河村小百合著『日本銀行 我が国に迫る危機』という本を読んだ。


日本総合研究所調査部主席研究員である河村小百合氏が、現在の日銀・政府の財政運営に警告を発する内容である。


まず冒頭では、日銀が2014年から「デフレ脱却」のためにマネタリーベースを増やしたことで、莫大な金余りが発生していると指摘。


実は、2001年から2006年まで日銀は量的緩和を実施しており、このときにもマネタリーベースを増やしていた。


しかし、このとき金利がゼロのもとでマネタリーベースを増やしており、「金利がゼロのもとでマネタリーベースを増やしても効果はない。」という結果となっていた。


それを無視する形で日銀は、「異次元緩和」「デフレ脱却」というフレーズを使って、無責任な金融緩和、いわゆる財政ファイナンスを行ってきたのである。


そのあたりの詳しい説明は本著を読めばわかる。


本著では、海外を例として、責任ある財政運営とはどのようなものなのか、ということが非常にわかりやすく書いてある。


海外では、国債の発行は将来世代への負担のつけ回しという認識があるからこそ、しっかりとした財政運営(赤字になっても、黒字化に向けて痛みを伴った努力・財政再建をする)ができている。


一方日本では、将来世代への負担のツケ回しとなる国債をジャンジャン発行し、それが「将来世代への負担になる」という説明すらされていない。


つまり、いつ爆発するかもわからない爆弾を、若い世代へどんどん回しているのだ。


ここまで、無責任な財政運営を続けてきた以上、どこかで、歴史の教科書にのるレベルの大変なことが起こることは間違いない。


その前兆が、最近の外国為替市場に現れている。

1ドル150円を超す猛烈な円安によって、円の購買力は大幅に低下した。

つまり、日本人は気づかない間に貧乏になった。


例えば100万円の貯金があったときに、100万円という数字自体がが減ったわけではないが、その100万円で買えるモノやサービスの量が減っている。


政府・日銀の無責任な政策運営のせいで我々国民は知らない間に、その無責任な政策運営のコストを負担させられているのだ。


もはや、この国の政治に期待することはできない。

自分の資産は自分で守るという時代になったと思っている。