季節外れに、寒すぎて・・・これは、身体にきますね。

あと、これは、私信に近いかな。

昨日から皆様、おすそ分け、ありがとうございます(笑)

 

こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。視聴しながら生じた疑問の考察やら、内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。

ラストまでの完全ネタバレです。

いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。お願い

 

シグナル  시그널 英題:Signal

 (tvN Jan 22, 2016 - Mar 12, 2016 1時間15分×全16話)

対象:15歳以上

脚本:Kim Eun Hee

演出:Kim Won Suk

 

※このドラマは、犯罪を扱うという特性上、登場人物がエピソード毎にたくさん出てくること、1話完結ではないこと、現在・過去の描写が頻繁に入れ替わる、など、通常の筋追いでは、わかりにくい部分もあるため、補足も兼ねて、びびの独断で、人名や、人間関係など、ドラマよりも先に、リマインドしたり、説明をする場合があります。

極力、ドラマ上、「なるほど!! この人がこういう立ち位置だったのね」という謎解き部分の醍醐味が損なわれることのないように工夫したいとは思いますが、なにぶん、整合性を取り切れない箇所もでてきそうな気がします。

余計、わかりにくくなったりしたら、ほんと、申し訳ないです。

 

前記事をお読みでない方は、さきに、こちらからお読みください。

#5-1 

 

【Episode 5-2】

 

~ソウル中央警察庁~

2015年10月28日

重要犯人検挙有効者特別表彰式が、署内で執り行われてます。

 

上官「これら、重要な犯人逮捕に対し、特別賞を授与するものである。ソウル中央警察未解決捜査班 チャ・スヒョン警衛、前へ」

スヒョン以下、ヘヨン、ケチョル、ホンギの4名が起立し、代表で、スヒョンがボムジュから表彰状と盾を受け取る。

その後も、淡々と他のチームの表彰に移っていく。

 

ケチョル「(小声で)なぁ、これ、本当に授賞式なのかな?」

ホンギ「(小声で)・・・のはずなんですけど、なんだか、罰を受けてるような気がします

ひそひそと、率直な感想をやり取りする二人。(苦笑)

居心地悪そう。ニヤリ

 

正直、警察内での、未解決捜査班の評価なんて、そんなものなのでしょう。

 

一人、席に座っているものの、まったく別のことを考えているヘヨン。

 

~回想~

監査部の報告書にあった、キム・ソンボムのところを訪ねたのです。

 

ソンボム「イ・ジェハン刑事ですか?」

15年経ってるはずですが、見るからに、堅気じゃない感じが増してます。

一端の事務所を構えているところを見ると、かなり、甘い汁を吸ってきたってことでしょうね。

 

ソンボム「簡単に言えば、金の亡者でしたよね」

昔、つけていた分厚い手帳をポンと、ヘヨンの前に置くソンボム。

 

ソンボム「俺から、何度も搾り取りたいだけ、搾りとっていくんですよ。まるで、吸血鬼みたいに・・俺にストローを突き刺してね。」

 

その後、家に帰ってからも、丹念に、監査部の報告書を見ていくヘヨン。

 

ヘヨン:重要証人、写真、そして、現物の金。イ・ジェハン刑事の収賄容疑の枠組み作りは、完璧だ。

よく練り込まれた演劇のように・・・。

一体、誰が、なんのために・・・証拠を捏造してまで、イ・ジェハン刑事をはめようとしたのか、わからないが、警察組織内に誰かがいなければ、こんなことをするのは不可能だ。警察内部の組織的な力でハメられたのか・・

 

周囲の警察官たちをそれとなく、気にするヘヨン。

 

~未解決捜査班~

なんのかんの言ってましたが、盾と表彰状の効果は、やはり胸躍るものがあり、にやけるケチョルと、

丹念に、梵天で埃を取り去っているホンギ。

 

