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『花遊記』第12話(1)は、こちらから。 

 

■ 第12話(2) 

~倉庫~
カン・デソンと向き合うプジャ。


「本当に来るとは思わなかったが、来たんだな。君が死なないのが怖くてたまらないんだ。」
「あなたが、私を殺した人なんですか?」
「すまなかった。失策だったんだ」
「私は、失策で死んだんですか?」
「それなのに、なぜ、まだ生きているんだね?本当に不思議だ」
「うちのオンマはどこですか?」
「聞いているのはこっちなんだが、君は違う質問をして、答えようとしないんだな。気に入らないな」
「オンマに会わせて」
「しかも、答えようとする気がないようだ。それでも、私は喜んで答えてあげよう」
コンテナを指さすデソン。
「君のお母さんは、あそこにいるよ」
「あの中に?」
頷くデソン。
不安そうに、振り返りながら、コンテナに入っていくプジャ。
もう、飛んで火にいる夏の虫状態じゃん。
コンテナの奥に置かれた石棺。
当然、閉められた扉に驚き、戸を叩き、「開けてください」と大声で叫ぶプジャ。

 

「石棺ごと、あの娘も海に沈めろ。二度と戻ってこれないようにな」
2人組に命じ、倉庫をあとにするカン・デソン。
 

「開けてください」というプジャの必死な声だけが、響き渡る。
 

その時、石棺の内部から、光があふれる。
近づいていくプジャ。

プジャの胸に刻まれた、ソンミの血の蝶の印が赤く光り、背中に衝撃を受けるプジャ。
石棺に手を触れると、黒いマントを身にまとった女性が幻覚のように見え、地面が激しく揺れ始め、思わず、座り込む。
コンテナの外にいた二人組も、激しい地震のような揺れに、
「なにごとだ?」と驚く。
コンテナから、すさまじい閃光が漏れる。
「何が起こってるんだ?」


急に静寂が訪れ、あれだけ叫んでいたプジャの声も聞こえない。
恐る恐るコンテナの中を調べようとする2人。

中に入ると、黒マントを羽織ったプジャが背中を向けている。


「誰だ?」

振り返るアサニョ(一旦、ここで、プジャは乗っ取られてしまいました)


「お前たちは、私のためのいけにえにならねばならぬ」
自動的に、コンテナの扉が閉まり、二人の叫び声が響き渡る。


秘書とともに、処分されていないコンテナの様子を見に来たカン・デソン。


中には、蓋が開いた石棺と、床や壁には、2人組のものだったであろう血の染みが残っているだけ。
言葉を失う秘書。
「なんだ、これは?」
表情が強張るカン・デソン。

~ルシファー会長室~
ス・ボリ師、牛魔王、孫悟空、3者による緊急対策会議です。

ス「昨日は、本当に、頭痛の種を目覚めさせてくれたようだな」
牛「それじゃ、あの木は1000年あそこに横たわっていたアサニョを封印していたものだったということか。」
猿「アサニョ? なんだ、それ?」
ス「王に仕えていた神女(シャーマン)だ。彼女は死後、封印された。」
牛「1000年以上も前の悪鬼なら、ポイントの価値も相当なものだろう」
猿「おお、魔王、お前、あとどのくらい必要なんだ? ちゃんと記録してるか?」
牛「もちろんだ」
猿「ちゃんとやっておけよ。お前はいつも俺をだまそうとするからな」
どんどんどんどん、と机をたたくス・ボリ師。
ス「アサニョのことを軽くみるな!悪鬼と違い、人間に取り付いたら、違いを見破ることはできんぞ。彼女は、人間の心をコントロールして、利用するんだ。」
考え込む悟空。
ス「龍を起こしたり、王を作ることもできる能力を持つのが、神女なのだ。もし、何か間違いが起これば、彼女は、天地を揺るがすことも可能なのだ」
猿「じゃ、魔王はでかい問題を起こしたってことか」
自分のミスのような言われ方に、不本意な魔王。
牛「おい、なんで、俺の失策だ?三蔵もこれを引き起こした一人だぞ」
猿「三蔵に罰を押し付ける気か?俺を取り逃がしたように、お前が悪鬼を取り逃がしたんだろう?(ス・ボリ師に)魔王のポイントを差し引け」
牛「おい、なんで、お前が勝手に俺のポイントを捨てさせるんだ!これを貯めるのに、どれだけ苦労したか知らないだろう!」
ス「お前ら、今、ポイントのことなんかで喧嘩してる場合か!どちらにせよ、魔王は、至急、アサニョを見つけ出せ」
急に、激しく咳込み始める魔王(笑)。


