大阪のオバチャンは思っていることを大きい声で口に出し遠慮がない。フレンドリーであるが図々しく世話好きでもあるが、間違ったいること、気に入らないことがあれば、ズケズケ指摘する。
この頃、大阪のオバチャンも大阪に生息しているのか怪しくなっている。大阪という大都市も21世紀になって人口流出入が激しく、生粋の大阪人が減少してきているからなのではないだろうか。そして現代の大都会大阪は都会特有の「隣は何をする人ぞ」という希薄な人間関係だ。これも当然のことで自分も生粋の大阪人だが、地方都市や田舎の濃密な人間関係より希薄な人間関係のほうが好きだ。
では希少価値?になってきている大阪のおばちゃんの特性は冒頭で記したが、実際どんな年齢層の女性かということになるが、何歳以上というより自分の感覚としては同居別居を問わず18歳以上の子供がいる女性と定義したい。
3週間前のある日、自転車で近くの商業施設に買い物に出かけた。自転車は施設周囲にある二輪用自転車用駐輪器具に固定して駐輪する。建物近くに空いている自転車駐輪器具がなかったので本来自転車に合わない建物近くに空いている二輪用器具に固定しようとしていたら、その隣の二輪用器具のところにラッタッタに乗ってきた50代と思われる女性が原付から降りてヘルメットを取るなり、「ここは二輪用駐輪スペースで自転車はとめてはダメ」と指摘され、相手のいっていることが正論だとはわかっていたのだが、「たくさん空いている二輪用駐輪器具を使っても、15分くらいでもどってくるから問題ないと思って」と言い訳すると、「後から来る二輪がとめられなくなる」と注意され、自分がしぶしぶ遠く離れている空いた自転車用駐輪器具のところまで移動させてとめるまで、その女性はじっと見ていた。
その時ハタっと気が付いた。久しぶりに大阪のオバチャンに出くわしたんだと。自分はそのオバチャンより明らかに年長だ。きっとその若いオバチャンは自分を見た時、最近のジジィはいい加減なことをしているから注意してやれという気持ちが湧いたのだと思う。
次は1週間くらい前に最寄りの銀行のATMに引き出しにいった時のことだ。それも二輪と自転車駐輪場でのことだった。そこのATMにくる客はほとんどが原付か自転車で駐輪スペースは二輪と自転車兼用で駐輪する。自分がいった時、たいへん混雑していて駐輪順番待ちになっていた。待ち方は乱雑だった。
駐輪スペースがATMで用事を済ませた客から順番に空く。そうして空いた駐輪スペースに待っていた二輪や自転車を待ち順で駐輪していく。自分の自転車の順番がきたと思い、駐輪スペースを向かおうと自転車を押し出した時に斜め向かいからヘルメットをかぶって原付のハンドルをもったオバチャンが自分に声をかけた。「私の番でしょ。順番を守ってください。」斜め向かいに原付がいたことにまったく自分は気づいていなかった。ごく普通に自分がそのオバチャンに「スミマセン、気が付かなかって、こめんなさい。」と言ったら、そのオバチャンが「気が付かないって見てたらわかるやろ」と捨て台詞をして駐輪スペースのほうへ行ってしまった。
このオバチャンも自分からみたら50代前半の女性。きっとこのオバチャンははるか年長に見えるジジィの自分は順番も守らない少しボケがはいりだしている年寄りで一言いってやれ的な気持ちがあったのだと思ってしまった。この捨て台詞を言われた自分は本当にその後少しの間とても不愉快だった。
こんな二人は大阪のオバチャンではないかもしれないが、大阪のオバチャンも都会の時世に流されて変質してしまったのかもしれない。願わくば、これから自分のイメージにある大阪のオバチャンの明るく楽しく賑やかな面に触れる機会があることを望むばかりだ。