少し遅れて、スヒョンとヘヨンが戻ってくるや、

「発足して早々、賞をもらえたんだぞ。捜査費用の予算(増額)と、特別休暇もだ。」と嬉しそうなケチョル。

そんなことで、喜ぶなんて・・・と、呆れて、首をふるヘヨン。

ケチョル「俺たち、マジで、エースかもしれんぞ。15年前の誘拐事件も解決したし、26年も未解決だった"京畿南部連続殺人事件"でさえ、解決したんだ」

スヒョン「私たちじゃないわ。パク・ヘヨンの手柄でしょ」

え・・と固まるメンバー。

ケチョル「なに、わけのわからんことを言ってんだ?」

 

スヒョン「うちらが誘拐事件を解決できたのは、彼が、ソ・ヒョンジュンの遺体を発見したからじゃない」

ホンギ「あ・・そう言われてみれば、その通りです」

ケチョル「ただのまぐれじゃないのか?」← 手柄じゃなくて、まぐれであってほしいんだな(笑)

 

スヒョン「ソ・ヒョンジュンの遺体は、閉鎖された病院のマンホールの中で発見されたのよ。占いじいさん(복하다하라보지)でさえ、見つけるのは相当むつかしいと思うけど・・・。」

ちらり、とヘヨンを見るスヒョン。

 

スヒョン「そう思わない?・・パク・ヘヨン警衛?」

いつか、これを追求しようと思ってた・・って感じではあっても、そこまで本気の問い詰めじゃないのが逆に怖い。

 

たしかに・・と興味をよせるホンギ。

 

ヘヨン「・・・・・・・」

ヤバいことになってきた・・・と、ヘヨン、内心、焦ってますが、極力、顔には出さないようにしています。(笑)

 

ケチョル「たまたまだろ?」

皆の視線が自分に集中しています。

 

ヘヨン「そんなこと、ホントに聞く必要あります? 私の仕事をなんだと思ってるんですか?

ユン・スアssiを通して、プロファイルした結果ですよ。こんなの、基本中の基本ですよ」

かなり強引に誤魔化そうとしてます。

ヘヨン「さぁ、もういいですよね。休暇後、また、笑顔でお会いしましょう」

そういうと、さっさと席をあとにしました。

 

足早にいなくなったヘヨンを見ながら、立ち上がったケチョル。

ケチョル「ユン・スアを捕まえる前から、プロファイルしただと? あのガキ・・・ユンボの前で、スコップで手掘りなんかしやがって。。刑事の前で、よくも嘘なんかつけたもんだ・・

 

スヒョン、ますます、尻尾を掴ませないヘヨンの事情が気になり始めた様子です。

 

~外階段~

 

アン・チス「パク・ヘヨン? 未解決捜査班のパク・ヘヨン警衛に間違いないのか?」

電話の相手は・・・キム・ソンボムです。

 

キム・ソンボム「イ・ジェハン刑事について、詳細を訊ねてきたんです。ちゃんと答えておきましたよ。」

アン・チス「ヘマはしなかっただろうな?」

キム・ソンボム「15年前にしたのと同じように、答えただけですよ」

アン・チス「しばらくは、私に電話してくるな、そして、いつも通りにしてろ。どこかに出かけたりもするなよ。普段通りにするんだ」

キム・ソンボム「心配いりませんよ。」

 

当然、いままでの流れ的に、この二人は繋がってますよね。

 

電話を切ったあとのアン・チスが、さらに、事態が悪いほうに進んでることを自覚したこの表情、どうにも悪一辺倒っていう感じがしないんです。

 

~ジェハンの自宅~

 

ホワイトボードを前にして、腕組みしてます。

 

おお、ヘヨンなりに整理してくれてる(笑)

5W1Hです。

1)When? : 夜11:23 

  接続(접속)時間は未確認。

  最初の交信 2000年 キム・ユンジョン誘拐殺人事件 イ・ジェハン警査

  2番目の交信 1989年 京畿南部連続殺人事件 当時、イ・ジェハン巡警

 

2)Where? :場所の一貫性はない。

3)Who?  :イ・ジェハン警査 (その他の人とは、無線で交信したことがない)

        対象は、イ・ジェハン刑事でなくとも可能なのか? (未確認)

4)What?   :キム・ユンジョン誘拐事件、京畿南部・・未解決事件

5)How?  :特定の無線機を通じて

6)Why?

