二人の掛け合いが増えれば増えるほど、こっちは楽しませてもらえるんですが、並行して、要注意人物たちが、多方面に話をリードしていきます。。。
ネタバレOKの方のみ、おすすみください。
3分割しています。この前の【Episode10】(1) はこちらから
ホテル・デルーナ호텔 델루나
【Episode10】(2)
~サンチェスとチャンソンの自宅の庭~
ミラ「どうして、そんなに、ソル・ジウォンさんを嫌ってるの? アメリカに留学してる時に、二人の間に、なにかあったの?」
緊張しながら、話しはじめるサンチェス。
「俺たちふたりじゃない。3人だ」
「チャンソンも含まれてるってこと?」
「ミラさんが韓国に帰ったあとのことなんだ。一人の韓国人留学生が、ボストンで自殺した。その時、彼女が自殺したのは僕のせいだっていう、とんでもない噂がたったんだ。」
「え? サンチェスのせい? なに言ってんの。だれがそんなこと、信じるのよ」
「信じたんだ・・・。噂は、広まった。あとになって、みんなは、俺が貧しい留学生を弄び、外国の友達と一緒にとんでもないことを彼女にやったと言いだした。俺は、ゴミみたいな金持ちになったんだ」
言葉もなく、呆れ果てるミラ。
「その後、ネットのコミュニティでは、俺が自殺するかしないかをかけ始めたんだ」
目を見張るミラ。
「それを全部仕組んだのが・・・」
「ソル・ジウォンね」
~回想~
ジウォンに、真っ正面から抗議しにいくサンチェス。
「全部、お前だな?お前がジェインについての噂を広めたんだろ。」
「俺はただ、お前が、金持ちのヨーロッパ学生と一緒に、ジェインをパーティに招待したのを見たぞって言っただけだよ」
「彼女は・・・」
声を荒げたサンチェス、周囲の視線に気づき、声を落とす。
「彼女は、ウェイトレスのバイトで働きにきただけだ!授業料を支払うのに金が必要だって言ったから、僕が彼女に仕事を紹介したんだ」
「彼女は、パーティで他の何かをすることだってできたよな。どっちにしろ、誰もお前のことなんか信じないんだから、そんなに頑張るなよ。実際さ、みんな、お前の金持ちとしての施しにうんざりしてたんだよ」
自分のほうをみて、こそこそと何かを話している学生たちの視線が気になるサンチェス。
「堂々としてろよ。俺は、サンチェスが生きる方に掛けたんだから」
笑って立ち去るジウォンに、何も言い返せなかったサンチェス。
大学内のベンチに座り、何者からか、送られてきた箱を開けてみると、カードと拳銃が入っている。
「死 121 生 98」とイラストで描かれたカードを見て、ショックを受け、つい、箱の中の拳銃を手に取ってしまう。
そこに現れたチャンソンが、自然に拳銃をおろさせる。
チャンソン「ここで、何してるんだ。 ずっと探してたんだぞ」
自然に話しかけて来たチャンソンの顔を、ただ、じっと見つめるサンチェス。
チャンソン「飯食いにいこうよ、ヒョン」
拳銃を箱に仕舞うサンチェス。
「俺が死にそうなくらい、追い詰められていたとき、チャンソンが来てくれたんだ。あの日、俺から銃の入った箱を取り上げると、ソル・ジウォンに会いに行ったんだ。そのあとで、ソル・ジウォンは、突然、韓国に戻ってしまったんだ。」
「その日、チャンソンは一体、何をしたの?」
「それについては、俺も知らないんだ。まぁ、とにかく、その噂が下火になるまで、チャンソンは、俺を食事に誘い続けてくれた。」
「あなたたち二人がこんなに親しいのには、そういう理由があったのね・・・」
重い話をおえて、サンチェスが一息ついた時、ゴミ袋をかかえて、チャンソンが家に入ってくる。
チャンソン「これを捨てたのは誰だ?(怒)」
黙って、ミラを指し示すサンチェス。
チャンソン「今日じゃなくて、明日、捨てなきゃだめだろう」
ミラ「ごめん・・・」
サンチェス「チャンソン、お前のために、ピザ持ってきたぞ。手を洗って来いよ」
チャンソン「うん、ありがとう。・・・リサイクル資源ごみは、土曜日だぞ」
改めて、ミラに注意し、家の中に入っていくチャンソン。
サンチェス「今日、ソル・ジウォンに会ったことは、チャンソンには、絶対に言うなよ。あんな奴に、チャンソンに何かされたくないからな。」
ミラ「わかったわ。彼には言わない。あ~、失敗したかな。 チャンソンより、いい男なんて、そうそういないわよね」
見る目はあるのね。
~マンウォルの執務室~