牛「薬の副作用のせいで、ストレスを抑制しなければならないし、復活してから、まだ間もないから回復期間が必要だ。本当はまだ、かなり、こうしていても辛いんだ。どうか、休養させてくれ」
わざとらしいと、横を向く悟空(笑)
ス「それなら、斉天大聖、お前が見つけ出し、退治しろ」
急に、胸をおさえて苦しみ始める悟空(笑)


猿「おお、なんで、また、作動しだしたんだ・・・」
牛「死にそうだ」
猿「俺の心臓が弱まったのを知らないのか?あれから、時々、心臓が痛むんだ」
2人の芝居に呆れかえるス・ボリ師。


「二人とも、いい加減にしろ。とにかく、アサニョの処遇をどうするか、天界と議論しなければならない」

けっこう、マジなス・ボリ師。

~牛猿ハウス~
戻ってきた魔王と悟空。
牛「くそ、まったく・・・」
猿「なんで、お前、あんなものを覚醒させたんだよ。俺、ちゃんと聞いたよな?問題ないって言ったじゃないか?まったく、ぬけてる牛め!」
2人とも、アサニョの件が、そう簡単にすまないことをわかってます。。
しかも、悟空は、ソンミが巻き込まれたことも、一緒に怒ってます。。
牛像にあたりまくる悟空。

猿「くそ、くそ、くそ!」
牛「おい、やめろ、やめろってば!」
大声で止める牛魔王。
牛「俺が、抜けてるから、お前は、五行山から逃げ出せたんだろうが!」
牛魔王ったら、開き直り?(笑)
牛「少しは感謝しろ」
猿「どっちにしろ、こんな危険なことに三蔵を巻き込むなよ、それから、自分の不始末は自分でなんとかしろ」
牛「俺の最初の不始末はお前だ!不始末ナンバー1が不始末ナンバー2と争って、何になる」
猿「とにかく、こんな面倒ごとに巻き込まれたくない、この件から手を引くからな」と宣言する悟空。
牛「そいつは、三蔵の血で蘇ったんだ。アサニョは、三蔵の後をつけまわすぞ。結局は、この不始末をお前が解決することになるんだ。このモンキーバナナめ!」

猿像に唾をはかないで!


牛魔王の言ったことは、ほぼ当たりなので、もう今から、溜息をつくしかない悟空。


~ソンミのオフィス~
「あ、この木は・・・」
神木の記事を見るソンミ。
「どうかしたんですか?」
「ここの地価って、上がったの?」
「もちろんですよ。あのエリア一帯は、韓国財団の所有地ですからね。このカン・デソン教授、彼の一族が韓国財団です。彼は、最も権威のある一族出身で、しかも、賢くて、イケメンです。実は、うちの妻は、アイドル以上に彼のファンなんですよ」
カン・デソンのアイドル的なところには、一切惹かれないものの、なぜか、この神木のことはずっと気になっているソンミ。
「確かに、印象的な人間であることは確かね」
この間、病院で見かけたときも、オーラは感じると言ってたよね。
「ところで、道路が凍結してるかなにかですかね? ジャージャー麺の出前を頼んだのに、何でこんなにかかってるんだ?」
ハンジュが、ビルの下をのぞきこむ。
プジャに取り憑いたアサニョが座って、こちらを見ている。
「ん? なんで、あの子は、こっちを見てるんだ? 部屋でも借りたいのかな?ああ、腹減った」