 

何を・・どうやって・・なぜ?

 

なぜ?

 

謎は深まるばかり。。

 

 

過去

 

~バス停~

兄の帰りを待っているうちに、眠ってしまったヘヨン少年。

バスが停まり、兄ソヌがおりてきても気づかず。

ずり落ちそうになるヘヨンを支えるソヌ。

寝ぼけ眼のヘヨンに対し、ずっと待ってたのか?と声をかけてあげる優しいお兄ちゃんです。

 

帰り道、おんぶされながら、なんで、人間は寝なきゃいけないの?と、訊ねるヘヨン。

ソヌ「一日中、一所懸命働いたから、脳が休まなきゃだめだよって教えてくれてるんだよ」

ヘヨン「どうして、人間はそんなに一生懸命働かなきゃならないの?」

ソヌ「そうすることで、お金が手に入れられるんだよ。母さんや父さんみたいにね」

ヘヨン「だったら、他の子も、オンマやアッパには会えたりしないの? お金を稼いでくるからって、あんまり家に帰ってこないじゃん」

ソヌ「・・・・・・・」

 

こんなに陽が落ちた頃になっても、バス停で兄を待っている、ということは、家にいてもひとりぼっちでつまらないからです。

ソヌは、再婚した母が苦労して働かなければならないほど、自分の家が豊かではないことをわかっています。

 

ソヌ「ヘヨンは、気になることがたくさんあるんだなぁ。大きくなったら、きっとエラい人になるね」

ヘヨン「どうして?」

ソヌ「世の中で起きていることに、それだけたくさん、興味を持ってるってことだからだよ。

ヘヨン「そうかな?・・・だったら、郵便配達の人って、どうして、呼び鈴を二回鳴らすのかな?」

ソヌ「ん?」

ヘヨン「どうして、オウムは全身を使って鳴くのかな?」

ソヌ「オウムって全身を使って鳴くのか?」

それこそ、オウム返しで聞き返すソヌ。

 

バス停の、片隅に置き忘れられたというか捨てられているビデオのケースや古新聞?

(≧ω≦。)プププ

新聞の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1942伊)の上映広告欄はもとより、「オウム、身体で鳴く」というタイトルも見えてます。

※「앵무새 몸으로 울었다」

1981年の정윤희主演の映画らしいです。

"18세관람가(청소년관람불가)"となってますが、あらすじを読む限り、結構、悲恋っぽい。

 

イメージ的には、道端に落ちてるエロ本(中身もわからず)のタイトルに関心を持つっていう描写に近いのかな?(笑)

 

そりゃ、ソヌも知らんわな(笑)

 

ヘヨン「それから、なんで、盗んだリンゴの味はおいしいの?」

 

こっちも、ジャンルはメロドラマとなってますが、青少年には、ちょっと煽情的かもね(笑)

「훔친 사과가 맛이 있다」(1984)

検索したら、やっぱり、연소자불가(未成年の視聴は不可)になってました(笑)

 

ソヌ「盗んだリンゴ???」

ヘヨン「うん」

 

あ~、兄ちゃん、大変だ(笑)

 

 

現在

 

そんな、兄との会話を思い出しているヘヨン。

 

その時、スマホのアラームがなる。

11:22

無線を取り逃さないように、1分前にアラームをかけているようです。

 

ヘヨン:無線は、毎日くるわけじゃないが、時間はいつも同じだ。午後11:23。所要時間は、役1分ほどだと思うが、確信はない。

俺たちは、無線の交信を通して、イ・ミソンさんを救ったが、死ぬはずじゃなかったチェ・ヨンシンさんと、チョン・ギョンスンさんが亡くなった。

 