会長を招いて、話をするマンウォルとソンビ。
会長「私は、ク・チャンソン氏が義理の孫息子として最高だと思っている」
睨みつけるマンウォルに対し、満面の笑みを浮かべながら、ウィンクをしてみせるソンビ。
マンウォル「会長様のお好みは理解できましたが、すでに、お亡くなりになられています。どのようにして、生きていらっしゃるお孫さんにメッセージを届けるおつもりですか?」
会長「その話がしたかったのだ。 あなたのホテルの、特別サービスを受けたい。このバーテンダーの彼が、それについて話してくれた。あなたのホテルには、死者が生きている彼らの夢の中に入りこみ、電話で話をすることが出来るというサービスを提供してくれるそうだね。」
改めて、余計な情報を与えたソンビを睨むマンウォル。
再度、嬉しそうに、ウィンク&サムズアップして見せるソンビ。
会長「それに、この世界から、あなたに代金を支払うことができるそうじゃないか。整理するのを忘れていた資産があったのを思い出したんだよ。」
そう、それ、私が話したんですよね~~と、力なく笑うしかないマンウォル。
~ジウンの夢の中~
あたたかな日差しの中を散歩している孫娘のジウン。
「おじい様!」
笑顔で写真を見せるジウン。
「私の写真、受け取ったのね?」
「ああ、この写真を私にくれた男性のことが本当に気に入ってるんだ」
「ク・チャンソンさんのこと?」
「そうだよ」と、会議室の電話を使い、ジウンと話している会長。
傍らには、止めるに止められず、腕組みして、立っているしかないマンウォルと、嬉しそうなソンビ。
「私はね、あの若者が、お前の永遠の伴侶になってくれ、と本気で願っているんだ。あの青年のことをどう思っているか、教えてくれないか」
ガチャンっと電話を切るマンウォル。
ツーツーツーツーツーツー
マンウォル「お時間です」
会長「この電話は、相当、高価なはずだが、たった数秒しか続かないんだな」
頷くマンウォル。
ソンビ「それでは、もう一度、かけなおしてみてはいかがでしょう?」
ソンビの言葉を聞くや否や、会長から受話器をとりあげるマンウォル。
マンウォル「一日に一度だけしか掛けられない規則ですの。他のお客様のことも考えませんと・・・。」
電話機ごと、受け取ると、すぐさま部屋を出ていくマンウォルの、不機嫌極まりない表情(笑)
あとに残されたソンビと会長。
ソンビ「ですが、会長様は、重要な部分は、お孫様にお伝えになられました」
廊下で控えていたソフィに、電話を渡すマンウォル。
ソフィ「社長様、それでは、ク支配人は本当に、あのお金持ちの方と結婚するのですか?」
マンウォル「ちっ! 最近の子が、老人の言うことを聞くと思う?どっちにしろ、じいさんのいうことなんか、絶対に聞きはしないし、なんで、死んだあとまで、じいさんの言うなりになるのよ」
すでに、超絶、不機嫌なことを隠しもしないマンウォル。(笑)
二人の気持ちに、気づいてないのかな、客室長様は・・・。
~コーヒーショップ~
「実は、昨晩、私の夢の中に、おじい様が現れたんです。写真を受け取ったと話してくれました」
「そうですか? 気持ちが晴れましたね」
頷くジウン。
「それから・・別のことも話してました」
会長≪私はね、あの若者が、お前の永遠の伴侶になってくれ、と本気で願っているんだ。≫
気持ちを落ち着けようと、水を飲むジウン。
緊張のあまり、コップを倒してしまう。
「どうぞ、お使いください」とすぐさま、ハンカチを出すチャンソン。
堕ちた、完璧に堕ちたな(笑)
ハンカチを受け取ったお嬢様の目がハートになってます。
チャンソン「すみませんが、ここを片付けてくれませんか?」
店員「かしこまりました」
席についたチャンソンを見つめてから、いきなり、
「ク・チャンソンさん、お食事はお済みですか?」と訊ねるジウン。
「?」
「もう少し、祖父についての話をしたいと思って・・・」
「・・・・わかりました。軽く食事をしましょう。なにがお好きですか?」
嬉しそうに、微笑むジウン。
~警察署~
妻殺しの容疑で逮捕された夫が送検されることになり、警察を出て来たところで、記者たちから囲まれる。
「出て来たぞ」
「本当に、あなたが奥さんを殺害したんですか?」
「なぜ、埋められていた他の人たちのことも、殺したんですか?」
「もっと被害者がいるんですか?」
「これらの殺人をおかした動機は何なんですか?」
「共犯者はいるんですか?」
