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■ 第10話(3)
~ソンミのオフィス~
《起動を成功させるには、全く同じように愛させることが必要なのだ、必ずな》
「まったく、信念のない・・・悪い奴」
いろいろ思い悩みながら、社長室のドアを開けると、悟空の背中が見えて驚くソンミ。
「孫悟空・・・」
振り返る悟空。
「私が呼んだから来たの?」
「呼ばれたから、来たわけではない。お前がどんなに呼んでも、俺には聞こえない」
聞こえてても駆けつけないっていう意味よね?
「それなら、なぜ来たの?」
「俺は遠くにいくことにしたんだが、少し忘れていた」
「何を?」
「挨拶だ」
「挨拶?」
「もし、やり残したままだと、後悔し、面倒になりそうな気がしたんだ。これでも俺たちは、一緒に過ごしたわけだから、少なくとも、うまくやれよ、くらいの挨拶をお前に伝えるべきだと思ったんだ。」
「遠くに行くんでしょう?」
「ああ。どうした?行かせたくなくて、ぴったりしがみつく気か?」
「そんなことするつもりはないわ」
「予想通りだ。チビソンミは、俺を行かせまいと、必死にしがみついたのに、大人になったソンミはそうじゃないんだな。しっかり成長したよな。」
「さよならを言うつもりなら、本売りに言いにいけば?チン・ソンミなんかじゃなく。」
「そうか。もうわかったよ。今、俺の前にいるのは普通の人間のチン・ソンミなんだよな?」
「孫悟空、私の代わりに、緊箍児(きんこじ)の新しい主人が現れたのよね?私にしてくれたみたいに、彼女にも同じようにするんでしょ?そうなんでしょ?」
「俺が彼女を愛してるかどうか、聞きたいのか?なぜだ?お前はそうしたくないのに?しがみつくか?」
「もういいわ。普通の勤め人は忙しいし、疲れてるの。休みたいから、もう帰って」
「なぜ、そんなに疲れてるんだ?何をそんなに動き回ってる?」
「え?」
「何って?今、もう普通のチン・ソンミになって、悪鬼も見えなくなったんだろ?おかしいだろう?もし、攻撃され続けてるから、疲れるのか?どうした?俺を探したか?助けを求めたのか?しがみつくか?」
「もういいでしょ。見ることが出来ない人を残して、目を閉じて立ち去って。私も無視するから。どうぞ、お帰りなさい」
「わかったよ、じゃあな。」
ゆっ君を持って行っちゃった!

声をかけたい思いを、必死にこらえてるソンミ。
社長室を出た悟空。
立ち止まり、ゆっ君を見下ろすと、「ここまでだ」と呟く。
そこに、タイミングよく、昼食を買いに出て、会社に戻ってきたハンジュとジョナサン。
「ソン室長!辞めたんじゃなかったんですか?お別れの挨拶ですか?」
ハンジュが意外そうに、悟空に話しかける。
「ああ、きちんとしたご挨拶がまだでしたね、ジョナサン・イーです」
握手を求めるジョナサンを一瞥し、ゆっ君を振ってみせる悟空。

「どうも、我々はお近づきには、なれそうもないですけど、少し、名残惜しいですよ。お元気で。」
さっさと帰れといわんばかりのハンジュ。
自分は、ソンミと離れるはめになって、こんなに辛いっていうのに、ランチに浮かれてるハンジュたちに納得いかない悟空(笑)
結局、ゆっ君をスパイにして置いて帰る悟空。
ああ、よかった!
ハンジュたちが買ってきたピザで、昼食をとるソンミ。
悟空のことで頭は一杯。
「ファンヒーター、壊れたんですかね?寒くないですか?」
あ、あのビルの息子の亡霊がソンミの隣にたってる。ついてきちゃったの?
「ソンミ、ミュージカルがあるんだけど、今日、一緒に行かないか?」
ジョナサンがそう言った拍子に、ハンジュのカップが倒れる。
「熱っ」「ごめん、ごめん」

