副業でやっている家庭教師中の出来事。

春休み明けの実力テストに向けて懸命に指導していた。

俺「じゃあ次の文、I love Japanese music.これ訳して。」

生徒「えっと。私は日本の音楽が好きです。」

俺「よく出来ました。じゃあ次・・・」

生徒「先生。英語とは関係ないですけど。日本の音楽ってなんですか?」

俺「日本の音楽って言えばしゃみせんとか琴じゃない?」

生徒「じゃあ和太鼓とかも?」

俺は勉強を楽しく教える為に常に笑いを取り入れる事を心がけている。

だから俺は今日も言った。とっておきのナイスなギャグを。

俺「うん。そうだね。後、めんたいこね。」

まさか、楽器と海産物をかけて来るなど夢にも思わないであろう。

意表をついた俺のギャグに悶絶必至なはず。

し か し

生徒「・・・・・・・・・。」

時が凍りついた。

明らかに困った顔をしている生徒。

俺と目を合わせようとしない。

机の上に置いた時計が秒針を刻む音だけが部屋に響く。

数秒の沈黙の後、生徒は漸く口を開いた。

生徒「ごめんなさい。反応出来ませんでした。」

まるで自分が悪い事をしたように、笑えなかった事を謝る少年の優しさが痛かった。

もの凄く痛かった。

めんたいこじゃなくて波野タイコとボケるべきだった。