視覚障害者向け特別支援学校の入試を受けた
エイズウイルス(HIV)感染者の30歳代男性が、
学校側から症状の報告を求められて
プライバシーを侵害されたと訴えた裁判の和解が非公開の手続きで成立した。
原告側によると、
男性は同校の専門学科を受験する際、
学校側から眼科以外の診療を受けていれば医師の意見書を提出するよう言われた。
HIV感染者であることを告げると
入試前に「感染の事実を実習先に知らせなければならない」などと言われたという。
結果は不合格だった。
男性は2011年、「HIV感染症を告白させる入試方法は違法だ」と提訴。
厚生労働省のガイドラインによれば、職場の採用選考でHIV検査は行わない。
和解は内容は、
学校側が出願者に医師の意見書の提出などを義務づけていた入試方法を改め
(学校は既に入試方法を改めている)、
男性に謝罪して解決金を支払う。
代理人の清水勉弁護士は東京都内で記者会見し
「本人の意思に反するHIV感染の告知強制は違法。
プライバシーの意識が欠落していた」と指摘。
男性は「今後はこのようなことが起こらないことを望む」と話した。
現在、会社員の男性は和解後の記者会見で
「同じような問題が二度と起きないことを願っている」
と、また筑波大広報室は、
「受験者に不安を与える点があったことを遺憾に思う。
今後も個人情報の取り扱いには慎重を期したい」と述べた。
去年の東京地裁での判決。
HIVの感染の告知を求めることはプライバシーの侵害にあたる。