バスの最後部座席の一番隅に座っている僕に、「譲れ」的目線を送らないで頂きたい。

昔レコード会社営業職の時、茂原に行くのに電車が不通になりバスに乗り換えた。
始発から乗ったので座れて寝てしまった。気が付いた時、何故か一人掛けの席の隣に婆さんが座ってる。しかも僕にかなりピッタリくっついて。
えっ?と思い膝上においたはずの会社のロゴ入りアタッシュケースがないので捜すと、なんとその糞婆がイス代わりに使っていた。しかも店にあげるサンプルのシングルアルバムが大量に入った紙袋を座布団代わりに立てたアタッシュケースの上に敷いて座ってる。
なんというクソババアだむかっ

と思ったが、割と上品に育てられて社会人になって間もなかった僕は、こういうときも低姿勢なのだ。

「スミマセン、敷かれてるもの、仕事で使うんで」

「あら悪いわね。でもアンタ寝てたから仕事してなかったでしょ?」

唖然とした。
なんというとんでもないクソババアだ。

しかしあまりに唖然として言い返す言葉が見つからない。

しかもその時車中見渡すと空いてる席がいくつもあった。

多分クソババアはちゃっかり僕の持ち物を使って座り込んでるうちに寝ている僕に寄りかかって本人も寝てしまったのだろう。

何故ならバスから降りた時、僕のジャケットの左腕部分はクソババアのヨダレと思われるベトベトの液体で色が変わっていたからである。

それを確認した時僕は絶望的な思いで、そのジャケットを脱ぎそしてその辺にあったゴミ箱に棄てようとしたのだが、そのジャケットが親に買ってもらったものであることを思い出し、思いとどまった。

しかしババアのおかげで会社の吊り下げ式マチ付き紙袋二重にしていれてあったサンプル盤は全部歪み、しかもアタッシュケースもネジが全部緩みガタガタになった。

クソババアの唾液で汚れたジャケットはクリーニングに出したが、その後はあまり着なくなってしまった。

何故クソババアを思い出したのかというとさっき新小岩まで乗ったバスにそのクソババにそっくりな婆さんを見たからである。

あの婆さんはもう生きてないかな…

いやあんなクソババアだから多分まだ生きてるはずだむかっ
絶対許さないむかっ
あの図々しさ

去年少し好きになった人もまだ年は若いけど、いま思い出すとあのクソババアの系譜かと思えてしまう部分が色々あった。
まあクソババア世に蔓延るというからな