天井の方を見回すソンミ(笑)
「代表、ミュージカル行くんですか?」
今度は、熱いスープがハンジュにかかる。
「一体なんなんだよ、今日は。」
さらに、室内を見回すソンミ。
なにかを思い付いた顔で
「じゃ、今日、見に行きましょうか」
と、ジョナサンに言うと、コーヒーを入れた紙コップが勝手に倒れる。
「なんだ?いまの」
確信したソンミ。
なぁーんだ、悟空が、ビルの息子の亡霊にやらせてたのね。
「ご苦労」
どうせなら、ご両親も一緒に・・・(笑)
テーブルを拭いているハンジュとジョナサンに「ちょっと失礼」と席を立つソンミ。
悟空がまだ、近くにいると思い、追いかけてくる。待ってた悟空。
「何か話があるのか?言ってみろ」
「挨拶を、言い忘れてたわ」
「挨拶?」
「今まで本当にありがとう。暖かいところで、元気で過ごしてね、さようなら」
「おい、チン・ソンミ!俺がお前に、いままでしてやったことの最後に言う言葉が、“ありがとう”だけか?俺の心臓を痛め付けたあげくの言葉が、“元気で過ごせ”か?一度も抱きしめもせず、“さようなら”って言うだけかよ!」
「あなたは、緊箍児(きんこじ)のせいで苦しんだのよ」
「俺が、お前への愛を立ちきろうとしてるのに、お前は本当にそれでいいのか」
「偽物なんでしょ?あなただって、私との契約がなくなって、喜ぶべきよ」
「お前はどうなんだ?三蔵の代わりに普通の人間みたいに生きてバカみたいに幸せに暮らすべきだ」
「ええ、そうよ。私、ある人のお陰で、特別な人として、拷問みたいな人生を生きてこなきゃならなかったの。だから、今は平穏で、幸せよ」
「俺みたいな偉大な誰かを呼び出す必要のない、注目に値しない人間になれて、よかったな。お前なんか、お前みたいに、退屈な奴等と一緒に、トッポッキでも食べて幸せになれよ」
なんで、こんなしょーもない、辛すぎる言い争いをしてんのよ!
訳しながら、涙ボロボロよ❗
背を向け、去っていく悟空。
何か言いかけて、とどまるソンミ。

バカな私、でも、これでいいのよ・・・な表情のソンミ。
訳しながら辛くなるから、もうやめて✋![]()
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~雑貨店~
「それが、死体の腐敗過程を遅らせる防腐剤だよ」
雑貨店の孫のところに買いにいった猪八戒。
「本当に、腐ってる死体を救う薬はないんだな?ちゃんと探したのか?」

「そんなのないよ。ゾンビが一度、腐敗し始めたら、解決策なんて、ほとんどないんだ。生きてる人間に与えない限りね」
孫くんが顔をあげたときには、すでに消えている八戒。
早速、プジャに、防腐薬を与える猪八戒。
「このまま、腐り続けたら、悪鬼になってしまうってみんな言ってました。私を・・・燃やしてください、猪八戒様」
「俺が解決方法を見つけてやる。心配するな」
「私、相当臭いですよね」
「大丈夫だ。これは秘密なんだけど、オレあの猿にたくさん殴られただろ、だから、鼻が効かないんだ」
「そうなんですか?」
そんなわけないです(号泣)
「防腐剤、あと2個くらい飲むか?さぁ」
ぐったりしているプジャに飲ませる八戒。

うえ~ん、こっちでも、チョッパルガン(猪八戒)が必死すぎて、泣いてしまう!
《一度、腐り始めた死体は、防腐剤を飲んでも、せいぜい、数日しかもたない。生きてる人間を食べ始めたら、動けるようになるかもね》
「全部、三蔵のせいだ。三蔵に責任を取らせてやる!」
車で一人向かう八戒。
カフェで会うジョナサンとソンミ。
「いい天気だね。ミュージカルを見る代わりに、散歩でもしようか?」
「そうします?」
ガラス越しに、通りを歩くスジョンのお兄ちゃんと目が合うソンミ。
「あ、あの子」
「知ってる子?」
「・・・本売りがまた、現れたりしないかしら」
心配になるソンミ。
「もし、君にすることがあるのなら、やるべきだよ」
「いいえ、ないんです、私にできることなんて。」
「そうなの?でも、今日は傘を持ってないね」
「もう必要なくなったから」
「子供の頃、君はいつも傘を持ち歩いてた。雨が降ってなくても」
「私の傘は、雨のためのものじゃなかったから」
「僕も一度、あの傘に守ってもらったよ。自分の目では見ることができなかった。でも君は、すごく恐ろしいものを断固として追い払った。君が助けてくれたことはわかってた。君はヒーローであり、すごくかっこよかった」
「そうだった?」
表の通りを見ると、まだ、お兄ちゃんはソンミの方を見つめて、たったまま。
「なんらかの理由で、雨だけじゃない、僕には見えない何かが、彼に降りかかっているのを感じるんだ」
言外に、助けてやって、と匂わすジョナサン。
重いため息をつくソンミ。
スジョンちゃんのお兄ちゃんと話をするソンミ。

