夜の深さ。歌と問う。-090128_2229~01.jpg
真価を問われるこの時代、夢百八つのうちの一つはどん詰まり無惨にも霧散した。

新年会。ゴルフバー。

そう…

その日、俺はクラブを置いた。


遡ること四年だ、生まれて初めてゴルフの打ちっ放しにいったのは。
鼻に付くかもしれないが初ショットinバンクーバーである。

何故、打ちっ放しに行く事になったか軽く話ておこう。

時は平成、大学二年の冬。
短期滞在ではあったがカナダに遊びに行ったのである。

スーツケースゴロゴロ、お腹ゴロゴロ。

ステイ先は閑静な住宅街にドンと構える一軒家。一人暮らしの姉ちゃんはパパ持ちリッチなセレブレティー。
愛車はBMW。
趣味ゴルフ。


そんな姉ちゃんが『打ちっ放し行かない?』なんて言うもんだから、まんまと下唇に握った手を被せて、横歩きしながらほくそ笑んで行っちまったわけだ。

散々『初めては当てるのが難しいよ』とか、『そんな靴じゃダメだ』とか…
つか靴は先に言えっての!
つか英語あんまわかんねぇっての!
などゴニョゴニョ。

と、いざ始めてみたらこれがどうよ?
バンバン当たるし、ビュンビュン飛んじゃうし、針葉樹と紳士淑女が取り囲む中、俺の無料配布しても有り余る球技センスがキラリと…いや、ピッカーンと光っちまったわけだ。


ここで話は振り出しに戻る。

真剣に読んで頂いた方は既に疑問符が頭の裏辺りに3D形成され、ちらついている事とは思うが、何故そんなダイヤよりも堅く輝くセンスを持ちながら、何故諦めてしまうの?とお思いでしょう。
そうですここからが本題なのです。

時は平成、社会人二年目の冬。
5年で膨れに膨れ上がった自信を引っさげて俺は新年会二次会会場、上野広小路、巻き巻き姉ちゃんが、サラリーマンが、マセた学生たちが、ブンブンいわせてるゴルフバーに行ったのである。

中は思った以上に狭く、思った程むさ苦しさはなく、なかなか小洒落た感じであった。
ただ、ブンブンスパンスパンうるさかった。

大の大人がゴルフ場以外であんなにクラブをブンブン出来るのは、喧嘩上等か精神病棟内かゴルフバー以外他ならない。
ここでは治外法権が適用されているのだろうと1人グラス片手に耽ってみたりもした。

あっちでブンブン、こっちでブンブン。

平日の夜にも関わらず商売繁盛大いに結構だが、俺のくすぶってたゴルフ魂はブンブン野郎共を見ている内にメラメラと業火へと変わっていったのである。
きっと体から煙が上がっていたことだろう。
説明、コンピューター入力なりを軽々済ませた俺は、今か今かとエアーゴルフ。
イメージは固まった。
ハニカミ王子は俺にひれ伏すだろうとエアーゴルフ。

いよいよ俺の番がきたわけだが、始めに結果をお教えしておこう。
シュミレータ-が悪いとか、クラブが悪いとか、靴が~グローブが~などと女々しい言い訳はしない。
一切しない。

俺の夢百八つのうちの一つはどん詰まり無惨にも霧散した。

言い訳は一切しないということで、どの様に霧散したかは言わない。


実に実のない話を長々書いたことをお詫びします。

その皆様の優しさを糧に残り百六つの夢を年甲斐もなく追わせて頂きます。



百六つ?と思いました?
百七つではなく百六つ?と。


実は三次会はビリヤードだったのだ。

そう、その通りである。

その日、俺はキューも置いた。