虚夢/薬丸 岳
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愛娘を奪い去った通り魔事件の犯人は「心神喪失」で罪に問われなかった。
運命を大きく狂わされた夫婦はついに離婚するが、
事件から4年後、元妻が街で偶然すれ違ったのは、忘れもしない「あの男」だった。
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天使のナイフ
の著者の他の本。
気になってたけどハード本は重いからなぁ
なんて思ってたけど結局買っちゃいました。
まださわり程度しか読んでないのですが
スタートで12名の死傷者が・・・。
娘だけだと思ってたらかなり残酷に他の子供や老人らも
殺されてしまいます。
これだけ人を殺して無罪になるのか・・・
子供達が公園で積もった雪で遊んでるという
幸せな図のスタートだったので、余計悲惨です。
天使のナイフも複雑に過去の少年犯罪が絡まってるなと
思いましたが
(妻の犯罪・妻の弁護士の犯罪・妻を殺した少年の犯罪)
これも中々に絡まっている!!!!
精神的な内容なので、まさか!と思う事ばかりです。
妻が精神病かと思ったらフリをしていたとか。
まともだと思ってた女性(ユキ)が精神病だったとか。←一番びっくり
そして、娘を殺した犯人は結局病気は治っていなかったとか。
妻は犯人を殺す気で長い間精神病のフリをしていたんです。
病院も、法も、自分がちゃんと病気じゃないと見破れるだろうかと。
小説だからこそ面白いと思ったのは
大学病院で働いている「先生」が主人公とその妻の
大学のサークル友達で、実はユキの知り合いでもあったっていう。
これがドラマなら顔見て一発で分かるけど
小説だからこそ、ユキと話している「先生」が
主人公の友達とイコールにならなくて後々びっくりしました。
また、作中での「先生」の言葉に深く考えさせられる事がありました。
「たとえばガンになった人の苦しみは、完璧でないにしろ想像出来る。
だから痛みを理解できる。
けれど統合失調症はその当人にしか恐怖が見えない。
だから想像出来なくて、理解が難しい」
うろ覚えですが・・・。
精神病って、そうですよね、当人にしか分からないんですよね。
天使のナイフの主題もこの作品の主題も
私はいつも「必要ない」と思っている法律です。
どうしても被害者側へ同情してしまうからです。
しかしこの人の作品はいつも、被害者側が加害者を怨んでいることから
話をスタートさせ、感情移入させつつ、加害者側の幸せをうつして
「必要ない」という気持ちを揺らがせます。
天使のナイフでは、亡くなった奥様には幸せになって欲しかった。
虚夢では、ユキに幸せになって欲しかった。
(ユキの場合、被害者側から怨まれていませんが)
著者の薬丸岳氏は、結局どっち派なのだろうと考えてしまいます。
加害者側の気持ちも配慮しろ?
この法律はだから難しい?
・・・分かりません。
あくまでフィクションだから、読んでいると確かに加害者にも
幸せになってほしいと思ってしまいますが。
現実問題、やっぱり報道を見ても加害者には同情出来ない気がします。
精神が病んでるから何?
未成年だから何?
過去に辛い過去があったから何?
どれも殺された理由にはなり得ません。
これらの問題は解決することがあるのでしょうか・・・。
薬丸岳氏の著書は残り闇の底のみかしら。
これも是非読みたいです。
また、どんどん本を出してもらいたい!
この人の本は読みやすくてのめり込みやすい!
