大切なことは、目に見えないからね
星の王子様 サン・テグジュペリ
前回はこちら
33才で結婚して夫婦となった私達。
まさか、こんなに遠回りするとは、、
今思うと、
生命の不思議さ。説明のつかない事が本当にあるんだ、と。
最初の赤ちゃんは
“忘れ物を取りに帰った”
のでは無く、
“私達のその後の展開を知ってて、今は行くべきではない”
と思って一旦帰ったのではないでしょうか‥。
そして、36才以降、子づくりを再開した私達の元に赤ちゃんはやって来ませんでした。
‥どうしようもなく悲しくて気持ちをどこに持って行ったらいいのか分からなかったあの日々。
赤ちゃんは辛抱強く待っていてくれたのかもしれません。
でも、もしも、
授からなかったとしても、
それはそれで、夫との人生を生きたと思います。私にとって、夫という伴侶に巡り会えた幸運。それだけで儲けもんです。
あの頃、昔話の子供のいないお爺さんとお婆さんの気持ちが痛いほど分かるようでした。
今と違って、年金もなければ、貯金もない。出来たお米は年貢として持っていかれてしまう。
自分達は年老いても働いてその日その日を生きるしかない。
山に行ったお爺さんは、この竹を割って中に子供がいたらどんなによかろうか、と思い、川で洗濯をするお婆さんは、この川から赤ん坊が流れてきたらどんなに嬉しかろ‥と。
そんな事が本当にあったら‥。
私は赤ちゃんを授かっても、私と夫の両親、家族以外には臨月まで黙っていました。
“口にしたら消えてなくなってしまいそう”
パート先のクリニックは午前と午後とシフトで交代してたんですが、午後パートは夜8時過ぎまで帰れなかったので、産後の復帰は無理でしたので、泣く泣く退職する事にしました。
前回、早い段階で職場の人に告げて悲しい結果になったので、今回は言う勇気が持てませんでした。
でも、もし何かあったら責任問題になるので、先生にだけは話していました。
そして、まだお腹が目立たない時期に、「家庭の事情で」と、退職しました。
赤ちゃんが生まれる、その日まで、ぬか喜びに終わりたくなかったんです。
翌年の1月。
私は40才になりました。
そして、
私達は3人家族に、なりました。