おねーさんたち

ど緊張。

緊張するよね。

とーさんは

『じゃ、頑張って!』

って言ってた。

かーさんは

「でっかい声で気持ち好く歌っといでー」

って見送った。

楽しみ♪


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『高校生になったら
俺が毎日 弁当作ってやろうか?』

とーさんのこの一言に始まって

今朝、初めて

とーさんとかーさんでお弁当を作った。

「じゃあ中学生のうちから
お弁当の日に練習してみたらいいじゃない?」

『最初だけ、お母さん一緒に作ってよ』

マジか!?

…というわけで

今朝が初回。

昨日のお買い物で

あたしは

とーさんでも出来そうな材料を買った。

本当に作って欲しいから。

いや

正直に云うと

最初っからムカついてたから。

とーさんは料理したことなんてない。

『やったらできる』

ずーっとこう言ってて

ずーっとやらなかった。

献立を考えたり、材料の買い出し

高かったら…材料が売り切れだったら…

変更プランを考えなきゃ

熱いものは冷ましてから

どうやって詰めようか

季節によって傷まないように

作るまでに

すっげー気ぃ遣う

…弁当づくり、ナメんなよ

『ウインナーと卵焼き入れりゃいいんだろ?』

って、はー??

卵焼き焼けんのかこら

水気を切ったり

芯まで火を通したり

ザルや皿、フライパンやまな板、ボールも

洗いながらじゃないとスペースないんだぞ

第一、早起きだぞ?

人の気も知らないで簡単みたいに…

やれるもんなら やってみろっつーの(-_-#)

って思ってて。

これであたしが

「とーさんお仕事もあるし大変だから
お母さんが作るよ」

っつったら

一生この機会はやって来ない。

半分"できねえくせに"と思いつつ

ここでとーさんが作れるようになったら

超 願ってもない話

なぜなら

あたしは家事が嫌い

増えないに越したことはない。

あと、本当に作るようになったら

子どもたちの父親に対する見方や想い

少しよい方向に向かうきっかけになるんじゃないか

って思ってる。

とーさんのが凝り性だから

最終的にはキャラ弁まで作りそうだし

まずは簡単で基本的なのを

盛り上げながら

"作った感"で

『どうだお父さん、すごいだろう!』

って気分になったらいいなあ

…主婦の仕事をバカにしてるとこがムカつくけど

そこは我慢じゃ。みんなのため。

…あたしが楽するため。笑

あー。

朝からあたし

頑張ったよー。

とーさん

『火加減わかんない』っつーし

『切ったことない』っつーし

フライパンは床びしょびしょにしながらすすぐし

皿が多過ぎるって

必要だからだよ

嫌ならバットにでも並べたらいいじゃん慣れたら

焼けたかわかんないっつーし

ウインナーは喰えそうに見えたらいんだよ

いつも喰ってっから見てんだろうが

ほんでも

わかんねーわかんねーって

どこがやればできんだよ。ったくねー?

最初から完璧にはできなくていいの

それでも

とにかくプライドを傷つけないように

わかりやすく丁寧に説明しながら

一緒に作った。

おねーさんたちに教えるより大変

怒らせたくないし 怒られたくない

『じゃあもうやんねえよッ!』

ってキレられなくもない。

おねーさんたちの本番への緊張以上かも

あたしは

変な汗をかきながら

前日に出来る下ごしらえもあえてやめて

バカにしないように

御膳立てし過ぎないように

とーさんに自信が持てるように

やってもらったり やって見せたりして

いつものタッパーじゃなくて可愛いお弁当箱にして

なるべくとーさんに

自分でやってもらった。

とーさん

形から入るタイプだし。

今までで一番

神経遣ったお弁当づくりだった。

ホッとしたのは

こまごまと詰める時

とーさんが

『ああ、楽しい』

って言ったこと。

楽しいなんて言ってられんのは今のうち

って思うのはあたしで

とーさんは

この"楽しい"を続けていける気がする。

とーさんのプライドを利用して

『出来ない』『やらない』

…って言えないように

喜んで励ましたあたしのずるさに

ちょっと胸が痛むけど

内心"やーりー♪"とも思ってる

やっぱりあたしは

腹黒い。

おねーさんたちは

はじめは

『げ…お父さんが作んのかよ…』

って言ってたけど

楽しみにしてて

今朝起きたらお弁当箱が置いてあったの見つけて

嬉しそうだった。

とーさんにも

「せっかくだから残りを詰めて
お父さんのお弁当も作ったらいいじゃない?
朝作ったお弁当がお昼に食べた時はどんな味か
わかるよ」

ってお弁当箱を渡した。

だからとーさん

本日は"弁当男子"

俺が作ったんだぜって自慢しちゃえるね。

ありがとう。お疲れ様。

あたしも

とーさんと台所に立って

へろへろ

お疲れちゃん。

ごねるちび子を保育園に送り届けて

これから保健センター

がんばっぺーp(^-^)q






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お弁当の件でとーさんにムカついてるのは

主婦のやることは誰でもできる簡単なこと

って

"やりもしないで"思ってること。

確かに簡単にしようと思えば簡単にできる。

でも とーさんがやってる仕事と同じだよ?

決まった範囲だけじゃないしトラブルもある

臨機応変に行動する。

バカにされるとイヤね。

あとは…

主婦ってことじゃなくて

"個のあたし"の立場とか、気持ちとか

見てない 見ようとしてないところ

あたしは悲しいんだと思う。

違うと頭でわかっていても

どうしても

"あたし"は粗末にされている

"あたし"は大事にされてない

"あたし"は求められてもいない

…そう思ってしまう。

大変さはさ

全く同じことをしても

感じ方は違うし 余裕も違う。

何を重視して何を最優先にするのが

自分にとって好いものなのかも違う。

だから心持ちも違う。

大変さ比べなんて意味がないかもしれない。

ああ

あたしはいつまでも

わかってほしいと思ってるんだね…

わかってもらえなくてもいい

わかるなんて不可能

"わかってくれようとしていることを感じたい"

あたしが求めてることは

"わかる気がするなあ"

っていう"想い"なのかもしれない。

結局あたしは

とことん"あたし"なのよ。

あたしが可愛くて

あたしが大切なのよ。

あたしは

どう変わっていこう?

あたしは

どう変わっていきたいの?