「珈琲店タレーランの事件簿」
最近、大手書店の店頭で、「謎解きはディナーのあとで」と併売しているこの1冊。
「珈琲店タレーランの事件簿」(宝島社)著者は新人岡崎琢磨氏のデビュー作になる。
「謎解きは・・・」と併売している理由は、どちらも短編ミステリーという事と、宝島社が、「売りたい」作家という目論見もあるのだろう。
初版は2012年8月(発売は7月)今回の重版で7刷り20万部を超えた。
昨今の出版不況の中では、「当たり」といえる。
かつて、文庫といえば大手は、文春(文藝春秋社)・新潮社・講談社と来て角川書店。
ミステリー・SFなら早川書房、今で言う所のライトノベルの先駆、集英社コバルト文庫。
もちろん、集英社・光文社・双葉社・朝日新聞社・中央公論新社など老舗だが、「謎解きは・・・」は小学館文庫、「珈琲店タレーランの事件簿」は宝島社と、いわゆる大手ではなかった出版社の刊行が目立つ。
幻冬舎もしかり、出版界ではまだ歴史も浅いが、本屋さんの文庫コーナーへ行けば、それなりに棚を占有している。
(個人的には、東京創元社・現代教養文庫・朝日ソノラマも好きだった)
雑誌の売れ行きが低迷(いや今はもっと深刻な状態)の中、書店サイドが売れる本を並べるのではなく、自らの店舗でヒット商品を生み出そうという努力がここ数年続けられている、「本屋さん大賞」は出版社主導ではなく、書店側が作り上げた努力のたまもの。
さて、「珈琲店タレーランの事件簿」個人的には、ライトノベル的な印象。
読みやすく、珈琲好きな人には(私も含む)たまらない蘊蓄もちりべられていて、読者が勝手に感情移入しやすい、環境を作り出している。
やや、強引な(ご都合主義)は否めないが、毎度云っているとおりご都合主義ではない、フィクションはありえないので、楽しく読めればそれに、こした事はない。
難しい本を読んだ後の息抜きには、ちょうどいい読み物かもしれない。
なにせ、これがデビュー作なので、これからの作品に期待したい。
