされている。この「年に一度」というロマンチックな設定が、今も多くの人の心を引きつけている。

 

短冊に願いを書く理由とは、元々、字が上手になるようにと願う「書道の上達祈願」が由来で、織姫のように「技が上手になりますように」という願いから始まった。現在では、学業成就、健康、恋愛など、さまざまな願いを書いて笹に吊るす。笹は、まっすぐ天に伸びる性質から「神様に願いが届きやすい」とされ、神聖な植物として用いられてきた。

 

しかし、新暦の7月7日は、ちょうど梅雨の終盤。天気が悪くなることも多く、織姫星や彦星が見えないまま七夕が終わってしまうことも少なくない。せっかく星をテーマにした行事なのに、空が曇っていては楽しみも半減してしまう。

織姫(ベガ)、彦星(アルタイル)、そしてデネブの3つの星で構成される「夏の大三角」。この星たちは、8月の夜空では真上にのぼり、とても見つけやすくなる。星空観察がメインイベントでもある七夕において、8月の方が本来の趣を楽しめるというのは理にかなっている。

 

今日7月7日七夕は晴天どころか炎天下。天の川にかかる橋は灼熱の太陽光線で焼け落ちてしまい、織姫と彦星は再会できなかったのではないだろうか。彼らには8月29日にもう一度再会する機会を作ってあげたいものだ。でも年に2度も機会があるとロマンがなくなるかな?