今日のスタートは浅草演芸ホール。
上野広小路亭のしのばす寄席の出番があるので、
予定より3本早く上がることにした。
私の前は桂夏丸さん(落語真打)。
ちょっとだけ後輩の夏丸さん。
彼の飄々とした雰囲気は心地いい。
会うと嬉しくなる仲間の一人だ。
普段は『なっち』と呼んでいる。
そのなっち、マクラを少し振ってからマイクを持って立ち上がると、
『青い山脈(演奏付き)』を歌い出した。
前からよく高座で歌声を披露していたが、今日はガッツリ歌ってた(笑)
そして、いつもながら上手い。
ネタ以外のことをやるとおかしな空気になることがある。
でも、なっちは不思議とそうならない。
伸びやかな歌声に今日のお客さま、
温かくお付き合いくださっていた。
「この空気、なっちじゃないと作れないわ〜。」
と感心しながら聞いていたら、
高座の座布団をイスに替えてもらうのをすっかり忘れてしまった!
出囃子が鳴り、舞台へ飛び出した途端、
「あっ!座布団のままだ〜!!」
一旦、舞台袖へ下がろうと思ったが、
今から座布団を下げて椅子を出したりしていたら流れが切れて変な空気になるかもしれない。
「、、、、行こう!」
座布団に座った。
たまに膝を曲げてはいたから正座はできたが、
この状態で10分かぁ。
5分経つと痛みが増してきた。
痛くて座布団に手をつき、少しでも体重がかからないようにしながら、
【野狐三次の木っ端売り】を読んだ。
10分高座をこんなに長く感じたのは初めてだ。
今の私の膝の限界を知る機会になった。
ちょっと無理してしまったけど、悪化しないといいな( ; ; )
そんなおっちょこちょいな私の高座に
お客さまは温かくお付き合いくださった。
ありがたかった。
高座を下り、早々に浅草の楽屋を後にすると、
地下鉄に乗って上野広小路へ。
乗車時間は10分弱。
今週末に60周年を迎える会社のパーティーへお伺いし、
60年の歩みを講談ネタに仕立てて読むことになっている。
その最終打ち合わせがしのばず寄席の後にあって、
会長、担当部長の前で作ったネタを通しで読むことになっていた。
これは、、、本番より緊張するやつだ。
僅かな移動時間だったが、
和綴じ本にした台本を鞄から取り出して読んだ。
*声は出していません
上野広小路駅に着いて改札を出ると、
目の前に知っている(存じ上げている)お顔が、、、
「、、、正蔵師匠?」
林家正蔵師匠だった。
広小路の交差点で信号待ちをする師匠に、
ひ「あの、師匠、おはようございます。ひまわりです。」
正「あぁ〜、ひまわりちゃん!電車の中で見かけて仲間だろうなぁと思ったんだけど、
マスクしてると分からなくて。」
ひ「師匠、同じ車両でしたか!
じゃあ、私が必死に台本を読んでいたのも、、、。」
正「〇〇サービス(←会社の名前)って書いてありましたね(笑)。」
ひ「あぁ〜、、、(苦笑)
お世話になってる会社の周年行事で会社の歴史をネタにしてやることに、、、、
稽古してるところを見られて恥ずかしいです。」
いつどこで誰に見られているか分からない。
所属する協会が違う正蔵師匠とお会いするのは本当に久しぶりだった。
ご挨拶できたことが嬉しかったし、
何より覚えていてくださったことがありがたかった。
しのばす寄席には20人ほどのお客さま。
先日、初雪を観測した東京。
雪を見た時から「忠臣蔵が読みたいな」と思っていた。
ということで、
年は明けてしまったが【徂徠豆腐】を読んだ。
お客さま、穏やかに優しい雰囲気でお付き合いくださった。
その後、神保町へ。
打ち合わせを済ませ、帰りの電車に揺られながら車窓を眺めた。
夕陽で空がオレンジ色。
綺麗なグラデーションに染まっていた。
どうか、穏やかな一年となりますように。
ひまわり