刑事に脇を抱えられ、マスクをした夫が車に乗り込むまで、続けざまに質問をぶつける報道陣。
~サンチェスのピザ屋~
妻殺しの夫が逮捕されたという記事をスマホで読んでいるユナ。
ユナ「違うのに。あの男はもっと小柄だったもん」
ヒョンジュン「どんな男だ?」
ユナ「この人が殺人犯だとは思えない。だから、やっぱり、0963の番号の車を見つけなきゃだめなのよ」
ヒョンジュン「0963? お前、ナンバープレートの数字、覚えてたのか?」
ユナ「うん」
ヒョンジュン「英単語を忘れるみたいに、忘れろよ」
ユナ「なによ!」
そんな会話をしていると、チャンソンがお嬢様を連れて、店の中に入ってくる。
「ここは、友人の店で、料理がとてもうまいんです」
「ク支配人だ・・・」と、ヒョンジュンが気づく。
ジウン「あ、サンチェス!」
あ~、お金持ちは、お金持ちとつながってるんだよね(苦笑)
サンチェス「おお、元気にしてたか」
ジウン「あなたは?」
チャンソン「サンチェスをご存じなんですか?」
サンチェス「ああ、同じヨットクラブなんだよ」
チャンソン「ああ、なるほど」
ジウン「本当に久しぶりだわ」
チャンソン「すごい偶然だな」
3人の会話の様子を眺めているユナとヒョンジュン。
ユナ「ク支配人に車のことを話そうと思ってたんだけど、なんか、忙しそうね」
ヒョンジュン「実際、うちのホテルの支配人じゃなくなるしね」
ユナ「え?」
ヒョンジュン「お金持ちと結婚することになるらしいよ」
楽しそうに、盛り上がる3人を、見守るヒョンジュン。
~マンウォルの執務室~
じっと、携帯を見ているマンウォル。
チャンソンに電話をかけようか、どうか、迷ってるのね。。
チャンソン≪ホテルに戻すっていう連絡を待ってますからね≫
「チャン社長~~~!」
ソンビの大声が聞こえてくる。
「会いましたよ、会いましたよ♪」
喜び勇んで、部屋に入ってくるソンビとヒョンジュン。
「お見合いデート、大成功ですよ」
「え? 二人が会ったの?」
ヒョンジュン「私が、ク支配人と、ワン会長の孫娘さんが会ってるのを見たんです。あんなに楽しそうに笑ってる支配人を見るのははじめてでしたよ」
ショック受けまくりで、仲良さげに会話する二人の様子を妄想し始めちゃうマンウォル。
やたら、楽しそうに笑っているチャンソンしか浮かんでこない(笑)
憮然とするマンウォル。
「彼がこんな野心を持っていたとは、誰が知ってたでしょうねぇ」
マンウォルの顔色がこんなに変わってるのに、なぜ、このぼんくらスタッフたちは気づかないのか(笑)
「さぁ、知らないわ。ク・チャンソンは誰に対しても、フレンドリーなタイプだから」
「それでは、社長様ご自身で確かめられてはいかがですか?彼らは、明日もまた、会う約束をしてましたから」
ギロリと見上げるマンウォル。
ヒョンジュン「ク支配人は、自宅に招待してましたよ」
ソンビ「つまり、彼女は、ク支配人の父親に会うつもりなんだな」
目を見張るマンウォル。
ヒョンジュン「もう、ク支配人のお父さんは既に亡くなられてますよ、覚えてないんですか?」
そうだったかな、と反応の鈍いソンビ。
「お母さんについて、ご存じですか?」
「ク支配人の母親はまだ、生きてるんですか?」
矛先がマンウォルに向けられる。
「なんで、私が知ってるのよ」
「(小声で)この件に関しては、いつも、そう苦々しいんだから・・・。 どっちにしろ、これで、ク支配人が自身の家族を得られるのであれば、それにこしたことはありませんよね。彼がうちのお客様に、どんなに暖かく対応してきたか、ご存じでしょう。前世の行いがよかったからに違いありません。彼にかわって、自分のことのように嬉しいですよ」
嬉しそうに、笑い合うソンビとヒョンジュン。
「そう・・・。それは、幸運だったのかもね」
この沈み込んだマンウォルを見て、本当になんとも思わないのかねぇ(苦笑)
~サンチェスとチャンソンの自宅~
リビングに掃除機をかけているチャンソン。
「明日、ジウンさんが来るから、掃除してるのか?」
「ああ、きれいにしないとな」
掃除機をもって、リビングを出ていくチャンソンを見ながら、複雑な想いのサンチェス。
「誰かと付き合うことは、マノリを忘れさせてくれるだろう。しかし、あいつもやるよな。ホテルを持ってる女性ばかり、ねらうんだから」
いや~~、そんな身も蓋もないこと、言わないでよ、サンチェスぅ~~!
