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ひまsunのブログ

講談師『日向ひまわり』の日常あれこれを書いています!

御徒町駅に到着して山手線を下車しようとすると、

目の前(ドア越し)に林家正蔵師匠の姿が。


これまで何度も

浅草や上野近辺でバッタリお会いしており、

私の中ではお会いする確率の高い師匠。

以前、銀座線の車内でお会いした時はちょこっとお話もした。


所属する協会が違うので会う機会はほとんど無いし、

これまで数えるくらいしか仕事でご一緒していない。


それでも私のことを覚えていらっしゃって、

「ひまわりちゃん。」

と呼んでくださるそのお人柄。

だから、緊張感よりもほんわかした気持ちが勝るのだと思う。


「正蔵師匠!」

なんて声をかけたらまわりの方に気付かれ、

師匠に迷惑をかける可能性があるので

目を合わせ、頭を下げてご挨拶をして別れた。


本日のトリは春風亭柳之助兄さん。

兄さんはトリの時、お客さまへのご案内を欠かさない。

兄さんを目指していらっしゃったお客さまは温かくて優しい。

客席は満員だった。


【大岡政談 五貫裁き】を読んだ。

最近、高座がすごく楽しい。

今日も楽しかった。


《楽しい》なんてなかなか言わない、、、

というか言えないので(基本、反省ばかり💦)

幸せと思える高座が続いていることは稀。


違いは何だろう、、、、

これといって浮かばないので、

「講談の神様がご褒美をくれてるんだろう。」

と思うことにした。


30分高座。

あまりマクラは振らなかったが、

時間が足りなくなり最後の5分はカット。

大家さんが啖呵を切るところ、読みたかった。


お客さま、明るくお付き合いくださり、

気持ちよく高座を降りることができた。


来月もしのばず寄席に入れていただいている。

楽しみだ。


ひまわり



「楽しい時間をお届けしたい。寄席演芸をお楽しみいただきたい。

 

そんな思いで毎年お手伝いをしているぎんざ寄席。


今回は仲間である私も、

「何度も見たい!聞きたい!」

と思わずにはいられない、

三遊亭兼好さんと坂本頼光さんに出演をお願いしました。

 

「二人が最高に面白いのは分かっている。

 客席はどんな風に盛り上がるんだろう。」

お客さまの笑い声と笑顔を想像し、

ワクワクしながら当日を待ちました。

 

いよいよ本番。

開口一番は柳亭いっちさん。

小痴楽さんのお弟子さんです。

 

お弟子さん、、、身内なので弟子と言うべきですね。

というのも、小痴楽さんは私にとって弟のような、

年が離れているから甥っ子のような存在なんです。

(小痴楽さんの実父・五代目痴楽は私の二人目の師匠)

 

その甥っ子の弟子となると、、、又甥(またおい)?

いっちさんとは《祖母と孫》の関係に近いというわけです。

 

入門して日は浅いですが、

《前座らしい前座》というか、

楽屋も高座も一生懸命で気持ちいいです。

ネタは【饅頭恐い】でした。

 

続いて、ひまわり。

本番の朝、頼光さんに電話をし、

何の演目を用意していらっしゃるのか尋ねました。

講談と活弁、ネタの内容が被る可能性があったからです。

 

落語や講談は一人でやっているので、

「やろうと思ってたネタ、先にやられちゃった~💦」

となったとしてもその場で如何様にも対応できますが、

活弁は映像とセットなので一応確認しておいた方がいいかな、と。

 

すると、二人とも安兵衛ネタを候補に挙げていることが判明。

頼「姉さん、リレーでやるってどうですか?」

ひ「リレー?面白そう!やりたいです!!」

 

ということで私は【道場破り】を、

頼光さんは【高田馬場 駆け付け】をやることが決まりました。

 

活動写真弁士の方とのネタのリレーは講談師になってから初めて。

「お客さま、どんな感じで楽しまれるんだろ~。」

ウキウキしながら高座を務めました。

 

とはいえ《緊張しぃ》なのでドキドキもしていたのですが、

その緊張はお客さまの温かい雰囲気によってほどよく解され、

おかげさまで楽しく高座を務めることができました。

 

嬉しかったのは

久しぶりに《正座》で高座に上がることができたこと。

やっぱり正座の方がやりやすいです。

完治していないのでまだ無理はできませんが

様子を見ながらやっていこうと思います。

 

続きまして、三遊亭兼好さん。

マクラからお客さまの心をグワッと鷲掴みにしていました。

そうなると思っていたけど、さすが!!

