自殺未遂を起こした1年半後、大きい精神科の病院に入院した。模範患者だったので、たった1ヶ月で退院。退院するとき主治医から転地療養を進められた。病院から1人母だけが暮らす和歌山へ単身引っ越した。主治医から退院する時、意味深なことを言われる。普段の生活でストレスになっているものからは遠ざかっていることが一番の療養になると。主治医が何を言わんとしているのかサッパリわからなかった。

 

2011年3月にうつ病と診断され、診断されてまもなく自殺未遂を起こした。その年の10月に「ツレがうつになりまして」という邦画が公開された。その時自分は公開を知らなかった。この映画はうつ病にかかった夫(堺雅人)とそれを支える妻(宮崎あおい)の物語だった。2020年頃にやっと気づいた。2時間くらいの映画だが自分も見た。今でもYoutubeで見れるときがあるようだ。宮崎あおいと堺雅人と言えば、2008年NHK大河ドラマ「篤姫」で夫婦役で出演し高視聴率をとった。自分も1年間かぶりつきで見ていた。主人公二人は好演だったと思う。

 

この映画の監督や脚本のことは詳しく調べていないが、このうつ病にかかった主人公の症状や行動が発症時の自分ととても重なる。この映画のシーンにも自殺未遂の場面が出てくるし、きっかけも当然描かれている。夫は症状が快方に向かい、これからも夫婦で乗り越えていくことで映画は終わる。

自殺未遂のシーンで夫が泣きながら話していることを聞いていると、こちらも声に出してもらい泣きしてしまった。ただの映画なのに夫の気持ちが本当によくわかる。そのまんまである。

 

その映画をみて1~2年後に突然自分の記憶喪失していたきっかけを思い出した。原因は元嫁の一言だった。それまでも毎日のようによく似たことを言っていたのだが、原因の一言は自分の限界点を超えていたものだった。言い換えれば言ってはいけないようなことだった。思い出してももう平気だし、心が乱れることもない。だからこそ思い出したのかもしれない。記憶喪失は無意識に自分を守っていたのかもしれない。

 

元嫁は自分を死に追いやろうとしたが、結局助けた。そしてもう二度と変な気を起こさせないためにきっと医師にも注意されて事実を封印してきたのだろうと思う。自分で思い出せたのだからそれでいい。元嫁とは元とつけている通り思い出す前にけじめがついている。主治医がストレスから遠ざかれと言っていたのは元嫁から離れろだったんだと合点がいった。

 

映画では夫にできすぎの妻宮崎あおいがいる。彼女だってほぼ一言で夫を自殺未遂に追いつめている。うつ病患者は大変な面倒見が要る厄介者、危険な病気前科者というような周囲の偏見や誤解を招く。

もうそろそろこのブログのように正々堂々あからさまに自分は障害者だと叫びたい。障害者手帳の更新申請も精神障害が認められないと不交付になった。でも障害者であることに誇りをもって再交付申請をして結果を待っている。

 

自分は生きている。今は心から生きていて良かったと思う。

人生、辛いこと、苦しいこと、悲しいことの方が多い。だからこそ楽しいと感じることもある。

あまり頑張らず、あまり目立たずに、少し利己主義でほどほどに生きていたい。