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【Ep.6-1】 (2010.03.14放送)

話を終え、エレベーターで降りてきたユーピンとホイファン。
1階についた途端、もう一度、ドアを閉め、ユーピンに抱きつくホイファン。

「やっぱり、別れられない。」
どうしても、ユーピンとの別れが納得できず、泣いてすがるが、ユーピンの気持ちは変わらない。

「君のことはよくわかってる。君は俺との別れに臆病になってるだけだ」
「そんなことないわ。どうすればいい?あなたの言う通りにする。仕事もやめて、ずっとあなたのそばにいる。」

「君の肩にどれだけの人の生活がかかってると思ってるんだ?君は有名人で、そんな我儘は通らない」
「そんなの、全部、言い訳だわ。もう、私を愛してないのね」
これだけ言ってもわからないのか、とホイファンに背を向けるユーピン。

そんなシリアスオーラを身にまとい、エレベーターを降りたユーピンの目に飛び込んできたのは、置物を振りかざし、老人を追い詰めるドオと、必死で止めようとするグオの修羅場。

「話し合う余地なんかないわ。今さら私たちの前に現れて、一体、どういうつもり?今日こそは、殺してやる!」
ホテルの従業員のお姉さんまで巻き込み、大騒ぎ。
ドオが振り回した置物が、グオの額に命中し、その場で踞るグオ。
驚いて、泣きじゃくるグオのもとに駆け寄り、事情を聞こうとするユーピン。

「ヤン・グオ、何があった?あの男性は誰だ?」
「私たちのパパなの。やっと見つかったの。こんなことになるなんて、どうしたらいいの?」
「わかったから、もう泣くな。俺が何とかする!他に怪我はないか?」



このユーピンの口調が、何を意味しているのか、その様子をじっと見ているホイファン。

「信じろ!うまくやるから」
何度も頷くグオ。

「ミス楊!この人を殺して、君が得るものはなんだ?
ドオに背後から声をかけるユーピン。
「所長には、私の気持ちはわかりません!」
所長と聞き、ユーピンに、娘を説得してほしいと、救いを求める父親。
「これまでずっと、私とグオの生死を気にかけたことがあった?私の中では、あんたは、ずっと死んでたのよ!」
興奮して、置物を振り上げるドオ。

「ミス楊。君は何のために必死で働いてきたんだ?よく考えてみろ!尊属殺人は死刑や終身刑に相当する重罪だ。長年かけて、貯めてきた君の貯金を台無しにするのか?しかもヤン・グオを残して・・・。君とこの人の間に、何かが起きたら、グオはどうなる?いいか、慎重になるんだ。今、この人が現れた意味をよく考えるんだ!座って、まず、彼の話を聞こう。
よし、こうしよう。俺が、この方との交渉の代理人を、無料で引き受ける。君が積年かかえてきた恨みや苦しみをきちんと話すんだ。俺が、解決に向けて、責任もって手伝うよ」
さすが、ユーピン、ドオを知り尽くした説得の仕方だわ(笑)
父親もユーピンに同調する。

「問題ありません。是非、そうしてください。私も今は少しは余裕のある生活をしている。この二人のために、できることはなんでもします!」
ユーピンが、ゆっくりとドオに近づき、ドオから置物を取り上げる。
「いいね、まず、これを下ろそう」

「グオのためじゃなければ、本当に殺してやったのに」
睨み付けるドオ。

「お姉ちゃん」
ドオに飛ぶつくグオ。
ユーピンに感謝する父。

一部始終をじっと見ていたホイファン。

怖~い! 怖すぎる!