「あの女はここにいるのね、挨拶でもしようかしら?」
掌から、バラの花びらを取り出すと、ふっと息を吹きかける。


前を通りかかった、スクーターの男の意識が、花びらによって、のっとられる。

バラの花束をソンミに渡す。
「これを私に?」
だまって頷く男。
「ジョナサンじゃないですか?やっぱり、あいつはロマンチストだな。さすがマイフレンド。マイジョナサン」
特にカードも入っていなさそう。
「代表、花瓶持ってきますね。机に飾ってやってください」

微笑み、また、バラに息を吹きかけるアサニョ。
一枚の花びらがまるで、意思をもったかのように舞い上がっていく。

バラの花を活けているソンミの手に花びらが落ち、すっと一筋の傷を作る。


1滴、ソンミの血がバラに落ちると、妖力をもつバラ。
傷に気づくソンミ。
「いつ、やったのかしら?」
傷口を押さえ、手当しに部屋を出るソンミ。
三蔵の血が移ったことを感じ、自分のバラの花びらを一舐めするアサニョ。
「美味しいわ」
ソンミが活けていたバラの花びらが、風もないのに、あおられたように、少しずつ動き始める。


それとほぼ、同時に部屋に現れ、花びらの動きを阻止する悟空。


ソンミが絆創膏を貼って戻ってきたときには、バラはすべて消え去り、花瓶だけが残っている。
 

ゆっ君に話しかけるソンミ。
「ねぇ、あんたの兄さんが持って行ったの?」
悟空の、なにかのいたずらだとしか思わないよね。
 

ビルの外に出てきた悟空。
先ほどまで、アサニョが座っていた場所に、バラが1本残されている。
拾い上げる悟空。
「花が好きなようだ、お前がアサニョか?」


~エレベーターホール~
「ス・ボリ師の天界への出張中は、魔王様が代理となられるでしょう。」
「もし、祖師としての職務を理解すれば、それも可能だろう。ポイントをもっと獲得できるはずだ」

「こちらが本日の予定です。人間に、神罰を下していただきます」
マ秘書から見せられた報告書を読むなり、一刀両断。。

「悪魔の所業だな。大抵、そいつらに通知すると、彼らは、神などいない、神罰などないという。しかし、昨今でも、まれに、神罰が下ることもあるのだ。私が神仙になったら、どんな結果になろうと神罰をおとしてやるつもりだ」
「あ、ちょうど来ましたよ」
エレベーターホールに、ゴルフバックを持った男がやってくる。
「悪い奴め」
男の後ろに立つ魔王。
「あの、少しだけあなたの携帯を渡してもらってもいいですか?」
「何言ってやがる」
携帯を取り上げて、投げ捨てる魔王。
「おい、何するんだ」
2万人強の人から、巨額の詐欺を働き、大勢の人を自殺に追い込み、相当数の孤児を生み出し、8000弱の家庭をぶっ壊した極悪人らしいです。
「お前のような奴が、人間界での懲罰をすり抜け、幸せに暮らしているのはあり得ない。そこで、お前は今日、神の采配による罰を受けるのだ」
男の後ろで、かごのないエレベーターのドアが開く。
「今日、お前はここから落ちて、手足が粉砕された状態で発見されるまでの9日間地獄の苦しみを得てから、死ぬのだ。息をしただけでも、関節という関節に激痛が走るだろう。さあ、ここから飛び降りろ」
命乞いをする男を容赦なく、追い詰める魔王。
奈落のような深い穴に落ちていく男。

この俳優さん、どっかで見たことある。。やっぱり、悪い人役で(笑)。

ええっと、あんな飄々としているス・ボリ師も、日頃、こんなお仕事もしてるってこと?

「魔王様、本日のお仕事ぶり、大変すばらしかったです」
褒めるマ秘書。
「突出した人間をより分けたわけにすぎん。どちらにせよ、私が神仙になったら、人間の事件に公的に関与するようになるだろう」
ちょうど赤信号で停止したとき、バス停に座る女性に目がいく魔王。
間違いなく、それは、ただ、ひたすら泣いている羅刹女。
「あの人は、この世界に輪廻していたのか」
車から降りようとする魔王を止めるマ秘書。
「だめです、魔王様。 絶対に関与してはならないとご存じのはずです。魔王様が関わってしまえば、悲劇的な死の予感にとどまらず、来世でも悲惨な運命をたどることになります」

