母へ
あなたから生まれ、あなたに育てられ、わたしはこんなになりました。あなたにわたしはどう見えていますか、どう感じますか。
わたしはわたしが嫌いですが、こんなになったわたしのことを、恥だとは思いません。誇りを持って嫌いだと言います。
あなたには、感謝しています。恩を感じて、それを返さねばいけないと思っています。
同時に、はやく縁を切って、もう他人のように生きたいとも思っています。あなたのことはとても好きで、とても嫌いです。気持ちの振れ幅が大きくて申し訳ありませんが。
あなたのため息が嫌いです。声も嫌いです。人の話を聞かないところも、小声で文句を言うところも、くしゃみの声が死ぬほどうるさいのも、全然片付けないくせに汚い汚いというのも、ついでといってものを頼むのも、大っ嫌いです。
あなたの明るいところが好きです。寝てる顔も好きです。たくさん話すところも、よく聞こえる大きな声も、すぐ泣くのも、ぐーたらしてるのも、壊れかけの洗濯機を使い続けているのも、大好きです。
あなたはどうなのでしょうか。わたしのことを、どう思っているのでしょうか。
情緒不安定で気性の荒いわたしのことを、怖がっていたのではないですか。気さくに話す時と、ブチ切れるときとがあるわたしを、怖がっていたのではないですか。
ときに、死にたいといって、手首を切っていたわたしのことを、心配していましたか。急に不安になって泣き出したり、暴れ出すわたしのことを、どう思っていたのですか。
わたしが大学で学んだことを話すと、すごく褒めてくれて、おもしろがってくれて、卒展も見に来てくれて、論文も読んでくれて、わたしはうれしかったです。
あなたに認めてもらえたと思いました。
それは気のせいだったのですか。
わたしはもう、あなたに頼らず生きていたい。そんなことは、まだ無理なのだろうけど。