未詳捜査官。
IQ201と天才的な頭脳の持ち主であり、日本語、英語、スペイン語を使いこなし、パソコンの画面をスクロールしただけで全て記憶する並み外れた記憶力を持ち、コンピューターに詳しくハッキングも得意。がさつで口が悪い上に喧嘩っ早い性格で、舌打ちを頻繁にするなど人を小馬鹿にしたような言動を取る。何回も財布を失くしたり、漢字が苦手だったりと抜けた一面がある。この他にも、作中では非常識な行動が目立っており、周囲から迷惑がられる事もしばしば。
ニノマエとの因縁が絡む、とある事件で左手首を切断する重傷を負い、左腕は三角巾で吊るしている。髪型はボサボサで、服装もグレーのスーツに白ソックスばかりだが、本人は身なりに気を遣っているつもりらしく 原宿の美容院に通っている。捜査の際には資料をはじめ箸や書道用具、分厚い書籍などを詰め込んだ赤いキャリーバッグを引いて歩き、車輪でしばしば瀬文の足を轢く。
常識はずれで空気が読めず、服務規程もほとんど無視している。刑事であるにも関わらず「窃盗罪」の概念がなく「道に落ちてた照明借りパク罪」や「私の魅力ダイナマイト罪」といった現実には存在しない罪名をまくしたてて野々村や瀬文を呆れさせる。死語を平然と使い ぶりっ子のように甘えたり茶目っ気を見せる事もあるため、他の登場人物からは呆れられ、瀬文からは暴力的ツッコミを受けている。
常に脳を使ってカロリーを消費するためかなりの大食いで、毎日のように行きつけの中華料理店で好物の餃子を大量に注文し平らげており、常にニンニク臭を漂わせている。加えて果物にふりかけやマヨネーズを合わせる極度の味覚音痴。
突飛な言動とは裏腹に、心根は刑事としての使命感を抱き、犯罪を憎む正義感と義憤を抱えた一面も覗かせ「人の道を外れてはならない」という強い信念も持つ。一方、犯罪を犯したSPECホルダーたちを裁判にもかけず超法規的に裁くことには抵抗を感じている。
物理マニア。大学卒業後、好奇心からFBIで『Xファイル』さながらの事件を研究中に日本の警察にスカウトされ、未詳に配属された経緯がある。
人間の持つ無限の可能性という観点や、自身が能力者に遭遇した経験からSPECの存在に肯定的で、被疑者が超能力を使用した可能性も視野に入れた捜査をする。書道4級で 書道をしながら推理するというスタイルを取っており、事件のキーワードを書き連ねながら頭の中の100万個もの膨大な情報量を整理整頓する形で思考し、それを破って紙吹雪のように舞い上げながら「いただきました」の決め台詞と共に最終的な結論を導き出す。その後、犯人の名前や重大なヒントを書き起こす。
両親と弟を亡くしており、祖母の葉子と2人暮らしだが未詳で寝泊まりしているらしく、家に帰る場面はほとんどない。
『翔』では自身もまたSPECホルダーであり、左手に死んだSPEC HOLDERを呼び出す能力を宿していることが明らかになる。ニノマエとの対決で左腕を切断するに至った要因ともなった。当麻はSPECを得た理由を「死んだ家族と繋がりたかった」からだと推測している。ただし「死者の力を使う」能力ではなく「死者に協力してもらう」能力のため、呼び出すSPEC HOLDERが協力してくれるどうかは関係次第である。
捜査のパートナーである瀬文とはケンカばかりしているが、彼が未詳に来る原因となった事件で上層部に信じてもらえなかった背景を理解しており、第5•6話の事件では里中を救うために力を貸すなど協力を惜しまない。彼が落ち込んでいる時には餃子入りうどんやすき家の牛丼を食べさせて励まそうとしている。『翔』では、瀬文の失踪の際に誰よりも心配していたのが当麻であると美鈴に指摘されている。
完結編にあたる『結 爻ノ篇』では多くの人物の犠牲を目の当たりにした上、シンプルプランの非道ぶりに激怒 ついに封印してきたSPECを使い先人類たちと対決、信頼する瀬文に自分を撃ち殺すよう頼み、自身の命と引き換えに世界を救う。その後はこの世の「正しい時間」を知覚する者として空に滲んだ姿で「無間地獄」を漂い、それまでの物語から存在が消えてしまうが、投獄されている瀬文に捕まえられ腕を取り合うことができた。
•瀬文焚流 (加瀬亮)•
