以前も感じたことですが、岸田るりこさんの書く世界はきれいです。
タイトルもきれい。
「無垢と罪」
「無垢」だったからしょうがない、では済まされない事実がそこにはあって、幼いながらの「罪」や、それによって変わってしまったのであろう運命が、ここにはありました。
ただ、「変わってしまった運命」と言ったものの、小学生の頃の「好き」という想いがそのときに実ったからといって、大人になったときに、それがその人の人生にどれほどの影響を及ぼすのか。
それとも、お互いにその気持ちがずっと続く「前提」のお話なのか。
という点と、
警察ってそんなに簡単に騙されるんだ。
という疑問。
そのふたつがね、わたしのなかで、いまいちしっくりきませんでした。
殺されてしまった子が「無垢」だったからこそ、真犯人も分かったようなもの。
そしてまたその真犯人も「無垢」だったからこそ、このラストが成り立つお話。
ミステリーというよりは、ある意味、純愛のお話のようでした。