他人や物事を測る物差しが確立している人で老若男女は問わない。いわゆる自分の生い立ち、環境、人間関係で経験したことから出来上がった価値観である人に対して、あなたはこうだと一方的に何かに当てはめる人のことを「決めつける人」という。

 

決めつける人は厄介な人。言い換えれば他人に対して頑固者で譲らない人でもある。こういう人ほど他人の心を傷つける。他人にレッテルを貼ったら、もうそれを変えない。無神経でまったく優しさのない人である。

 

自分は約30年前に亡父が一代で築き上げた会社で社長をしてた。父は会長に退いて。二人とも単独で代表権をもっていた。父は自分が代表取締役社長になって4年後に会社を潰した。父の会社に22歳で就職してひたすら会社倒産まで働きづめだった。倒産の後始末もあって引きずっていたので、さらに6年関わっていなければならなかった。それからも起業したり閉鎖したり過重労働が続いた。

 

ある日、心と体が一度に悲鳴を上げて壊れた。

壊れる予兆はあった。睡眠障害、就寝中両足同時けいれん、事務作業の単純ミス、同じミスを繰り返す。1つの作業処理時間がどんどん長くなる。作業処理に優先順位をつけれない。自信喪失、自己嫌悪。

消化器内科クリニックにいったらうつ病の診断。心療内科クリニックに転科。精神科病院へ転院。そこから約2年近くの闘病生活をした。軽傷だったが障害者手帳の交付も受けた。

 

心療内科の先生から「ほんとうによく頑張ったんですね。大変だったでしょう。もう頑張らなくていいんですよ。何も考えず、ゆっくり療養しなさい」と思いもしない言葉をかけられて、目頭と鼻の奥がジーンと熱くなって泣きそうになった。自分の心の底に響いた。あー、自分はこんな言葉をずっと待っていたんだと思った。転院した精神科病院の医師は「頑張らないようにすることを頑張ってくださいよ」と言われて気分が晴々とした。二人の医師の言葉は心の奥底の闇に落ちていく自分を救ってくれた。二人の医師は自分に寄り添った言葉で治療してくれた。医師だから当たり前かもしれないが、自分にはかけがえのない縁に恵まれたと思っている。

 

翻って、決めつける人は相手の心中を思いやらず、気にしすぎとか、こんな風にやってみたら、そんな物の見方をしてはいけないとか否定的な言葉で命令気味だが、決めつける人は自分が相談せずに質問したり反論すると攻撃されたと悪意にとる。

 

このように決めつける人は根本的に他人の気持ちや状況をまったく慮れない人に進呈する呼称ともいえる。