グオたちの家を訪れる父親。
建物は古いながらも、整頓され、女の子らしく飾られた室内。

ユーピンも一緒になって見回す。

「ここが、長い間、あなたの大事なお姫様が暮らしてきたお城よ。ホテル暮らしのあなたと比べてどう?より、壮大でゴージャスでしょ?」
冷たく言い放つドオ。
愕然となる父。
「一体、これは、どう言うことだ。身を隠さなければならなくなった時、私はチェン老人に、おまえたちを託したんだ。私が迎えにくるまで、面倒を見てほしいと。彼は自分の娘とのように世話をすると約束してくれたんだ」

「あなたの言ってるチェン老人って、織物会社の社長さんのこと?」
「そうだ」
「彼なら、あなたのために負債を負ったって、50万ドルをとりあげたわ。私たちに返済する義務があるんですって。」

「なんてことだ!」

「パパ、私たち、節約するために、ここにすむことにしたの。それほど悪い家じゃないわ。そうでしょ?お姉ちゃん。」

「そうよ、水も電気も通ってなかったけど、公園に比べたら天国だったわ。幼いグオと私は、半年ほど、公園で寝泊まりしてた。浮浪者たちが面倒を見てくれたの。チェン老人に比べたら、彼らの方がよっぽど、誠実だったわ!」

「もう、やめて。お姉ちゃん」
「言わずにいられる?ちゃんと言ってやらなきゃ、悪かったって思わないでしょ?本当に良心があったら、もともと最初の場所に私たちを残していくはずがないわ。」

「もうわかったから」
当時を言葉にすることが、どれほどドオにとって、辛いことなのか、十分理解しているグオ。

「そうだ、私が悪かった、パパがみんな悪かったんだ」
「パパ、いいのよ。」
「あのとき、とてもお前たちを連れて行ける状況じゃなかった。お前たちの身に危害を加えられるのを恐れたんだ。チェン老人は、お前たちの面倒を見ると約束してくれたんだ」
「わかったわ、パパ。もうわかったから」
泣きながら止めようとするグオ。
「彼は一体、なぜ、こんなことを・・・」
「もういいよ、パパ。わかったから。みんな過去のことよ。ね、もう一度、みんなで暮らして、やり直そうよ。これからは、みんなで耐えていけばいいのよ。」

今までじっと話を聞いていたユーピンが、口を開く。
「それはダメです!」
「え?」
「あなたは、10才にも満たなかった頃の私のクライアントとその妹を放棄した。その間の精神的苦痛に対し、この二人に償わなければならない。私はあなたに、同等の慰謝料を求めます。」
ユーピンの言葉に、同意する父。
「問題ない。私は今、風水師として多くの顧客をもつ身です。月に、7~8万ドルの収入がある。私の金は、みんなこの子達のものです。それから、ドオドオ、これは、君のものだ。」

通帳を渡す父親。

「お前が幼かった頃に、開設しておいた口座だ。お前たち、二人のものだ。さぁ、受け取りなさい!それから、明日には新しい住まいを探そう。ここより、広くて快適なところで、みんなで暮らそう。これからは、私が稼ぐから、二人には、何不自由させたりしない。」

「パパ、ありがとう」
お礼を言うグオ。
「パパ、私、こういうヨーロピアンスタイルの家がいいの。どうかしら?」
雑誌を見せながら、ちゃっかり、声色が変わったドオ。


通帳の効果はテキメン。(笑)
 

 

「これじゃ、仕事にならない。言葉だけでは法的な保証はないんだぞ。書面に残そう。」
ユーピンの申し出に対して、
「父も、こう言ってるし、もう十分だと思います。ね?法律家って、本当に人を信用しないのね。」
人が変わったかのようなドオ。
「パパ、大丈夫よ、私が誓約書のドラフトを書くから、それにサインして。さ、こっちに来て!」

そんなドオの様子を見て、笑いをこらえるユーピン。
照れ臭そうに、黙って、頭を下げるグオ。

「ああ、良かった!今日のことは、本当に感謝してます!」
「なに言ってる!俺たちは友達だろ!」
「友達の間でも、感謝の気持ちは大事よ。こんなに大きな好意で助けてくれて、本当に感謝してるの。なにかおかえししなきゃ。あ、でも、あなたが女の子を欺く手伝いは含まれませんけどね。」
「そのことなら、もう謝っただろう?しつこいぞ。」
「わかりました。でも、本当にあれはひどいことだったのよ。」

