許穆夫人
(许穆夫人)
春秋時代、東周が宗主国であるものの、国土は実質、小国に分かれていた。そのうちのひとつ、常に北狄の脅威を抱える衛国で詩会が開かれることになった。だが、招いた各国の王侯が到着しても、君主の懿公は鶴と遊んでいて姿を見せない。業を煮やしたのは最大の力を持つ斉国の桓公である。桓公は鶴を切って捨ててしまった。その後に開かれた詩会では桓公が刺客に襲われ、両国のあいだに不穏な空気が漂う。ところで、この詩会には別の意味があった。懿公の妹、淇の縁談である。彼女は詩に明るく、賢く美しい女性で、招かれた各国から求婚される。そのひとりに許国の穆公がいた。かれは衛国到着早々、ある女性と詩を通じて恋に落ちたのだが、最弱の許国にとってこの策略結婚は悲願であり、諦める決心をする。珍しい鶴を贈ったことで穆公は上手く懿公の心をつかみ、結婚が決まった。一方の淇にも愛する男性がいた。しかし国のためと説得されて許国へ嫁ぐ。ところがふたりはお互いの顔を見て驚いた。偶然にも愛する者同士だったのだ。そのころ、衛国に北狄の軍が迫っていた。衛国と険悪な関係となった斉国は援軍を拒絶し、許国は遠方であることと弱小国であるがゆえに出兵できない。故郷を案ずる淇は髪を切って穆公と別れ、衛国を救うために馬を走らせるが…
映画(2020年)
主演: 肖天(淇)、姜震昊(穆公)、曹随風(懿公)、李晟燁(桓公)、呉広林(石祁)、金宏(管仲)、韓秀峰(劉茂)、王宇(英児)、王国林(寺人渾)、方顥喆(申)
ジャンル:古装ドラマ
淇は中国初の女流詩人だそうです。現存している四言抒情詩の三首は「詩経」に収められています。決断力にも優れていて、許国の出兵が不可能と見るや斉国へ走り、桓公を説得して協力を得ました。映画のシーンにもあるとおり、乗馬にも長けていたようです。
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