23:23になっても、無線機は音沙汰なし。

今日も、交信はなしです。

 

"過去を変えたら、現在も変わる"

ひと際、大きく、ホワイトボードに書かれた言葉の意味を、ヘヨンがどう捉えているのか・・・大写しになったジェハンの個人調査書と共に、それが気になるのです。

 

 

過去

 

ここから、"大盗事件"へと、新たな事件捜査の始まりとなります。

 

※韓国では、趙世衡窃盗事件と言われる、1970年代~1980年代の初め、ドライバーひとつで、病院の院長や国会議員、企業家などの豪邸から貴金属を盗み出し、一部を貧しい人に分け与えたことから、当時は「大盗(テド)」「現代のホン・ギルドン」として、義賊扱いされていたが、年をとってからは、いわゆる「コソ泥」の類の犯罪を繰り返していた、という。

 

1995年 9月10日

 

このところ、財閥や富裕層が住む地域を中心に、現金や手形・貴金属などが盗まれる事件が頻発。

夜は、総出で、分散しながら、張り込み中の刑事たち。

 

新聞の見出しにも、「会長宅で また盗難。今回で3回目」の文字が踊っている。

※ 煙草を吸いながら、この新聞を広げているのが、ジェハンです。

 

のちに出てきますが、その家の息子 ハン・セギュ(イ・ドンハ演)が夜中、物音に気付き、部屋を物色中の犯人と遭遇。

セギュ「誰だ?」

 

ガシャンというガラスの割れる音が聞こえ、一気に緊張感に包まれる刑事たち・・& 野〇ソ中だったジェハン。← 汚物ネタ、とか、昔懐かしい韓国ドラマって感じしません?

 

あ、イ・ジェハンが、模範的な刑事とかじゃないの、とっくにお見通しだと思いますが、こうして見返すと、さすがの私も、まだまだかっこよい、とまでは言えないな。(笑)

じわじわくるタイプなんで、もうちょっとだと思うんですけどねぇ。

 

警笛が鳴り響く。

各車両に待機していた刑事たちが一斉に車から降り、ただ闇雲に(笑)、「どこだ?」「どっちに行った?」などと走り始める。

 

「あっちだ」の声に、雪崩のように駆け出し、横道からの刑事たちがどんどん合流しはじめ、ひとつの流れが出来あがる。

 

先頭を走っていた男が、向かいから来た刑事たちに、挟み撃ちにあい、モミクチャにされる。

ジェハン「なんで、俺を捕まえるんだよ!!」

 

キム班長が「捕まえたのか?」と駆け付けてくる。

 

ジェハン「まったく、何してんだよ、お前ら!! マジで情けねぇ」

 

その声を聞いたキム班長、「放してやれ」と、しゃがれ声で一言。

少しずつ、スクラムが解かれ・・・

 

ジェハン「なんで、俺の脚を掴んだりするんだよ?」

文句を言いながら立ち上がるジェハン。

 

ジェハン「おまえら、これが見えないのか? 張り込み中、催したから、外で〇ソしてただけなのに・・・」

ポケットから、トイレットペーパーを出して、みんなに見せるジェハン。

 

キム班長が一番、情けないです。

 

キム班長「やい、お前ら! 奴一人捕まえられず、こんなに雁首そろえやがって!」

そりゃ、怒鳴りたくもなります。

 

 

~強力班~

結局、今日も逃げられてしまいました。。

沈鬱な雰囲気が漂ってる強力班の部屋です。

 

ジョンジェ「犯人を捕まえられないくせに、ク〇なんてしにいってる場合かよ!」

ジェハン「犯人を捕まえられないくせに、パンなんて食ってる場合かよ!」

 この二人もいいコンビなの。

 

そう言って、ジョンジェのパンに触ろうとするジェハン。

ジョンジェ「ああ、なんかくせぇぞ?」

ジェハン「奴を捕まえられてないのに、手なんか洗ってる場合かよ。この間からずっと洗ってねえよ」

 