「俺たちの関係って変だと思わないか?」
「どんなところが?」
「なんだか、変なゲームを繰り返してるみたいだ。」
「変なゲームって?」
「俺たちは、なにか問題が起こるたびに、お互い、悪い方が謝って、感謝し続ける。そして、またすぐに別の問題が見つかるんだ、ずっと、その繰り返しだ。」
「そうね、考えてみれば、遊園地に行った頃から、そんな感じだった。そのあとは、生理用品を配ったり・・・あれは面白かった」
「おい、まさか、“かゆみや臭い”のアンケートのことを言ってるのか?」
短期間に、ホント、色々あったものね。

「じゃ、昔から言うだろ、あなたの願いをひとつだけ叶えますっていうやつ。」
「うん、それならいいよ。いつも、あなたから、リクエストされるんだから、今日も、お返ししてほしいこと、リクエストして。私、礼を返さないのって、嫌なの。」
「本当に?」
「ええ、もちろん、シュア。どう?私の英語もまんざらでもないでしょ?」
「じゃ、こっち寄って。」
耳を向けるグオ。

なぜ、こんなに近づく必要が?(笑)


「これからは、俺のことを、シャン弁護士とか所長って呼ばないこと。」
「え?」
「俺たちの方が、クージョンよりも知り合って長いだろう?どうして、あいつのことは、チー兄さんなんて親しげに呼べるのに、俺には距離を取るんだ?」
「だって、同じじゃないもの。」
「なにが同じじゃないんだ?ああ、彼は今のボスで、おれは元のボスだった。だから、俺を・・・ああ、なんでもない。とにかく、俺たちは兄弟だって言わなかったか?違うか?」
「そうね。わかりましたよ、シャン兄さん、これでいい?シャン兄さん、シャン兄さん・・・」
なに、このユーピンのデレぶりは。


これって、韓国の『オッパ』呼びみたいなイメージ?

「あ、そうだ。これ。」
ようやく、グオに飴が渡せます。
「え、なにこれ、綺麗!」
「依頼人に・・・もらったんだよ」
「おかげで、美味しいものが食べられるのね」
「どう、うまい?」
「うん、すっごく美味しい、幸せ~」

これ、これ、この笑顔が見たかったんだもん。

「あ、所長」
すぐさま、グオのほっぺたをつねるユーピン。
「違うの、これは、つい・・・、シャン兄さんも、一つ食べる?」
「うん」
「本当に美味しいのよ」
「お菓子の包みは、持ち歩けるように小さい方がいいな。その方がいつでも食べられるだろ?」
「そうね、ありがとう、どう?美味しい」
「ああ」
笑顔で向き合う二人。
さっと、我にかえったユーピン。完璧、意識しちゃって!

~ホイファンのホテル~
血相変えて飛び込んできたクージョン。
「なにがあった?急ぎってなんのことだ!」

「あなた以外に、こんなこと話せる人いないわ。」
「とにかく、座ろう」
落ちつかせるようにホイファンを見つめるクージョン。

「ユーピンのことか?」
「シャン・ユーピンの気持ちは、完全に別のところに移ったわ。教えて。ヤン・グオのせいなんでしょ。教えてよ、教えてくれなきゃ、彼を問い詰めるわ!クージョン、私、信じられないの、彼が、レズビアンに恋するなんて。」
答えを躊躇うクージョン。

「いやよ、彼を探しにいくわ」
「無理するな」
「放してよ!行かせて!」

「ホイファン、彼女、ヤン・グオは同性愛者じゃないんだ」


ピタリと動きを止め、座り込むホイファン。
「だったら、彼らの関係は本物なの?」
「ユーピンだけが、この事実を知らないんだ。俺に言えるのは、ユーピンがこの関係に必死で抵抗しようと努力してるってことだ。もし、君が彼を追い詰めたら、あいつは間違いなく、自分の気持ちを認めざるを得ないだろう。つまり、君自身が、彼の背中をグオに向けて、押すことになるんだ。」
力なく呟くホイファン。
「ダメよ、そんなの。」

