早急に国が、放射線被害に関する総合医療センターといった国家機関を設置することを決める時期ではないか。医療センターといった医療機関や、疫学調査機関を福島県内に設立してデータを収集し、国際的に共有すべきだ。放射線の問題はこれからも続く。治療面では、子どもたちの心のケアも重要になってくる。
 
 そうならないことを願うが、第2、第3のフクシマが出てくることを想定し、基礎研究の実施や資料の蓄積・公開などを世界に向けてアピールすることは日本の責務だと考える。国が考え、国が動くべき次元の問題だ。

――子どもの心のケアとして、現段階で考えられる具体策は何か。

 子どもに現在の状況を認識させることが大事。われわれにはチェルノブイリの経験がある。政府を介してまずはチェルノブイリの被災者と会って対話をし、経験を聞くことも必要だ。ベラルーシなど実際に現地に行って、同じ被災者と触れあってこそわかることもたくさんある。

――7月27日から3日間、松本市で開かれる第23回国連軍縮会議でも、原子力の問題が討議されるか。

 “原子力の平和利用をめぐる喫緊の課題”と題し、全体会議の一つの大テーマとして討議される予定だ。9日には東京の米国大使館に出向き、オバマ大統領の出席を要請した。平和行政を推進するのは私の政治信条でもある。ぜひ、軍縮会議を成功させたい。

すげのや・あきら
1943年長野県生まれ。信州大学医学部卒。医学博士(甲状腺専門)。91年からチェルノブイリ被災地での医療支援活動に参加、96年から2001年までベラルーシ国立甲状腺がんセンターなどで、主に小児甲状腺がん患者の治療に当たる。02年長野県衛生部長。04年から現職、現在2期目。著書に『チェルノブイリ診療記』『チェルノブイリいのちの記録』など。

(聞き手:福田 恵介 =東洋経済オンライン)
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