一人目の男の眼鏡に地下駐車場の蛍光灯が反射する

 

必死に男は家族の事、妻の事を語り

 

何故、出会い系をやっているのか律儀に語りだした

 

その男にまったく興味を見いだせない私は

 

腕時計を無意識に見てしまう

 

そして男が語った後は私のターン

 

夫とうまくいってないことやちょっとした最近の出来事

 

そしてまた腕時計を見ると15分経っていた

 

ここでもうギブアップというところで

 

ちょっとした小芝居を演じそそくさと助手席を飛び出す

 

男はあっけにとられた顔をし

 

「また連絡するから!」と

 

私は去り際に引きつった笑顔で手を振った

 

どっと疲れを感じ、出会い系の男とはこんなものなのかと

 

少しがっかりした

 

そのままこの日はモールで買い物をして帰った

 

そして次の週ーーーーー

 

2人目の男も顔写真交換もせず言葉だけのやり取りで

 

夜会う約束をしていた

 

1人目ががっかりだっただけにまったく期待していなかった

 

仕事から帰り、急いでキムチ鍋の準備をする

 

夫に食べておいてと手紙を残し

 

着替えて待ち合わせ場所へ向かう

 

待ち合わせは大きな映画館のある駐車場

 

先に待っていると隣に疲れた顔した年老いた男性が軽自動車でやってくる

 

まさかまさか...これじゃないよね

 

またハズレか

 

とカカオに「今着いてハザードたいてる白のSUVです」とメッセージ

 

周りをきょろきょろすると3列斜め前にハザードがチカチカしている

 

白のGLBが泊まっていた

 

カカオでやり取りをしているときは少し育ちの良さそうな言い回し

 

のする人だなぁと好印象だったがお互いに乗っている車の話なんか

 

はしていなかったのでまさかベンツ乗りとは

 

少し尻込みをしながら私はそのベンツに向かって歩いて行った

 

つづく