クージョンを問い詰めるホイファン。
「そんなこと、起こるはずないわ。教えてよ、私たち、ずっと、付き合ってきたのに、本当に、レズビアンに奪われるの?それって、まだ、完全にユーピンを失ってないってことでしょ?どうして、彼は、彼女がそうじゃないって知らないの?」
ホイファンのなかでは、すべてが大混乱。

「でも、こんな皮肉な冗談ってある?これが、本当のことだなんて・・・クージョン、お願いよ。私を助けて!」
ホイファンを抱き寄せるクージョン。

 

~翌日のクージョンのオフィス~
クージョンにコーヒーを入れるグオ。
「今日のコーヒー・・・」
クージョンの好みを密かに研究したグオ。
「これぞ、有名なインテリアデザイナー、チー・クージョン氏のお気に入り、新鮮なミルクと砂糖なしのコーヒーです。」

「君は僕を観察してたのか?」
「もちろんです。だって、何も言ってくれないから。知ってますか?あなたみたいな人は、他の人に気を使って、なにも言わないんです。そういうのが一番困るんですよ」
「どうして?」
「あなたに良くしてあげたくても、どうしたらいいか、わからないからです。」
なんだか、文句を言ってるような感じになったのに、気づいたグオ。

「ええっと、私、何の話をしてたんでしたっけ?あ、そうだわ、姉が父を許したので、嬉しいんです。彼のお陰です。」
「彼?ユーピンのことか?」
「そうなんです!知ってます?彼が優しくない口調で説得しなければ、姉が父を許すことはなかったと思うんです。すごくうまくやってくれたの、ちゃんと契約書も取り交わしたの。これから、父は、私たち二人の面倒を見る義務があるって。本当に、シャン兄さんはいい人だわ。時々、冷たいって感じることもあるけど、時には、一緒にいたり、じゃれあったりすると一人じゃないって思えるときもあるんです。」

これは、かなり来てるとみたクージョン。

「触れたりする以外に、何かあるの?」
「もちろん、何もありませんよ。それに、昨日、ホイファンさんとホテルで一緒だったのも見ました、たぶん、あの二人、寄りを戻したと思います。」
「うん、そうだろうね」
「え?ああ・・いい人と巡りあえて良かったですよね」
あ、やっぱりそうなんだって感じでちょっと顔が強張るグオ。


急に話を変えるクージョン。
「そうだ、昨日、親戚から電話があったんだけど、彼らは本土にも家があってさ、その設計を僕に頼みたいって言うんだ。一緒に行かないか?」
「私も?でも、私、何にもわかりませんよ。」
「言っただろ、僕には信頼できる人が必要なんだって。デザインについては、僕が管理できる。」
「本当に?じゃ、行きます。」
「明日、必要な書類を持ってきて。パスポートと、台湾・中国のビザが承認されたら、すぐに出発だ。」

「了解です!、もう一杯いかがですか?」
「もう結構。」
「ホントにいらない?」
「ああ」
グオの後ろ姿を見つめるクージョンの表情から徐々に笑顔が消えていく(涙)



一方、ユーピンの事務所を訪れたマスター楊(グオたちのの父)。
ユーピンに名刺を渡す。
《晶新風水  楊大師》

「楊さん、昨日は、ありがとうございました」
「君はなぜ、そんなに礼儀正しいんだ?君が、娘との間に入ってくれなかったら、誤解は解けなかっただろう、そうだよな?」
ドオに同意を求めるマスター楊。
「その通りです、ボス。父に風水を見てもらっても、お金なんかいただきません」
これも、お礼の気持ちかと致し方なく、承諾するユーピン。

色々、見て回ると、ユーピンのオフィスのレイアウト的に、人間関係に難ありの相だと言われる。
好きな人ともなかなか上手くいかないだって。
結構、当たってるように感じちゃうけど、これって、占いの常套句よね。(笑)