自分の部屋も掃除機をかけているチャンソン。
しかし、白頭山の絵は本当にでかいわ(笑)
白頭山の絵を見ながら、微笑むチャンソン。
掃除機をかけながら、肘があたり、飾ってあった子供時代の写真を倒してしまい、丁寧に戻す。
アッパ(オ・ジホ)、久しぶり~~♪
~図書館~
二人の学生が、図書館の噂話に夢中になっている。
「ここには、幽霊に憑りつかれた本があるんだって」
「そんなバカな・・」
「イトコがここで勤めてるんだけど、教えてくれたのよ。その本を借りようとすると、憑りついた幽霊が現れるんだって」
「おもしろそうじゃん。その本ってどこなの? SNSにアップしてみようよ」
興味本位の学生が、噂の本棚に近づいていく。
「こっちなの?」
「うん」
「OK、私は撮影してるね」
「引き抜くね・・・」
どんなに力を入れても、取り出せない本。
「ね、本当に取り出せないよ。冗談じゃないんだよ」
「来た来た!」
「本当に、幽霊かもしれないんだってば!」
画面を覗いていた学生の表情がだんだんと固くなっていく。
友人が取り出そうとしている本を押さえながら、こっちをじっと見ている女性。
腰を抜かし、その場にへたりこみ、失神してしまう。
「ちょっと、どうしたの? ソル? 大丈夫?ねぇ、大丈夫なの?」
女性の幽霊が、そっと、その本『存在と時間』をきちんと元に戻し、そっと微笑む。
※『存在と時間』マルティン・ハイデガーの主著の哲学書
~麻姑神の薬局~
ピンクさん(3女)「もし、チャンソンが薬を飲んでいないなら、まだ、彷徨ってる魂を見えるってことでしょ。」
薬師(次女)「そういうのが見えるっていう呪いなんだからね。あんたこそ、相容れない二つの魂を結び付けたって聞いたけど・・・。」
ピンクさん「過去の人生で敵だった同士の再会は、いつの時も面白いものよ。彼らは、昇華できなかった感情のせいで、お互いに引き付けられるの。」
ちょっと心配気に、ピンクさんを見る薬師。
ピンクさん「おも~~~。なんて、可愛いの!」
確かに、可愛い。。。
~大通り~
タクシーを拾おうとしているミラ。
ちょうど、そこに降車しようとした客を乗せているタクシーが停車する。
「お乗りになりますか?」
「ええ」
ミラが、後部座席に乗り込むと、なにかお尻に当たり、手をやると、ピンクのペンが当たる。
窓を下げ、「ちょっと・・・」と、先ほどの男性客を呼び止める。
ミラ「これ、あなたのですか?」
ヨンス「ああ、ありがとうございます」
受け取る男性を凝視してしまうミラ。
生まれ変わっても、繰り返すのかな。。
あの時のように、にっこりと微笑み、ペンを受け取るヨンス。
行きかけたタクシーがしばらくして停まり、ミラが降りてくる。
「ねぇ、ちょっと、これ見てよ」
白いスカートに、線が入っている。
「あなたのペンのせいよ。この服、新品だってわかるでしょ」
「ああ、申し訳ありません。どうすればいいですか?」
「クリーニング代、支払ってください。あ、でも今日は忙しいので、代わりにあなたの電話番号をいただけません?」
「え?」
当然の如く、スマホを差し出すミラ。
「あの・・・だって、これ」
手のひらに、ボールペンで1本、線を描いて見せるヨンス。
「これ、黒インクですけど・・・」
じっと見つめるミラ。
「そうね、外側がピンクでも、中身は黒よね」
バツが悪くなったミラ。
「じゃ、結構よ」
恥ずかしくて、さっさと立ち去りたいミラに、話しかけるヨンス。
「あの、このペンは、僕にとって大切なものなので、それを返してくださったお礼に、クリーニング代を払わせてください。 電話番号をいただけますか?」
道の反対側から、様子を窺っているピンクさん。(笑)
「・・・そういうことなら。」
あっさり、電話番号を渡しちゃうミラ。
ピンクさん、嬉しそう!