(ジョナサンは、少し離れたところで立っている)
「ヌナ(お姉ちゃん)には、僕の妹が見えるんでしょう?僕、妹に言いたいことがあるんだ、お姉ちゃん、手伝って」
「ごめんね、私には、もうその力は無くなったの。」
うつむくお兄ちゃん。
~夏天女のバー~
悟空と夏天女。
「あの子のせいで、よく眠れないのに、どうして、ずっと置いておくんだ?」
「はい、あの子が不快になった場合に備えて、見守ってるんです。でも、まだ話をしてくれません。」
「そうか?前は話せただろう?」
「あのー、私はアイスクリーム屋の仕事があるんです。斉天大聖、ちょっとだけ彼女と遊んでやってくれませんか、それで、話をしてやってほしいんです」
「♪ やだね、なーぜだ?、いくらくれる?」
早速、その歌に反応するスジョン。
「♪500くれても遊んでやんないよ」
笑うスジョン。

「えーい、笑ったな」
「あなたは、すでに返事をもらえてます。もしかして、子供と同じレベルだからですね。ああ、仕事にいってきますから、彼女を見ててください」
「おい、冬将軍、俺は荷造りで忙しいんだぞ。おい、冬将軍」
ささっと、退場する冬将軍。
「なぁ、お前が幽霊だからって、俺が同情すると思うか?見ててやるけど、何も頼むなよ」
首をかしげるスジョン。
魔王は魔王で、本屋で書籍商相手に、悪巧み中。
「緊箍児(きんこじ)を起動させる方法を教えるから、やってみなさい」
「わかりました」
「じゃ、うちの会社との契約にサインを。しかし、その前に、我々は、あなたの悪事を取り除く必要がある。あー、本のなかにいる子供たちを解放するんだ。そして、二度としないと誓ってもらう。孫悟空は、多くの罪を犯しているが、私と共に悔い改め、ポイントを獲得し、生まれ変わろうとしている。あなたもそうなる、信じなさい!」
「私は、子供たちを解放するつもりはありません。」
きっぱりと宣言する書籍商。
身を乗り出す魔王。
「なんだと?」
「ここにいる可哀想な子供たちは、とても苦しんだんです。おとぎ話のなかで、幸せに暮らしている子供たちの、何がいけないと言うのですか?」

本売りの開き直った言いぐさに、怒りで震える魔王。
「お前が本の中に閉じ込めた魂は、生まれ変わることが出来ないんだ!」
「なぜあなたは、こんな地獄のような世の中に、再び、生まれ変わらせたいんですか?子供たちの幸せはここにあるんです」
書庫のあちらこちらから聞こえてくる子供たちの笑い声。
「本売りは、従わないだろう。悔い改めない、殺すべき狂気の悪鬼だ」
イライラと歩き回る牛魔王。
「私には、彼女なりに子供たちを気遣っているように見えました」
「笑わせるな!あの、狂った悪鬼の理屈は意味がない、世界と言うものは、地獄のようなところなのだ。ああ、最善の策は、何とかして、元の三蔵を取り戻すことだ。どうしたものか。」
「たしかに、三蔵としてのチン・ソンミの力が戻れば、プジャもまた、再びちゃんと生きられるでしょう」
急に振り向く魔王。
「プジャ? あの子がどうかしたのか?」
「ああ、ご報告しておりませんでした。三蔵が能力を失った影響で、ゾンビにも問題が生じました。ご心配なく。猪八戒様に面倒を見るよう、言ってあります」
「八戒に?」
「はい」
「彼女が危ない・・・」