なにか、しゃべったのか?と視線を送ると、とんでもない、と否定するドオ。

「では、一体、どうすれば・・・」
ユーピン、こういう占いとか、絶対、頼らなそうだもんね、
でも、グオのこともあって、無視できないユーピン。

「簡単だよ、最も運気の強い場所に、お守りを入れるんだ。ピンクがいいね。ピンクの水晶と、できれば、彼女が好きなものを追加していれておけば、なお、効果的だ、どうかな?」
「はぁ、どうもありがとうございます」

「では、オフィス全体も見てみようか」
集まってくるスタッフたち。
「先生、私もみてください」
「はいはい、この老人は今日は、そのつもりできたから、順番に並びなさい」
これは、お国柄もあるよね。
韓国ドラマでも、風水、占い、よーく出てきます。
父親に耳打ちするドオ。
「彼らからは料金を取りなさいよ」

「さぁ、最初は誰かな?」

そこへ来客が訪れ、ドオが応対する。
「こんにちは、陳さん。どうですか?前に打ち合わせた件、大丈夫でしたか?」
「おかげで、被告は完全に補償することを約束しましたよ。今日は、合意書を持ってきたので、どこか不備がないかどうか」チェックしていただきたい。」

読み進めるうちに、顔が曇るユーピン。
「この資料、どこで手に入れましたか?この条件は、とてもこちらに有利とは言えません。」

クライアントに尋ねるユーピン。

「私も、なんだかそう感じたので、これをお持ちしたんです。しかし、私の妻は、必ず利益を得ると、と風水師に聞いたと言い張りまして。」
「風水師ですか・・・」
「私は、まだ、その人とは会ってないですが、なんでも、アメリカから戻ってきたとか、妻は盲信してるんです。あ、そうだ、名刺なら持ってます」
そう言って、取り出したのは、さっき、ユーピンも受け取ったグオパパの名刺。

スタッフたちと興じているマスター楊の様子をじっと見つめるユーピン。

 
一方、クージョンの案内で、物件を見に来たグオとパパ。
まず、ドオに見せてからにしようと、遠慮気味のグオに対し、グオが気に入らないのであれば、気に入る家が見つかるまで、いくらで探すと言うパパ。

「彼女が気に入る家と言えば、幼いときに住んでいた家でしょうね。彼女とお姉さんが、お金を貯めているのは、あの家を買い戻したいからです。・・・(グオに)前に、僕にそう言ったの、忘れたの?」
「忘れてないけど・・・あなたが覚えていたことに、びっくりです」
「それなら、あの家の現在の持ち主と交渉しよう。金のことなら心配ない。もし、渋ったら、早死にするとか不吉だとか言って引っ越させればいい。その人たちにぴったりな家相の家を、私が紹介する」
マスター楊の冗談に、笑いだすクージョン。
「パパ、そんなこと、言っちゃダメだよ。そこの持ち主は、チー兄の親友なのよ」
焦りまくるパパ、
「いや、冗談ですよ、冗談が好きなんです。」
依頼人からの電話で、先に出る父親を見送るグオとクージョン。
あの家を売る気があるかどうか、ホイファンに話してみようか?とグオに提案するがクージョン。
「ああ、いいんです。いいんです。そんな必要はありません。あの家にこだわってるわけじゃなくて、重要なのは、家族みんなで暮らすことだから。思い出はあくまでも思い出でしかないわ。私たちの仕事は、新しいおうちに、プラスすることで居心地をよくしていくことでしょう。」
今度は、グオの携帯が鳴る。
「ごめんなさい、我が家は、みんなせわしないわ」
「出た方がいいよ」
「もしもし?・・・今?」

