日本の郵便を担う国内唯一で最大の輸配送組織が日本郵便。日本郵便の郵便事業は郵便法で規定されているが日本郵便の独占事業。郵便法を所管しているのは総務省。日本郵便がトラック、1tバン、軽四などを使用して行う輸配送を規制する貨物自動車運送事業法は国土交通省が所管。
総務省は郵便法の他に日本放送協会(NHK)を規制する放送法も所管している。数年前に物流に携わるドライバーの労働環境や条件を改善してドライバー安定雇用を図るため郵便法を改正した。普通郵便の拠点間移動、仕訳、配送を土日祝に行わなくなった。普通郵便は発送から届け先の郵便受けに着くまで平日なら2~3日、土日祝を挟んだら4~5日はかかる。不在再配達というドライバー負担軽減のため置き配という仕組みも創出される。ドライバーのための郵便法改正であり仕組み考案だった。その上、昨年10月普通郵便料金をハガキ封書ともにかつてない大幅な値上げをした。普通郵便は配達日数がかかる上、料金は法外に高い。差出人が普通郵便利用を避けてしまうようにして普通郵便を抑制する施策を取っているように感じる。
これらの施策は誰のための改革か明らかだ。日本郵便という企業、その従業員である運行管理者などの中間管理職、そして輸配送のドライバーのための改革だ。日本郵便のために総務省は郵便法を改正した。
2005年郵政民営化が決まったとき、大手宅配企業が普通郵便に参入意欲を示した。郵便法にある郵便ポストの設置などで現日本郵便しかできないと法を盾にとって参入を阻んだ。独占で競争原理がまったく働かなくなり、現在日本郵便が普通郵便をしたい放題にしてる。
そしてとうとう最悪最低の不適切点呼問題で全国の郵便局のトラックやワンボックス車など約2,500台による日本郵便の運送事業を国土交通省が貨物自動車運送事業法に基づく最も重い行政処分で事業許可を取り消すことになった。
法律に守られた独占事業に胡坐をかいている親方日の丸的企業の当然の帰結だ。日本郵便の内部にあっては企業風土、コンプライアンス、ガバナンス、マネジメントすべて機能不全に陥っている。経営者以下全従業員が猛省すべきこと。3公社5現業が戦後長い年月をかけて民営化してきた歴史を思い出されるが、郵政だけは今頃大失敗例を示している。まだ親方日の丸に甘えている
実際の末端配達は軽四やバイクで今後もできるから大丈夫だと思うが、拠点間輸送や集荷は委託することになる。
一体、日本郵便は誰のために事業を行っているのか。日本郵便従業員の論理で事業を行っているのか。利用者ファーストだろう。今回の米騒動なら消費者に、南海トラフ巨大地震などの有事なら被災者に、正確、丁寧、迅速、安定的に届けること。それが日本の物流の基本だ。物流事業を行っている企業が誰に貢献するのかわからなければ、物流を蔑ろにしていて事業放棄ということになる。まさに日本郵便だ。
卸で介在するJA全農も同じ。NHKも受信料という名の放送税を国民から取っているのに職員が使い込みをする。法律で独占的に守られている組織は緩みが出やすい。組織の足元から腐っていき、最後は倒れてしまう。
日本は農産物も工業製品も、ものづくりは世界一だと思う。そして親切、おもてなしの人情も世界一。物流も世界一になって国民生活に貢献してほしいと思う。