もろタイプの男性が目の前に現れ、笑いが抑えられないミラ。。。と、同じく、まんざらでもないヨンス。
~大学の図書館~
連れ立って歩いているチャンソンとジウン。
「それでは、ここが、会長様が設立された図書館なんですね」
「ええ、ここの件が、祖父が私の夢に出て来た理由に違いないと思うんです」
頷くチャンソン。
なぜか、付き合いはじめの初々しさを醸し出すカップルのように、微笑みあう二人。
「私も、あなたにお会いした瞬間、こうなればいいな、と思っていました」
「祖父も喜びますわ」
「行きましょうか?」
なんか、意味ありげな会話(笑)
不機嫌丸出しで、チャンソンとジウンの後ろに立つ、マンウォル
・・・と、会長。
「ご満足ですか?」
「とても、似合いな二人だ」
「では、約束どおり、あのお金はお預かりいたします。ここで、彼らを見守ることもできますわ」
会釈して立ち去るマンウォル。
二人の後ろ姿を見て、満足そうな会長。
図書館内の木立に置かれたベンチに座るマンウォル。
まれにみる落ち込みよう・・・。
~図書館~
「まあ、本当にキレイだわ。お姫様みたいよ」
「本当ですか?」
ジウンが図書館のスタッフと話をしている間、自分たちを少し離れたところから見守っている会長の姿に気づき、意外そうな表情を浮かべるチャンソン。
「こちら、ク・チャンソンさん・・・」
「ああ、こんにちは。はじめまして。ク・チャンソンと申します」
~図書館の木立のベンチ~
まだまだ、絶賛、落ち込み中のマンウォルの隣に、腰を掛けるチャンソン。
「チャン・マンウォルさん・・・」
ふん、と顔を横にむけるマンウォル。
こういう素直じゃないところ、無茶、可愛いなぁ、マンウォル。(笑)
チャンソン「なんで、ここにいるんですか?」
マンウォル「会長様が、孫娘に会いたがったからよ。彼は、夢に現れることが出来る電話に高額を支払ったし、特別サービスよ。無視して行っていいわよ」
チャンソン「せっかくここに来たのに、どうして、図書館の周辺を見て回らないんですか?ここには、いい本もたくさんあるし、いい絵もあるんですよ」
マンウォル「結構よ、もう戻るわ」
立ち上がるマンウォルの腕を掴むチャンソン。
チャンソン「そんなこと言わずに、図書館の辺りを見て回りましょう。ここには、いい絵があるんです」
意地になって、帰ろうとするマンウォルを、ぐっと押さえ、腕を引っ張るチャンソン。
いやいや手を引かれて、連れていかれた先には・・・。
ど~~~ん!
白頭山の絵が飾られてました。
チャンソン「僕がここに売却したんです」
意外な展開に、チャンソンの方を振り返るマンウォル。
チャンソン「もし、我々が、設立される会長様の記念館を待っていたら、おそらく、あなたのほうが先に倒れちゃいそうですからね。それで、お孫さんと僕とで、ここに掲げることにしたんです」
じわじわ~っと口元に笑みが浮かぶマンウォル。
チャンソン「これを売却するためにここに来たんです。あなたは、何を売りにここにきたんですか?」
まさか、僕じゃないでしょうね、と言わんばかりじゃん。(笑)
チャンソン「僕のいないところで、会長となにか、密約を取り交わしたりしたんですか? “夢の電話代”ってなんのことですか?」
動揺しながらも、チャンソンのほうを振り返った時には、平然としてみせるマンウォル。
マンウォル「そんなこと、知らなくていいの。ここには、もっといい絵があるんでしょ。なんで、それらを見ないのよ?」
絵の前から、離れるマンウォルに、しつこく食い下がるチャンソン。
「会長から、いくら、せしめたんですか?」
「ちょっとよ、ちょっとだけ」
「実際、あれだって会長様の絵なんですよ。なんだか、詐欺をしたような気分です」
「あんたは、欲深のハーバード詐欺野郎じゃないの」
「詐欺野郎って・・・! そうやって、僕のことを呼び続ける気ですね。取り消してください!」
「嫌よ」
「嫌ってどういうことですか?たいしたことないじゃないですか。発言を取り消してくださいったら!」
はいはい・・・。
~図書館~
先ほどの知人と話をしているジウン。
「ねぇ、あの、ク・チャンソンさんとかいう男性、とても素敵ね。彼とお付き合いを?」
「そうなりたかったけど・・・。好きな人がいるんですって。」
仕方ないといった様子で、微笑んでみせるジウン。
それを聞いていた会長。
こちらも、仕方ない、と言った表情を浮かべています。
~図書館内のカフェテリア~
さて、その、チャンソンの好きな人は、どんぶりを持ち上げて、汁を飲み干してます(笑)
「あ~、この図書館のカフェテリアは、そう悪くないわね」
相変わらず、タカビー(笑)
ふふっと笑うチャンソン。
「でしょ?幼かった頃、父とよく来たんです。その時も、大抵、どれもうまかった」
「幼かった頃、この近くに住んでたの?」
あら、20数年間、見守ってきたじゃなかったの?