若くしてSITの小隊長を務めた凄腕。外国人犯罪グループとの銃撃戦の最中に不可思議な現象に見舞われたことから、部下である志村を誤射した疑惑を持たれ、未詳へ左遷される。英語と中国語に堪能である。坊主頭であることから、当麻に「ハゲ」と罵られることが多い。鞄の代わりに口を捻った紙袋を持ち歩いており、紙幣や逮捕状、時には拳銃を取り出すこともある。口癖は「○○なめんじゃねぇ / ○○なめんな」。
強い正義感と、高圧的で生真面目な軍人気質の持ち主であり、上下関係を徹底して遵守する反面、配属当初は未詳の緊張感のないオフィスに呆れ、現在の上司である野々村のことを露骨に馬鹿にしていたこともあった。当麻や野々村を初めとした奇人変人揃いの作中においてはかなりの常識人でもある。
冷静かつドライな捜査に徹し、被疑者に対して躊躇なく発砲するなど攻撃的な態度に出ることもある。SIT在籍時の矜持でもある「命捨てます」を掲げる一方で、志村の一件によるトラウマから「人の死」に強い恐怖心を持っており「悪人だろうが政治家だろうが、人の命は人の命」と語り、自殺を試みる被疑者や他人の生命を弄ぶような人物に対しては怒りを露にする。
未詳に配属された当初は、志村との間に起きた不可解な現象に困惑しながらも、当麻が興味を抱く超能力や霊能力をバカバカしいと一蹴していた。しかし 病を癒すSPECを持つ人物と接触して自身の怪我が完治したことや、SPECの存在を認めざるを得ないような数々の出来事を目の当たりにし、信じられないという思いを抱きつつも受け入れていく。それでも、SPECに対しては、SPEC絡みの事件で自身が散々な目に遭ったからか「私欲の産物」と決め込む等否定的な態度を貫徹している。
がさつな当麻には反感を抱き、罵倒や暴力的なツッコミを入れることがしばしばで、気が強く短気な者同士 喧嘩になることも少なくない。持ち込まれた事件の捜査に当たるうちに当麻の能力を認め、その過去についても知るうちに絆を深めてゆく。彼女が危機に陥った際には命がけで守ろうとし精神的にも支えあう相棒となってゆく。
『SPEC~零~』で描かれた過去では、高校時代に警察官の父親が殉職し、のちに自身も警察官となってSITに入り、出動中に負傷した隊長に替わって指揮を執ったことが認められ若くして丙部隊小隊長になる。しかしキャリアが上の柳岡副隊長の反発を買ってリンチに遭い、その直後に彼を殴り倒した後部隊から排除したことが遠因となって、志村優作の事件の際柳岡とその仲間から不利な証言をされ、その事件に興味を持った野々村と当麻により未詳に引き抜かれたことになっている。
『結 爻ノ篇』では、世界を救おうとして先人類の霊体を封じるために苦しむ当麻を断腸の想いで射殺。その後、全てが書き換わった世界で当麻を射殺した刑事殺しとして、事情を知らない刑事たちから集団リンチに遭い投獄される。だが最後にその手は概念と化し一部の人間にしか知覚できない当麻の腕をしっかりと掴んでいた。スタッフロール後、渋谷の雑踏の中に二人の背中が映し出され映画は終了する。
•志村美鈴 (福田沙紀)•
事件当初、瀬文が優作を撃ったと思っており、瀬文を恨んでいた。また警察組織を一切信用しておらず、当麻にも警戒心を露わにするが、昏睡状態に陥った優作の記憶を能力で見た際に真相を知り、わだかまりを解く。
成人後は兄の教えを守ってビールには贅沢をしているが、酒乱気味。当麻の瀬文に対する特別な思いに気付き、2人の関係を心配している。
のちに芸大に合格し大学生活を送っていたが、サイコメトリーで知った事件を通報したものの信じてもらえず、逆に周囲に疑われて大学を辞めるはめになるなどその能力ゆえに苦難の日々が続く。さらに『天』ではSPECに関する機密情報を知ってしまいCIROの監視下に置かれ、以前よりニノマエの組織にスカウトされていたことが明らかになり、その後ニノマエに離反して殺害される。
『結 爻ノ篇』では当麻に冥界から呼び出され協力し、セカイらが倒された後の世界ではなぜか地居とカップルになっている。
•地居聖 (城田優)•
