おねーさんたち

テスト初日を終えて

お昼食べて

自分たちのお小遣いでからあげ棒買ってきて

録画してあったレンタル救世主見ながら食べて。

あと1日

自分のペースでがんばってー。

ってか

A子はリビングで寝てる。

B子はイヤホンしてパソコン観てる。

『いつもどおりのこと言うよ。死んだ』

っつーから

かーさんもいつもどおり

「この勉強量で"完璧だった!"って言われたら
そっちのがびっくりするわ」

って答えた。

あとは

テストの朝はいつも言う

「名前だけは書きなよ。
ゆっくり丁寧に書いたら落ち着くから」



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朝ちび子を送って

帰って来てひと息ついたら

急に昔のことを思い出しました。

母があたしを抱いて

おねえの前で言うのを。

『○○○(おねえ)泣かすにゃ刃物は要らぬ

めーこ好き好きすればいい』

って言うのを。

それで

母がおねえを泣かしていたことを。

…ぞくっとしました。

悲しくて

怖いことです。

あたし自身には嬉しいとか優越感はなかった。

ただ

母はおねえよりあたしが好きなんだ

って思ったし

大きくなってからはそんなことはなかったし

おねえも泣くことはなかったけど

母が

おねえよりあたしが好きなんだ

って思うことは

たくさんありました。

でも母は

よいこなおねえを褒めて

あたしには炊飯釜を投げつけました。

あたしは普段

母から『ちび』って呼ばれてて

時々『ぐすら』って呼ばれてました。

ぐずだからって。

ほんで

『私はあなたたちを分け隔てなく育てた』

ってよく言われました。

…何も感じてない

ただ聞いてただけでした。

それで

あたしは今

人間だから可愛い可愛くないは時々あるけど

誰々泣かすにゃ…

とは言わないだけ。

言っても

嬉しくも

楽しくもありませんから。