カステラだってトラウマなるというお話。

ちょっと馬鹿げているかもしれませんが、当事者としてはけっこう真面目な話。

今では酒の肴として面白ネタにしたりもしますが。

 

【カステラ物語その1】

新卒で入社した外資系商社。

私は数字嫌いにもかかわらず、管理部門といわれる中の経理・財務課に配属されました。

 

新社屋を建てる計画が始まり、入社2年目の春、発注先の工務店に億単位のお金を支払う事になりました。

当時の私は支払い系業務を担っていた為、いつもの通りに会社のIT部門が開発した基幹業務システムを使用し処理。

が、何がどうした事か、バッドタイミングでバグが発生し、支払うべき額のダブルの金額が読み込まれてしまったのです!!!

そして何人ものチェックをスルーし、ダブルの金額が先方に支払われるという事態に。

私が気付いた時にはもう既に時遅し、、、

心臓が止まる(ような)→全身硬直→冷や汗→パニック→過呼吸

 

結局は私が一番悪いという事になり、人生最初で最後の始末書を書き、上司が先方に謝罪に行く際の菓子折りを私が準備する事に。

 

デパ地下で長時間の思案の末に選んだものが「桐の箱に入ったカステラ」でした。

 

この事件はその後無事解決しましたが、カステラを見るたびにこの悪夢が蘇る事になりました。

 

【カステラ物語その2】

さて、億事件?が起きた会社では心身共にボロボロになるまで働いた結果、再起不能になり退職。

その後、非正規雇用ではありますが、長く働いた外資系企業でのお話。

 

そこの人事部でグループアシスタントを務めていた時、お客様からの頂きものの中に「カステラ」がしばしば登場しました。

そしてあろうことに、これが例の桐の箱入りだったり、カットされていないものだったりする訳です。(つまり良いお品という事です)

で、ティータイムに誰がそれをカットするのか?

私です。

ここで問題が起きます。

けっこうな大所帯だった為、綺麗に人数分カットするのは至難の業。

定規の登場!

給湯室でカステラとにらめっこしていると蘇ってくるあの悪夢、、、億事件、、、

そして定規をカステラにあててカットしようとすると馬鹿らしくなってきて、、、

『もうカステラなんていらないっ!』と自分の分は省いてカット。

そして気付いてしまったのです。

もしかしてあの時、先方の女性社員の誰かもこうやってカステラと格闘してのかも、、、

 

その後も給湯室でカステラを切る度に、億事件の記憶とバカらしさと、迷惑をかけたかもしれない女性への申し訳なさがセットになって、カステラ嫌いになりました。

 

自ら進んでカステラを買ったり食べたりする事は無くなりましたが日常生活に支障をきたす訳でもなく、デパ地下で遭遇して苦笑いするくらいなのでこれを何かの心理療法で乗り越えるとか、解決する必要もなく。

でもこれもトラウマといえばトラウマ。

カステラに罪はないんですけどね。

 

話は長くなりましたが、何が言いたかったのかというと、毎日のように取り沙汰される様々な問題や事件がいかに被害者のトラウマとなり生涯をかけて苦し目られることになるか、という事です。