銀色夏生さんの詩集が好きです。


10代の時、表紙の美しさに惹かれて手に取ってから随分と時が経ちました。


沢山集めたけど、いつの間にかどこかへ行ってしまったりして、


でも、最初に買った


『微笑みながら消えていく』 

は今でも手の届く所にあります。



その中に、私の好きな一節があります。



「私の理想の恋人」


私の理想の恋人というものを考えてみました。

わかりやすく端的に説明するならば、例えばその人は頭のてっぺんから芽がでているのです。

人々はその頭のてっぺんから芽がでているからといって、その人をいやがります。

そして私はというと、私はその人の頭のてっぺんの芽がちっとも気にならないのです。理由は、わかりません。気にならないから普通にその人と接します。その人はとてもフラットな物の考え方をしているので私はとても好きになります。私はその人のことをとても素晴らしい人だと思うようになり、離したくない、できれば自分のものにしたいと思います。

その人は頭のてっぺんから芽がでているというだけで、他のだれもその人をほしがる人がいないので邪魔者がいません。私の恋は、頭のてっぺんの芽によって守られているのです。

そして、私が心をこめて愛するので、相手は私の愛をうけてちゃんと育ててくれるので、私たちは楽しく仲良く暮らします。これが私の理想です。

さて、私はというと、私にもたぶん枝や木の実がくっついているのです。それで普通の人からは敬遠されたりするのだと思うのですが、その人も私のそんなとこを気にならないのです。

それで他の人とはダメなのですが、その人とならお互いうまくいくんです。で、私たちは謙虚な気持ちで、出会えたことに感謝して生きるのです‥






この一節が、大好きでした。







‥頭のてっぺんの芽が他の人には気になるけれど、私達には気にならない‥







“できれば私もこのような人とめぐり逢いたい”






そう思うようになっていました。