それを聞き、げぇっとパンを吐き出し、ジェハンから離れるジョンジェや、他の刑事たち。

 

ジョンジェ「お前、捕まった時、どこに走っていこうとしたんだ?」

ジェハン「どこに走っていこうとしてたか?・・・だれかが、"あっちだ"って叫んだのが聞こえたから、それで、そっちのほうに走ったんだよ。お前はどうなんだよ?」

ジョンジェ「俺だって、そっちに走ったさ」

ジェハン「なのに、なんで、犯人はそこにいなかったんだ?現場には、たくさんの警官がいたんだぞ。一体、どこに逃げたんだ?」

ジョンジェ「そいつを捕まえそこなった誰かさんにしてみれば、お前さんのことがすっげぇ気になるんだがね」

ジェハン「そいつを捕まえられなかった誰かさんにしてみれば、お前のことなんて、全然、興味ねぇよ」

ああ言えばこう言う。(笑)

 

でも、実は、このやり取り、重要だったりしますよね。

 

 

そこに、キム班長が、書類の束を抱えて入ってきました。

 

キム班長「バールを使い慣れてるソウル市内の、元泥棒たちのリストだ。みんなで分担し、そいつらを探して、必要であればなんでもしろ。疑わしい奴は連れてこい

 

ジェハン「班長、すでに、こいつらのことは全員調べましたよ」

窃盗事件が頻発すれば、前歴者が洗われるのは当然です。

 

キム班長「こいつらの中にいるに違いないんだ。(金持ちの家の)厳重な金庫を開けられる奴がそんなにたくさんいるのか? 昨日ので、四軒目だぞ。国会議員や、会社の会長たち、更に、高飛車な政府高官の家にも強盗が入られた。この件で、長官が解雇させられる前に犯人を捕まえねばならんのだ! 以上!」

 

ピリピリしてる班長。

班長だって、上からもっと突かれてるんだよね。

 

もらったリストを一枚一枚、めくるジェハン。

 

一人の男のページで、手が止まる。

オ・ギョンテ・・今は、もう足を洗った"幻の大泥棒"です。

 

※名脇役のチョン・ソギョンさんが演じてます。

韓国ドラマ好きな視聴者であれば、必ず、目にしたことあるんじゃないでしょうか。

「ベートーベンウィルス」のコントラバスの人がたぶん、最初に印象に残ったドラマだったかな(笑)

私の大好きな『明日に向かってハイキック』だと、セギョンとシネの父ちゃん役。

・・・ってもう、15年以上前のドラマのほうが、す~~っと出てきますね。

 

当時は、なにしろ、韓国語なんてほとんどわからないので、リアルタイム視聴はむつかしくて、日本語訳を探してもあまりなくて、結局、加入してたサブスクで繰り返し繰り返し、夢中になって見てました。

 

 

~路上~

 

車を洗っているギョンテに、後ろから声をかけるジェハン。

ジェハン「この車か?」

ギョンテ「ああ、びっくりした!」

ジェハン「いや~、いい車だなぁ。新車だろ」

ギョンテ「中古だよ。」

冷凍庫のついた軽トラです。

 

ジェハン「金はどうしたんだ?」

ギョンテ「知人から借りたんだよ」

 

一瞬、聞くのを躊躇うも、心を鬼にして、さりげなく訊ねるジェハン。

ジェハン「ヒョン、昨日の夜はなにしてた?」

ギョンテ「俺じゃないよ」

わざわざ訪ねてきた刑事が、元泥棒に聞くことなんて、ただの世間話じゃないことくらい、わかってます。

 

ジェハン「まだなにも言ってないじゃん」

ギョンテ「ほんとに、やってないよ」

ジェハン「4年前に、俺が捕まえた時だって、本当にやってないって言っただろ」

ギョンテ「とにかく、今回は、本当に俺じゃないよ。おい、あの時、俺を逮捕したおかげで、昇進できたんだろうが。あんな下っ端な巡警を刑事にしてやったのは、どこの誰だったかな? 感謝してもらいたいね」

 

少し、口調が変わるジェハン。

ジェハン「それで、昨晩は何をしてたんだ?」

いくら軽口を交わす間柄であっても、ジェハンは刑事なんです。

 

ギョンテ「ああ、ホントに、お前、こんなことやめたほうがいいぞ。刑務所から出たあと、俺が何回、お前の情報提供者になったと思う?

