豚の生き甲斐 | En Route

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Ypno's blog. イプノのブログです。
日々、思ったことなどを書いてゆきます。

『医学常識はウソだらけ』という本がある。

 

当時90歳くらいの三石巌さんという先生が著者で、健康長寿を実践するための食事の秘訣などが書かれている、いってみれば「よくある本」である。

 

実家にあるのを父に勧められて読んだのだけれども、最期の章で、「快眠・快食・快便は豚の生き甲斐」と書かれていて、わたしはショックを受けた。

 

確かに、人間として産まれたからには高度な生き甲斐を持ちたい、という話ならわかる。

というかそんなことは言うまでもない。誰だってそう思っているだろう。

わたしも、小さい頃から世の中の役に立つ人間になりたい、と思って努力を重ねてきた。

 

しかし、そうは云っても、障害や病、高齢などで、それが出来ない人々も沢山居るのである。

 

わたしなどは、持病の影響で睡眠が悪いのは当たり前、また飲んでいる薬(抗精神病薬)の副作用で慢性的に便秘である。

そんな私に言わせてみれば、快眠・快食・快便が可能ならば充分に幸せ。万々歳である。

それを、この医師は「豚」と表現する。

 

この医師は、もう亡くなったけれども、きっと恵まれた人だったのだろう。

 

一方で、世の中には、そうではない人々がいる。

 

望んでもいないのに産まれさせられてきて、病や障害を抱えながら、死ぬわけにもいかないから必死で生きている。

わたしを含め、そういう人々は、端的に言って世の中のお荷物である。

社会に貢献できることなんて、「絶対ない」とは云わないが、極めて稀だ。

 

たとえば、日本では就労継続支援事業所という障害者の為の就労施設があるけれども、あれば国からの助成金(税金)で成り立っている。

だからそこで支給されるお給料は、障害者たちの労働の結実とはいえないのだ。

重篤な知的障害者を除けば、おおかたの障害者は、そういうことも全部わかっている。

でも、それでもそこにしか居場所がないから、そこでやっているのだ。

 

そういった人々の哀しい心の内は、この本を書いた三石さんにはきっと理解出来ないのに違いない。

 

ちなみに、「豚の生き甲斐」は、この本では、栄養学とは関係ないおそらく枝葉の部分である。

それでも、この医師の優生思想主義者としての本性が最期の章で顔を出してしまっているように思えて、彼の主張全般をマトモに読む気にはならなくなってしまった。