殺戮にいたる病/我孫子武丸 | 一事が万事、これだから。

一事が万事、これだから。

最近読んだ小説や漫画、観た映画や日常的な事をぐだぐだと書いていきます。

殺戮にいたる病/我孫子武丸

----------------------------
永遠の愛をつかみたいと男は願った―。
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。
犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。
冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
----------------------------

どっかのサイトで、大どんでん返し好きにお薦めとあったので購入してみました。
グロイの駄目な人は止めたほうがいいともあり、sawとか見てるし大丈夫だろうとか思ってたら・・・
甘かった・・・orz

映像より文章の方がぐろく感じるなんてあるんですね。
それとも自分が女性だから、余計に「うっ!」と思ったのか。
グロイシーンは途中から斜め読みしました。

さて、大どんでん返しがある、と分かった上で読み始めたこの作品。
絶対騙されないぞ!と意気込み読んだのですが、見事に騙されました

主人公・犯人・犯人の身内
視点で進むストーリー。

ずっと犯人は息子だと思っていたよ。
まぁある意味息子なんだけど。
ミスリードさせる母親の存在が大きかった。

犯人が逮捕されるシーンから過去に遡って始まるのですが
主人公の推理内容や、犯人の身内視点から
「犯人は息子の大学生」と思い込んだけど、
実際は「大学関係者の旦那」だったというオチ。

犯人の身内=妻はずっと息子の様子を訝しんでいて
最期の方では息子が犯人だと決めつけている。
その理由が、実は息子が父親の様子が可笑しいと思い
後を付けたり、父親が撮った犯行現場のビデオ、被害者の身体の一部。
を発見してしまい、それを家族に言えなくてひた隠しにするが故だった。

そりゃ、自分の父親が変態の猟奇的殺人者とは家族にだっていえない。
母親も同様で、勘違いしたまま息子を止めなければ!と思っている。

この勘違いがとても大きくて、最期まで犯人=旦那とは思えなかった。
そう分かるのが、最期の1ページ。(微妙に2Pかな)

「あなた、お義母さまになんてことを!」

あなた=旦那をさす言葉
そして義母=旦那の母親。つまりある意味息子視点というのに間違いはなかった。すごいひっかけ。

ようは実母に歪んだ愛情を抱いていて、でもそれに自覚がなくて
若い頃の母親に似たような人達を殺していくわけです。
そして最後に、自分が一番求めていたのは母親だと気付いて、母親を殺し、その後逮捕。

止めようとした息子も、最初は父親だと思ったもんなぁ・・・
でも息子普通に殺しちゃうお父さんって・・・。



我孫子氏の作品は他にもこういうのあるのかなー?

我孫子武丸といえば、かまいたちの夜
1~3までやった身として、確かに好きな作品ではあるが、こういう小説も書かれるとは思わなかった!
でも3は結構ぐろい章もあったし、そういう方面を書くのが好きなのかなー?

またサウンドノベルやりたくなった・・・。