ひとしきり泣いたあと、バス停をあとにする羅刹女。
この世では、宝石店の社長になっている。
あとを尾けてきた魔王、店の外から、じっと、羅刹女を見守り続ける。

力なく、羅刹女の肖像画のかかる部屋に戻ってきた魔王。
すでに部屋の中で、立っている女性。
「誰だ」
振り向くプジャの顔をした・・・アサニョ。
「ああ、プジャか」
「魔王様」
「なぜ、ここにいる?」
「エナジービーズをいただいていました」
「高い建物の屋上から落ちたと聞いた。エナジーをもって、帰りなさい」
「ありがとうございます、魔王様。この美しい女性には見つけられたんですか?」
肖像画を見るプジャ・・・の姿をしたアサニョ。
ああ、羅刹女に会った衝撃で、感度が鈍ってるの?
なんで、プジャじゃないって気づかないの??
ス・ボリ師が言ってたみたいに、魔王レベルでも、気づかないものなの?
「お前には、彼女のことをすべて話しておこう。実は今日、彼女を見かけた。現世でも、傷つき、泣いていた。」
「魔王様は、人間になった彼女の運命には関与できないとおっしゃってましたよね?」
「そうだ」
「私が、魔王様をお手伝いしましょうか?私は、人間でも、妖怪でも、幽霊でもありません。こういう立場の者が何をしても、天も何も言い出せないのではありませんか?」
「一体何を考えているのだ?」
「魔王様のために何かしてさしあげたいと思っているだけです」
「しかし、天を欺くことはそう、簡単なことではない。」
「もう、失礼しますね。では、ごゆっくりお休みください」
アサニョにかかったら、魔王の心でさえも、操られてしまうの?

 

マ秘書とすれ違うプジャ。

「魔王様に、エナジービーズをいただきました」
エナジービーズ入りのトランクを持っているアサニョに、何かを感じるマ秘書。
「プジャ、あなたから、見知らぬ香りが漂ってるわ」
一瞬固まるアサニョ。
「腐敗臭消しの香水を変えてみたんです」
「バラの香りね、悪くないわ」

今度は、猪八戒&オンニョンに出会うアサニョ。
豚「プジャや、一体どこに行ってたんだ?なんで、こんなふうに消えてばかりで、心配させ続けるんだ?」
タコ「テジ、これから、カップル写真の取材だろ。こんなふうにし続けると、破局記事なんか出さないからな」
豚「仕事が終わり次第、まっすぐ帰るから、家でまってろ、わかったか?」
プジャの頭をポンポンと撫でて、オンニョンと一緒に行ってしまう八戒。
 

「このプジャという娘は、皆に愛されているのだな。それでも、このゾンビより、三蔵の体を盗まなければ・・」
孫悟空が歩いてくるのに気づいたアサニョ。
「・・・孫悟空だ」

「おお、ゾンビ」
「孫悟空様」
「お前、魔王に会ってきたか?」
「はい、エナジービーズをもらってきました」
「・・・・そうか?」
貯めたね、悟空。
「どうかしましたか?」
「ボロボロだった少女をうまく修理してやっただろ。お前には、エナジービーズは必要ない。俺のほうが欲しいくらいだ。こっちに寄越せ。まったく、こんなに贅沢させてやったんだから、それ以上払えよ、わかったか? じゃ行くぞ」
すれ違いざまに、呼び止める悟空。
「おい」
懐から、バラの花を1本取り出し、足元に投げ捨てる。
さすがに表情が硬くなるアサニョ。
「ここに来る途中で拾った。お前、花が好きだろう?この花のようにきれいなうちに消えたいと言ったよな?」
「ええ」
「きれいなうちに燃やしてほしがったんだよな、チン・プジャ。あ、お前、チン・プジャじゃなかったな」
更に、顔色が変わるアサニョ。
「チョン・セラだ、チョン・セラ・・」
「はい」
「たしかに、あとで燃やしてやるぞ」
立ち去る悟空。

「斉天大聖孫悟空。もし、私が三蔵と入れ替わったら、私のものになるの?」

 

 ★第12回(3)に続く★