グオの自宅前で待っているユーピン。
急ぎ、スクーターで戻ってくるグオ。
「シャン兄さん、ねぇ、シャン弁護士、シャン・ユーピンさん、一体、どんな重要な話があるって言うの?顔を見て話さなきゃならないって。」
グオの言葉を制するように切り出すユーピン。
「君は、お父さんのことをどれくらい、理解している?」
「え?パパ? パパのこと・・・。そうね、とても有名で有能な風水師なんだって。」
目をつむるユーピン。
「つまり、本当のお父さんのことは、なにも知らないんだな」
「それって、どういう意味?」
「これから、俺が話すことに、できるだけ感情的にならないでほしいんだ」
「なにが問題なの?早く話して!なんだか、もったいぶってる・・・」
それでも、少し躊躇った後、ようやく、ユーピンが言葉にしたのは、
「君のお父さんは詐欺師だ」という衝撃的な一言。
「はぁ?」
「彼は風水師として振る舞い、顧客の信用を得た後に、高配当の投資話を持ちかけるんだ」
全く意味がわからず、キョトンとなるグオ。
「この資料は、ある人に頼まれて、僕がチェックしたものだが、全部でたらめだった」
コピーを渡すユーピン。
「そんなの・・・パパが詐欺師だなんて、あるわけない!ねぇ、冗談やめてよ!」
かかってきた電話に出るユーピン。
「もしもし?ああ、わかった。ありがとう」
確証を得たような表情なのに、険しいユーピン。
「真実かそうでないかは、すぐに分かる、
自分の目で確かめた方がいい。・・・乗って。」
「わかったわ」

「君のお父さんはここにいる。一緒にいるのは、次のターゲットだ」
すれ違いざま、ユーピンに合図を送ったのは、ユーフェイたちのママを調べさせた、いつかの探偵さん!

女性と話している父親の後ろ姿に気づいたグオ。
少し離れたところに座り、様子を伺う。

「いいですか?毎日午前11時に、このありがたい石を、誠実さと謙虚さを持って胸の位置に掲げるのです!そして、あなたに教えた聖なる歌を繰り返し、歌い続けるのです。」
真剣な面持ちで、前のめりになる女性。
「先生、これには、先生のお言葉と同等の効果が宿っているのですね!すべて、私の願いが叶うのですね!」
オバマが大統領になれたのは、この石のおかげって・・・。
どう考えても無理あるでしょ、それ。
「どうも、その様子では、私のことを信じていらっしゃらないようだ。わかりました、いいでしょう。信じていただけないのであれば、全部忘れてください。別の方の運気を見てさしあげるまでのことです。」
「ああ、先生、もちろん、信じてますわ。先生のおっしゃることを、私が信じないなんて、ありえません。先生のおっしゃる通りにいたします」
バッグから、明らかに札束の入っていると思われる封筒を取り出した女性。
「まずは、こちらをお納めください」
驚愕した表情のグオを見るユーピン。
封筒を受けとると、念を入れた石のケースを渡すマスター楊。
目を伏せるグオ。

「ずいぶん、残酷だと思ったけど、君に話さないわけにはいかなかった」
帰りの車中。
「どうやって、知ったの?」
「うちの顧客の一人が、彼の妻が風水師に傾倒していることに気づいたんだ。海外に大金を投資したんだ。彼は、この投資話が事実かどうか、うちに調査を依頼してきた。そして、君のお父さんが関連しているとわかったんだ。」
「あり得ないわ。確かに、パパは少し誇張して、話しているかもしれないけれど、風水師なんて、どれも似たり寄ったりでしょう?それに、パパの言った投資話は事実かもしれないし。そうじゃない?」
「ヤン・グオ!自分を偽るな!君がそんなことをしても、お父さんのためにならないいぞ」
「じゃ、どうすればいいのよ?どうするの!どうしたらいいの?」
車を止め、興奮するグオをなだめるユーピン。
「少し、落ち着け。君は、このクライアントの金をお父さんから取り戻さないとならない。速やかに、返済させるんだ。そうすれば、俺が何とか依頼人に、彼を訴えないように説得してみる。それしかないんだ。」
「そんなの・・・あり得ない。パパは詐欺師なんかじゃない!わかったわ、私が確かめる!パパにはっきり聞くわ。あなたのところに連れていくから、はっきり説明させましょうよ!そうよ、聞いてみなくちゃ。今すぐ確かめなきゃ。」
取り乱すグオを引き留め、自分はクライアントを守らなければならないと語るユーピン。
それは、グオの父親のことは守れないかもしれないということ。
息を飲むグオ。
「放して、放してよ」
泣きながら、車を降りるグオ。

 

★Ep.6-2に続く★