「父が、この近くの小学校に通わせたがったんです。この近所の家賃は、とても高くて、部屋を見つけられなかった。でも、ここへは、よく来てました。ここの食事が、安くてうまかったから」
「最初から、お父さんとだけ、一緒に住んでたの?」
「ええ、僕の名前がチャンソンていう理由は、私に生まれて欲しいと思ったのは父ひとりだけだったからです。でも、父は、チャンソンと名付けたことを後悔しているようでした。」
※チャンソン=賛成と同じ響き
「ですが、父は、漢字ではとてもいい名前だと知らなかったんです。私の名前は、燦く星という意味なんです。」
フルネームにすると、具燦星です。
その話をきいて、まじめに話しだすマンウォル。
「あんたの父親が、あんたを売った理由はね、自分が助かりたかったからじゃないの。あんたのためだった。彼がいなくなったら、あんたが一人になってしまうからよ。」
「当然、わかってましたよ。たった一人の家族なんですから・・・」
本当に、麻姑神はどこまで計算して、この2人の縁をつなげたんだろうか、と思ってしまうよ。
「もし、食べ終わったら、ちょっと本でも見ていきましょう」
「本? この状態じゃ、それは無理よ」
「なんで?」
「今日の恰好は、本に似合わないもの」
またまた、チャンソンには理解不能なことを話し始めるマンウォル。
「本と何をする気なんですか?」
「とにかく全部よ。図書館で、SNSにアップする本の認証写真を撮らなきゃならないでしょ。今日の服だと、全然、合ってないもん。」
「まったく・・・」
呆れ果てるチャンソン。
あのね、このドラマにおける、IUのお着替えコレクションは、並々ならぬ力の入れようです。。。
でも、じゃ、今日の洋服のコンセプトは一体なんだったんだろう。
不本意ながら、金のために仕方なく、クライアントに付き合って、見たくもない彼のお見合いデートを後ろから尾け回すために、強気に鼓舞しようと、ちょっと攻撃的なミニスカートをはいて攻めてみたけど、心情的にはブルーってところかな。
「ク・チャンソン、ちょっと、コーヒーでも飲んで、待っててよ。私、着替えたら、すぐに戻ってくるから」
焦るマンウォルも可愛いなぁ。
「そんな必要ないですよ。座ってください。本当に、本を読みに行きたいわけじゃないんです。本に憑りついた幽霊を探しに行きたいんです。」
「・・・・!」
★『ホテルデルーナ』10話(2)雑感★
さすがに、サンチェスのエピソードは、ちょっとした衝撃。
ジウォンの異常性は一旦、置いておいても、今のサンチェスが、ピザ屋のオーナーを隠れ蓑にしているのは、人の妬みや嫉みの恐ろしさを、学生の時に経験したからだったのね。
最初は、とんでもない浪費癖の借金ガールかと思っていたミラだけど、だんだん、なじんできちゃった。。。(笑)
自分のいない間に、どれだけ、マンウォルがヤキモキしていたか、知ってか知らずか、絵の売却のために、お嬢様のお相手を務めていたチャンソン。
どうやら、ちゃんと気づいてったっぽい、とわかって、朴念仁じゃなくて、安心しましたです。
白頭山の絵が、ここまで、重要なアイテムになるとは・・・“おっきい猫ちゃん”の時には、思いもしなかったけど、たしかに、チャンソンの言う通り、会長サイドは、あの絵を2回、マンウォルたちに、売ってることになるんだよね(笑)
燦星・・・良い字面だと思います。