"動け、動け、動け"
産院までの道中、ずっとお腹に言い続けた。
いつも運転していると、ぐいーんとした強い動きや
下腹の左右を刺すような痛いくらいの胎動を感じていた。
"ほら、いつものように動いてみてよ!!"
今動けば
「すみません、勘違いしてたみたいで来る途中で元気に動きました!」
って笑って帰れるのに…
結局、動きを感じないまま産院に入った。
外来のNST室に通された。
「心配だよね、確認してみようね」
と助産師さんは心拍を測る機械を持ってきた。
「ママを心配させちゃダメよ〜」
と明るく機械をお腹に当てた。
ザザッ…ゴッ‥
位置を変えるたびにマイクの擦れる音を拾うだけで何も聞こえない。
「あれ、ちょっと待ってね」
と退室し、別の助産師さんを連れてきた。
何度も場所を変えて機械を当てる。
わたしは過去の検診で、この機械が15週の胎児の心拍を拾う事が出来ることを知っていた。
臨月の、出産間近の子の心音が拾えないわけがない。
私「…心拍、ないんですよね」
助産師「うん…。」
うわぁぁ、と 叫んだ。
私「なんでっ、もっと早く…! すぐに連絡してたら…! (胎動)ないの、気づいてたのに…!」
助産師「違うよ、違う、ママのせいじゃない、大事な事やから先生に診てもらおう。エコーでもちゃんと診てもらおう。」
助産師さんは泣き崩れる私を支えながら診察室へ案内した。
通常、院長先生だけで診ている産院だが、夜間の当直で初めて見る別の医師が対応した。
エコーを当てて直ぐに異変がわかった。
いつもと全然違う。
動きが全くない。
これまでエコーを当てるとどこかしら胎児の動きがあった。それが本当に全くない。
医師「これ、赤ちゃんの心臓部なんだけど、動いてないです。」
エコーでも心拍を測るも、反応はない。
医師「原因は産まれてみないと分からないけど、お腹で亡くなってしまっています。これから院長先生に連絡して対応を考えます。御家族に連絡できますか。」
薄々はわかっていたが、
いざそれが現実となると頭が回らない。
泣き叫ぶことも言葉を発することもなく涙を流しながらエコー画面だけを見ていた。
医師の言う言葉を理解しようとする頭と何も考えず逃避しようとする頭がぶつかる。
助産師さんは、反応がない私を一旦先程の部屋に戻し、ベッドで少し休むよう促した。
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そうちゃんの死産については、「次男の死産」としてテーマ分けしています。思い出すのが辛い事もあり、更新がゆっくりになっています。