ジェハン「だから、話題を変えたりせず、昨晩何をしていたのか、教えてくれるだけでいいんだよ」

ギョンテ「他になにを? 寝てたさ。お前だって、一日中、運転してみろよ。すぐに、布団で高いびきだよ。」

ちらっと、ギョンテの顔を見るジェハン。

 

普通であれば、ここで、「それを証明してくれる人は?」と訊ねるところです。

 

ギョンテ「本当だ、今は、もう足を洗ったんだ」

 

その時、後方から近づいてくる女子学生に気づくジェハン。

 

ジェハン「お、う、ウンジ! ウンジや!!」

その声に、くるりと振り返り、笑顔で手を振るギョンテ。

ギョンテ「(小声で)ウンジの前で、強盗事件の話なんか持ちだしたら、どうなるかわかってるな!」

ジェハン「(小声で)言葉に気をつけろよ!」

 

ギョンテの娘ウンジも手を振りながら近づいてきました。

 

ギョンテは、学校帰りのウンジを迎えるために、ここに来てたのね。

 

おお、寒かっただろ、おいで、と、娘のウンジを招き、すぐさま温かいお茶を渡すギョンテ。

 

ウンジ「強盗事件の件で来たんでしょ?」

間髪淹れず、ジェハンに訊ねるウンジ。

 

ジェハン「・・・強盗・・って」

ギョンテ「ちがうんじゃないかな」

 

大人たちが必死で誤魔化そうとしても、聡明なウンジには無駄なようです。

 

~ギョンテの家~

晩御飯を準備するウンジ。

 

待ちきれず、キムチをつまむジェハン。

ギョンテ「汁が来てから食えよ」

 

「キムチ、上手いだろ」とか「ウンジが作ったんだ」とか、「全部、ウンジがやってくれるんだ」とか、ギョンテにとっては、自慢の娘。。

 

ジェハン「勉強しなきゃだろ。こんなことしてる時間ないんじゃないか。俺なら、家に帰るだけだって言ったのに。」

ウンジ「いつも外食ばっかりなんでしょ? 体によくないよ、おじさん」

いっぱしの大人みたいな口をきくウンジ。

タジタジです。

 

ジェハン「うわ~、美味いなぁ。お前は、勉強も出来て、料理も上手いんだな。できないことなんてないだろ」

 

ウンジ「強盗の話なんだけど・・」

ジェハン「なぁ、俺は、本当に、その件でここにきたわけじゃないぞ」

ウンジ「あれ、アマチュアの仕事だよ」

え・・と、ウンジを見るギョンテとジェハン。

 

ウンジ「考えてもみてよ。プロが、どうして、こんな大事(おおごと)になるような真似するの?刑事を怒らせたり、収入源を失うなんて、意味がないわ」

ジェハン「お前になにがわかるんだよ、コマ(ガキんちょ)や」

 

ウンジ「あのね、私は、12年もアッパと暮らしてるの。アッパが刑務所に行ってた4年間、私の面倒を見てくれたのは、おじさんでしょ。私の人生は、暴力犯罪そのものよ。それくらい、わかっちゃうって思わない?」

ジェハン「こら、ガキのくせに!」

ウンジ「それに、盗品がどこからも見つかってないんでしょ。この犯人は、全然、注意深くないし、根本的なことがわかってない。」

ギョンテ「ああ、我が娘ながら、賢いなぁ」

ジェハン「ああ、さぞ自慢だろうな。中学生のガキのくせに、数学よりも、強盗に詳しいなんてな・・それで、ヒョンは満足なのか?」

ギョンテ「ウンジは、数学だって得意だぞ」

わはは、と笑い出すギョンテ。

 

