どんなにか忘れようと自らに禁じても
思いは胸のうちからあふれて・・
夢の中にただようかに見えた
恋人の短夜(みじかよ)
この世ではかなうはずもない
二度と戻ることのできぬあの人生の春ゆえに
藤壺の宮はわたしの永遠の人となった・・

 


教養もたしなみもこのうえなく・・
風流好みの貴人たちにかしずかれた女王・・
あの人によって初めて知った恋の甘美さ
恋のおそろしさ
心に魔を棲まわせて なお高貴に美しかった
年上の恋人・・
あの人こそ女人のすべてを兼ねそなえた
そしてそのすべてでわたしを愛してくれた 
  六条御息所




あさがおの花にことよせて慕った 折に触れては 
よしあるたよりをかわした 年上のいとこ
  あさがおの君


一夜の花のように はかなく散っていった
あどけない妖精のようだった 夕顔の君

 



女人のしんの強さを 高さを 一枚の薄絹で
わたしに教えてくれた 慎み深い人妻・・空蝉


運命に流されず しなやかに自分の道を
拓いていった  美しい  玉鬘




大胆であざやかな 大輪の花のような人・・
若い日の熱と 心おごりをともにした人 朧月夜

心おごり  自惚れ 得意になること


画像全て 拝借
光源氏の出家前の言葉
あさきゆめみし   大和和紀さんより拝借

源氏終焉の幻の巻では源氏の独詠歌が多い
残りの贈答歌にしても紫の上への想いが溢れている

これ程までに紫の上を愛していたのか・・・と
読者としては、やや驚いてしまうほど
だったら、なぜあんな裏切りができたのよ、と文句の一つも言いたくなる。が、たぶん光源氏自身にとっても、彼女への思いの深さにあらためて気づき
失ったものの大きさに打ちのめされた一年だったのだろう
  愛する光源氏物語 俵万智さんより 拝借

ある日女房達が空を見て騒いでいます
「御方さま、明石の御方さま・・」
「なにごとですか?そうぞうしい」
それはきれいな紫色の雲が山にかかっていました
見たこともないような美しい雲・・

明石の御方も山を抱くようなその雲を見て
「・・まあ・・本当に美しい光景だこと・・」



明石の御方は、その場で気を失ってしまいます
女房達が「いかがあそばされました?」と慌てます




あのかたは・・
紫の上さまにお逢いなされたのであろうか
あの・・
美しい雲の中で・・

  あさきゆめみし   大和和紀さんより 拝借


他にも心に残る場面あります
人として学んだ場面も多く、現代にも通じる
人間模様そして恋模様

私の好きな紫の上、花散里も振り返りたいと思います

今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m


夏の衣にお召し替えになる今日は
特に、紫上様をお偲びになる
お心がつのることでございましょう

羽衣(蟬の羽)のように薄い
夏の衣装に替える今日からは
空蟬のようにむなしいこの世が
ますます悲しく思われます

光源氏〈終焉〉幻(まぼろし)
壱やさんブログ より拝借