NEXT INNOVATION株式会社の日向崇文です。

同じ仕組みを、複数の相手先に展開しています。商品は同じ。座組みも同じ。それでも、**条件は相手ごとに違います。**

こう書くと、不公平に聞こえるかもしれません。一物一価であるべきだ、と考える方もいると思います。

けれど私は、条件を揃えることのほうが、むしろ不誠実になる場面があると思っています。今日はその話を書かせてください。

---

## 相手が差し出しているものが、そもそも違う

同じ仕組みでも、相手によって持ち込むものが変わります。

たとえば、こんな要素です。

- **知名度や影響力。**名前が載るだけで話が早く進む相手もいれば、そうでない相手もいる
- **動いてくれる量。**自ら声をかけてくれる相手と、こちらが全部やる相手
- **意思決定の速さ。**その場で決まるか、何ヶ月もかかるか
- **地域での信頼。**その土地で、どれだけ話を通しやすいか

これらは、金額に置き換えにくい要素です。けれど事業の成否には、価格以上に効きます。

**同じ取り分にするということは、これらの差をすべて無視するということ**です。それは公平ではなく、単に測っていないだけだと思っています。

## 一律にすると、頑張る相手が損をする

もう少し具体的に書きます。

条件を一律にして困るのは、**いちばん動いてくれる相手**です。

自分から取引先に声をかけ、社内を調整し、現場を回してくれる。そういう相手と、こちらが全部お膳立てして名前だけ使わせていただく相手が、同じ取り分になる。

これが続くと、前者は必ず疑問を持ちます。そして、疑問を口に出さないまま熱量が下がっていく。

以前この連載で、無償の関係は片方の善意の在庫が切れたときに終わる、と書きました。一律の条件も、構造としてはこれに近い。**貢献が報われない仕組みは、いちばん貢献してくれている人から壊れていきます。**

## バラバラでいい。ただし、基準はひとつでいい

とはいえ、その場の交渉で毎回違う条件を出していたら、それはただの場当たりです。

大事なのは、**条件が違うことではなく、決め方が一貫していること。**

私が使っている基準は、ほぼひとつです。

**「この案件で、誰がどれだけ動くか」**

相手の稼働が大きければ、相手の取り分を厚くする。こちらが全部背負うなら、こちらが厚くなる。それだけです。規模でも、知名度でも、付き合いの長さでもありません。

以前、部署ごとに「勝ち」の定義が違うと連携が崩れる、という話を書きました。条件設計も同じで、**判断の軸が複数あると、必ずどこかで矛盾します。**軸をひとつに決めておくと、相手が何社に増えても説明が破綻しません。

## 説明できる差は、不満にならない

ここが、いちばん伝えたい部分です。

条件に差があること自体は、たいてい問題になりません。問題になるのは、**その差を説明できないとき**です。

「なぜあちらのほうが良い条件なんですか」と聞かれたときに、理由が言えるか。言えるなら、多くの相手は納得します。むしろ「では、うちもここを動かせば条件が変わるんですね」という前向きな話になる。

言えないと、そこで信用が崩れます。以前、信用は積むのに何年もかかり、失うのは一瞬だと書きました。条件の不透明さは、その一瞬を引き寄せる典型です。

だから私は、**他の相手に説明できない条件は出さない**と決めています。その場で有利になっても、後から必ず効いてきます。

## 条件は、見直す前提で決める

最後に、実務的な工夫をひとつ。

条件は、最初に決めて終わりにしないほうがいいと思っています。**一定期間が過ぎたら見直す、と先に合意しておく。**

理由は単純で、始める前の想定は、たいてい外れるからです。動いてくれると思っていた相手が動けなかったり、逆に想像以上に力を入れてくださったりする。

以前、パートナーと呼べる関係の条件として「やめ方の話ができるか」を挙げました。見直しの取り決めも、その仲間です。**先に決めておけば、条件の話は喧嘩ではなく点検になります。**

もし今、複数の相手と同じ事業を進めているなら、一度確かめてみてください。

**その条件の差を、全員に同じ理屈で説明できますか。**

できるなら、差があっても大丈夫です。できないなら、金額より先に、そこを整理したほうがいいかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

---

**日向崇文(ひゅうが たかふみ)**
NEXT INNOVATION株式会社 CEO/Founder
社外CGO(外部事業成長責任者)として、タレント支援・スポーツエンタメ支援・ブランドグロース支援を展開。NewsPicks認定エキスパート、Voicyパーソナリティ、講演家としても活動。
▶︎ 会社HP:https://nexthyuga.com