高校時代、仲良しの友がいた。1年生、2年生と同じクラスで休み時間も教室で他の友2人計4人で雑談したものだ。彼の身長は約180cmで男前、1年生の時から同じクラスだけでなく他のクラスの女子からキャーキャー騒がれラヴレターをよくもらっていたが、明るくカッコいい彼は誰とも付き合いしなかった。因みに自分の身長は167cm。
2年生の1学期、クラス別対抗の球技大会が開かれた。競技種目はバスケットボール、バレーボール、サッカー(男子だけ)。彼も自分も運動神経がとても良かったので、どの種目も先発レギュラーだった。彼は高身長を活かしてバスケットではチーム一番のポイントゲッター、バレーではアタッカー、その時必ずトスを上げていたのはセッターの自分。サッカーだけ自分がゴールを決めていた。
球技大会は同じクラスの女子が男子の試合を応援する。試合コート脇は応援の女子がスズナリで彼がいる自分のチームは呆れるほど女子から黄色い声が飛びまくり彼はアイドルかと思った(笑)。
自分のクラスの男子は球技大会で優勝した。彼の名は学年全体に知れ渡っていた。まだ社会問題として少子化が取り上げられていない時代で学校の中は生徒だらけという感じだった。自分が在籍した公立高校は1学年約370人、9クラス、男子6:女子4だった。
毎年秋10月に体育祭が行われた。チーム対抗戦の形式をとり、競技種目、応援合戦、マナーなどを来賓(PTA、OBOG)、校長先生、教職員が採点して得点を争うことになる。1年、2年、3年から1クラスずつまとまって1チームを構成し、9チームで優勝を争う。1周200mのトラックを校庭グランドに設営。
体育祭の1ヶ月以上前にチームの競技種目の代表を決めるホームルームがある。自分たち2年生が出場しなければならない種目もいくつかある。2年生が出場しなければならない種目の代表は1つを残してすべて決まった。最後は第1走女子100m、第2走男子200m、第3走女子300m、第4走男子400mのスウェーデンリレーだった。
第1走女子は帰宅部の女子で比較的健脚ということで白羽の矢が立った。第3走女子はバスケ部キャプテンで他の出場種目とかけもち。抜群の運動神経。第4走アンカーは親友の彼。陸上部で中距離選手。他の出場種目とかけもち。自分のクラスの真打ちで最終兵器。
最後に第2走男子が決まらず、自分は何も参加したくなかったので下を向いて静かにしていたら何の種目にも参加していないのでおまえがやれと寄ってたかって言われて逃げきれず渋々承諾。スウェーデンリレーの出場選手になってしまう。何せ本番では1,000人を優に超える人の前で走るのだから勘弁してほしかった。自分は剣道部。剣道大会のチームポジションは大将。球技も駆けっこも大好きだったが。
2年生9チーム対抗のスウェーデンリレーの体育祭競技演目順は一番最後。リレー直前までの自分たちチーム(1~3年)成績は第2位、逆転総合優勝するにはリレーで2位では無理で1位を取るしかなくなる。
2チームが棄権となったため、7人で第1走100mよーいドン、うちの女子は先頭から3m、2番目から1mくらい離れた3番目で自分に走りこんできた。自分の受け持ちはトラック1周の200m、100mくらい走った地点で前のランナーを追い抜いたが、先頭には追いつけず、1mくらいの差で2番手で自分は第3走女子にバトンを渡した。
第3走女子は受け持ちの300mで自分が縮めた先頭との1mの距離を埋められず、そのまま第4走アンカーの親友にバトンを託した。親友の受け持ちはトラック2周の400m、陸上部中距離選手で高身長のイケメン。早い、早い、先頭を300m手前地点で抜き去る。自分のチームが陣取って応援している真ん前でトップに躍り出る千両役者ぶりで、チームは小躍りして悲鳴が上がるほどの熱狂大歓喜の中ゴールイン。チームは総合優勝を飾り、彼は男振りをさらに上げってしまった。
いままでまったく感じたことがなかったが、この彼への賞賛騒動で自分は彼の引き立て役をやっていたのかなと思った。リレーの最初は3番で自分が1人だけ抜いて2番、彼が最後1番に躍り出るなんてシナリオがあるみたいで彼は何かをもっていると思った。どこにでもヒーローがいるもんだ。
彼はこれがきっかけで第3走女子とお付き合いが始まり、社会人になってほどなく二人は同級生結婚した。今ひ孫もいて夫婦とも元気で幸せに暮らしている。健康でこれからも穏やかに幸せに生きていくことを祈りたい。
翻って自分だが、高校生時代から今も胃腸が丈夫なのか何を食べても美味しい。そしていくらでも食べれて、とても幸せなことだ。自分に甘いので生活習慣病になりやすい。社会人になってもいくつになっても仕事のお付き合いでもプライベートでもよく食べる。たまにダイエットするが3年ほどするとまた食べてしまう。辛抱できずにリバウンド。それの繰り返しで生きてきて体重は20歳頃より20kgも増えた。
痩せている友人が胃腸が弱く何を食べても砂を噛むようで美味しくなく、あまり食べれない、肥えられない。しまいには代わってほしいと言われ、こいつ喧嘩売ってんのかと思うことがよくあった。
すると167cmあった身長が自分の重みで少しずつ縮んで164cmになってしまった。重力で腰骨の間にある軟骨がすり減ったり、地面に両足がめり込むようなもので、45年で3cmも縮んだ。健康診断で身長を測るたびに自分は小さくなっていくのかと思う。これで腰が曲がり出せば、爺さんになってしまう。
身なりが高身長とジムなどで鍛えぬいた筋肉質の身体の男性が素敵だという女性をテレビなどで見聞きするが、それを聞いていると、はなから圏外にいる自分に絶望する(笑)。自分はただのジジィだと叫びたくなる(笑)。