正体は人間の記憶を操作するSPECの持ち主であり、ニノマエの背後に潜んでいた真の黒幕でもある。また彼も「津田助広」という名前を持つ1人であった。当麻と恋人関係にあった記憶も彼が捏造したものであり ニノマエを追い詰める当麻の頭脳に感動し、彼女に好意を持たれることを望んでいた。最後は当麻、瀬文、美鈴らを殺そうとするが、当麻のSPECで呼び出したニノマエの能力によって、撃った銃弾を自分の方に向けられ全身に銃弾を浴びて死亡する。
『結 爻ノ篇』では当麻が冥界からSPECホルダーを召喚した際呼ばれてもいないのに登場し、終盤ではなぜか美鈴と交際している。
•海野亮太 (安田顕)•
正体は「相手に病を処方する」SPECの持ち主であり、患者に難病を処方しては、治療することを好むマッドサイエンティストとしての一面を持ち、その能力で公安の潜入捜査官を死に追いやった。当麻と瀬文に自らの犯行を突き止められたが、自らが病を与えた里中梨花の命を救った後に姿を眩ませる。その後公安零課に連行され、殺害された。
『翔』では当麻のSPECで冥界から呼び出され、その能力により脳の覚醒した部分を永久に眠らせることで望と当麻のSPECを封印する。『結』では他のSPECホルダーとともに登場するが、当麻には呼ばれていなかった。
•冷泉俊明 (田中哲司)•
占う際はレモンをかじり「ラミパス ラミパス ルルルルル… 」と唱える。最大呪文に「テクマクマヤコン テクマクマヤコン… 」があり「庚の回」で唱えた際はサトリの能力を見抜き、読経することで心を読まれないようにした。
津田の監視下で度重なる襲撃を受けたことで自分の身に危険が迫っていることを実感するが、取引により当麻と瀬文にそれぞれ予言を残し、自由を求めて去っていった。しかし公安零課に殺害された。
『翔』『結 爻ノ篇』では当麻のSPECで冥界から呼び出され協力する。『翔』では予知の際にグレープフルーツやサツマイモも使用した。
•ニノマエ (神木隆之介)•
未詳に捕まったSPECを持つ犯罪者を始末している。時を止めるSPEC(公安調べ)を持ち、発動した際には世界の動きが停止したような現象が起きる。名前を縦に並べると「王」となり 自分が最強のSPECを持つSPEC HOLDERのキングだということを強く意識している。殺そうとする相手に赤いキリトリ線を書いて脅したり、逆らう者たちに対しては大量殺人を働くなどの残酷な面がある。
普段の生活ではごく普通の少年を演じており、母親と2人暮らし。学校では、写真に写りたがらない、行事にもまったく参加しないなど、担任の女教師から「影が薄い」と評されている。時間を停止させてカンニングを働いているらしく、試験の結果は非常によい。猫が好きで野良猫に餌を与えるなどしている。
彼のSPECの正体は「時間停止」ではなく「人間の数万倍のスピードで動き回る能力」。そのため、通常の人間とニノマエの体感する時間の流れは異なり、通常とは早い時の流れを生きているため、実年齢が13歳の中学生でも高校生として成長していた。しかしそのため、毒を摂取すると常人の数万倍のスピードで侵食されてしまう。さらに能力以上に速い速度である電気の流れや、熱などの環境的要因までは止める事は出来ない。
正体は当麻の弟である陽太本人。飛行機事故で両親を失ったが、その際にSPECを発現し生き残る。その後地居に記憶を書き換えられ、実の姉を両親を爆弾で殺した犯人と思い込み、強い憎しみを抱いている。
当麻が仕掛けた毒の雪を浴びて致命傷を負い、当麻が姉であることをようやく思い出すが、入院後治療のかいなく死亡。
『翔』では当麻のSPECにより冥界から召喚され協力する。地居を倒した現象も、死んで当麻に呼び出された陽太が弾を弾き返したことによる。しかし『天』に登場するニノマエによれば呼びだされたのではなく側にいて姿を表したという。そのニノマエは本人ではなく ブブゼラリーマンズに盗み出された遺体から作られたクローンで、自ら17年間時を止めて肉体を成長させて現われ、再び組織のトップとして世界征服のためのテロを仕掛けてゆく。このクローン死後も4人のスペアが現われるが、彼らはセカイによって消されてしまう。クローンには陽太の猫好きの面は受け継がれていない。『結』ではプロフェッサーJにより大量のクローンの失敗作が作られていたことが明らかになる。終盤では陽太本人として当麻に呼び出され、他のSPECホルダーと共に協力する。