わたしの空想の世界の住人たちは肉体を持たない、ということを#2で書いたけれども、彼らはその特性ゆえに、いろいろと現実とは違った価値観や世界観を持っている。
なので、そういった事情の違いを考慮に入れず、彼らの言うことを真に受けたりしていると、当然現実の生活は大変なことになる。
時々、わたしと同じような病気を抱えた人々が不幸な事件を起こしたりするけれども、それは、空想の世界の住人たちの言うことを本気にして引き受けてしまったために引き起こされた事故なのではないだろうか、とわたしは思うこともある。
さて、あちらとこちらの違いの分かりやすい例だけれども、彼らはよく「眠りは身体に悪い。」と言う。
なぜなら彼らは肉体を持たない。ゆえに、眠りを必要としないのだ。
否、むしろ、彼らにとって眠りは、非常な危険が伴う。
肉体を持たない彼らは、常に意識をはっきりさせていないと、存在が消えて無くなってしまう恐れがあるからだ。
(ちなみに、彼らにも身体はある。肉体ではなくあくまでイメージとしての身体である。)
同じ理由から、彼らは非常に退屈を恐れる。それで、酷くどぎつい表現を好むし、我々から見ると滅茶苦茶な行動に走りがちだ。
しかし、肉体を持つ現実世界の我々が彼らの言うことを真に受けて、眠らなかったりしたらどうなるか。
あっという間に発狂だ。
我々は肉体を持つから、物質的な脳や身体を休める必要があり、睡眠は大切なのだ。
しかし彼らは、「眠りなんて必要ない、むしろ眠りなど身体に悪いのだ。」などと心の中で我々に言って聞かせ、本来肉体を持つ主体であるはずの我々を精神的にコントロールすることに、楽しみを見出しているフシがある。
(そのことを、彼らは「我々に使役される存在」という呼び方で表現している。)
もう一つの可能性としては、彼らは本当に、我々は彼らとは違った存在であるという事実を、知らないのかもしれない。