 

ケチで有名な父親と

三人三様の息子たちのやり取りが可笑しくて堪らない【片棒】

 

このネタ、

あまりにケチすぎる父親が《ただの嫌な人》になりがちなのですが

兼好さんがやると《愛すべきケチ》になるというか、

好きになってしまいます(笑)

 

「兼好さんって落語が好きで好きで堪らないんだろうなぁ。」

一緒になるたび、そう感じます。

 

彼の落語を聞いていると自然と笑顔になり、

瞬く間にその世界に連れて行かれ、最後は虜になってしまう。

 

舞台袖でお客さまが楽しそうに笑っていらっしゃる様子に触れながら、

「兼好さん、いいでしょ!最高ですよね!!」

と、大好きな友人を自慢する思いで喜んでいました。

これがいわゆるマウントを取るというやつか)

 

中入りの後は、坂本頼光さん。

いやぁもう、見事というか、圧巻でした!

 

講談【道場破り】と活弁【安兵衛 高田馬場駆けつけ】のリレー、

珍しいと思います。

私にとっても貴重な経験でした。

 

堀部弥兵衛の娘の名前が講談では《はな》で

活動写真では《お幸(おこう)》だったり、

多少の違いがあったのも面白かったです。

そのあたりは頼光さんが上手くやりくりしてくれました。

 

ベロンベロンで豪快な『吞んべぇ安』、

私はあそこまで表現することができないなぁ(笑)。

敵討ちの場面、カッコよかったです。

 

続いて、ロシア映画【カメラマンの復讐(1992年)】。

昆虫の夫婦がW不倫するというハチャメチャなクレイアニメの作品で

これもめっちゃ面白かったです。

 

頼光さんが名調子で語れば語るほど可笑しさが増してくる。

バカバカしいことを真面目にやるとこんなにも可笑しくなるって分かってた!

分かってたけど、想像以上に面白かった〜

 

活弁士は音のない映画に命(魂)を吹き込む人。

その世界をお客さまも存分に楽しまれていました。

 

トリは、林家たい平師匠。

夏の古典落語【千両みかん】でした。

 

季節を選ぶネタですし、持っていても高座にかける人が少ないのか

あまりネタ帳で見ることがありません。

私も久しぶりに生で聞きました。

 

保存技術が発達していなかった時代。

夏にみかんを手に入ることは困難であり、

そんな夏の盛りにやっとのことで手に入れた

たった一個のみかんの値は、千両。

 

物の価値は、その人、その時、その状況によって

それがどれほど大切なものか、価値の無いものか、

大きく変わります。

その人間模様が面白かったです。

 

今年のぎんざ寄席。

出演者それぞれのネタ選びと色合いがいい感じにバラバラで

それがいいバランスで一つの流れになったような気がします。

 

来年はどんな感じになるでしょう。

楽しみです。

 

ひまわり




一昨年暮れから痛めていた膝がかなり回復。

久しぶりに座布団で高座を務めてみた。


「目線、この高さだったっけ。」

これが最初の感想。

【安兵衛 道場破り】を読んだ。


声を出す時に力が入るところが

椅子に腰掛けている時と座布団に座っている時とでは違う。

意識をしながら読んだ。


7、8分が経った頃、右膝に少し痛みを感じた。

まだ本調子ではないけれど、

かなり回復していることは実感できた。


お客さま、穏やかな雰囲気でお付き合いくださり、

ありがたかった。


千穐楽までの十日間。

体調を崩すことなく務められてよかった。


十月上席は浅草演芸ホールに入っている。

久しぶりの浅草、一席一席大切につとめたい。


ひまわり


↓ 道中は羽織姿


↓ こうして名前が並ぶと嬉しい