ギョンテ「でも、少し変じゃないか?」

ジェハン「なにが?」

ギョンテ「確かに、アマチュアの仕事だが、あまりにも簡単すぎる。信じられないくらいの裕福な家ばかりだから、かけてるセキュリティもかなりのものだろう。彼らの知り合いとかの犯行だと思わないか?」

やはり、ギョンテも違和感を感じているようです。

ジェハン「だったら、なんで、ヒョンが刑事にならなかったんだよ?」

ギョンテ「刑事と犯罪者なんて、実際、それほどの違いはないさ」

ジェハン「いいから、飯を食え! チゲ、最高だろ、食えよ。まじで何言ってんだか」

ギョンテ「おじさんに何がおきるか、お前にだってわからないだろうな」

あはは、と笑いあう、奇妙な縁で結ばれた三人。

 

食後・・・

「もう帰るよ」と家を出てきたジェハン。

ジェハン「ウンジや、出てくることないぞ」

外の寒さに、ウンジを気遣うジェハン。

 

ウンジ「おじさん」

ん?と振り返るジェハン。

真剣な顔で、ジェハンに近づくウンジ。

ウンジ「私、おじさんのこと、本当のおじさんだと思ってる。」

真剣な口調です。

ジェハン「なにを言いだすんだ、こいつ・・」

ウンジ「私のこと、信じてるでしょ? 本当にアッパじゃないよ」

子供が気にすることじゃない・・と言いかけようとするジェハン。

ウンジ「本当に、アッパじゃないの。」

ジェハン「・・・・」

真剣に言い切るウンジに、虚を突かれるジェハン。

ジェハン「・・・・・わかった。わかったから、もう家に入れ。外は寒いぞ」

 

呼び止めるウンジ。

ウンジ「あ・・それから、これ。」

ポケットから取り出したものをジェハンの手に持たせるウンジ。

ジェハン「なんだ、これ?」

ウンジ「アッパのために作ってるときに、ついでに、追加で作ったの。運転してる時にでも聴いてね。じゃ、またね」

家の中に入っていくウンジ。

 

私も、高校生の頃とか、カセットテープに、こうして、自分のお気に入りの曲を入れてたよ。

 

ジェハン「・・・ガキが」

口は悪いけど、ほぼ身内感覚です。

ウンジの気持ちがありがたくて、つい、毒づいちゃうの。

 

ここで切ります。

 

 

★『シグナル』EP.5-2 雑感★

 

死ぬはずの人(イ・ミソンさん)を助けたことで、死ぬはずではなかった人(チョ・ヨンシンさんやチョン・ギョンスン)が亡くなった、

ヘヨンは呟きましたが、じゃ、最初の「死ぬはずだった人」ってどういうこと?

イ・ミソンさんが死ぬはずの世界って、正しいの?

 

"過去を変えたら、現在も変わる"

 

今はまだ、ヘヨンの認識は、この段階にいて、不安感も漠然としています。

 

 

そして、しばらく、ジェハンからの連絡も途絶えてしまい、気になることだらけです。

 

今回から始まった"大盗事件"は、いろんな意味で、大きな事件なんです。

ジェハンとヘヨンの意識が変わってくることで、本当の意味での、時空を超える事件になってくるからです。

受け入れがたいことを受け入れざるを得ない人生。

どれ一つ取っても、まったく、救いのない事件だということだけは言えます。

 

自分が逮捕した犯罪者の子供の面倒を見るって、なかなか出来ることじゃないです。

もともと、心根の優しい大男さんですけどね。

 

ウンジの「진짜 어퍼 아니야(チンチャアッパアニヤ)」は、いつまでも耳から離れません。(号泣)←まだ、早い

 

★『シグナル』EP.5-3に続く★