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■  切ないロマンス(じれったいロマンス) エピソード10:さらば テンダー

 

窓際に座り、ひとり考え込んでいるユミ。

ヒョンテがユミの前に座る。

「何を考えている?」

「なんか変なの・・・多分、こういうのはじめてだからだと思う。本部長は、私のためにいろんなことをしてくれるの。でも、どういえばいいのかな?シンデレラみたいには思えないの。手のかかる息子を治療してみている感じ。これって普通?」

「うまくいっているようだな、本部長と」

「ううん、そうでもないの。」

「大丈夫なのか?お前が期待するものと違ってるかもしれない。彼は一般人じゃないんだ。」

「それはそうよね。でも・・・」

 

~回想~

眠ってしまったドングを横抱きするジヌクと一緒に、池を眺めているユミ、

腕組みをしているユミを見るジヌク。

「いつも、そんなふうに身構えてて、息がつまらないか?」

「こうしてるほうが落ち着きます」

「君は絶対、簡単な女性でじゃない。俺は君をそんなふうに思ったことはないよ。俺の人生で、君ほど大変だった女性はいなかった。だから、少しくらい解き放ってもいいんじゃないか。少なくとも、俺の前くらい。」

<私もそう感じてます。私にとって、たった1人の人・・・あなたみたいな・・・」

 

「自分の心に従うつもりよ」

「ああ、それがいいな。」

ユミには気付かせないけれど、表情の暗いヒョンテ。

 

前回はここまで、

 

帰宅中、道端の生垣に腰掛けてる人影を発見するユミ。

「チュ・ヘリさん?なぜ、そんなに飲んだのですか?大丈夫ですか?」

「最悪ね」

「なんて言ったの?・・・チュ・ヘリさん、しっかりしてください。そんなに酔って・・家に帰らないと。ここで何をしてたんです?」

「ねえ、あなたのせいよ。あなた!あなたが大嫌い・・・」

「泣いているの?なぜ泣いているの?」

「やぁ、チヂミ!私の人生は、あなたのせいで台無しよ。完全に台無しよ。」

「いいわ、あなたが言いたいことがあるなら、今ここで言って。全部聞きますから」

「ねえ、あなたは1夜限りなんでしょ。たった1晩。恥ずかしくないの?ねえ、それなのにまたなの?『はじけよう』だったけ?ありえないわよね?一体なんなのよ。ねえ、話にならないわよ。アダルトビデオ女優の娘が、どうしようっていうの?その一晩は、あなたの人生を振り返っての夢みたいだった?ちぢみをひっくり返すのと同じくらい簡単だと思ったの?あなたもチヂミみたいよね」

「そんなことありません。」

「何が、そんなことないのよ。この国に、あなたみたいな女性がいるっていう事実くらい知ってるわ。困るのよ。お願いよ。あなたが1晩だけの相手なら、そういう人みたいに振る舞ってよ。そして、いい、もう邪魔しないで」

酔っ払ってるし、言ってることは相当めちゃくちゃで配慮もなにもないからムカつくけど、この子は、決して陰でコソコソせずに、本人にちゃんと言うんだよね。

 

車の中で、ジヌクの言葉を思い出しているチュ・ヘリ。

<君が黙って姿を消してから、俺は誰とも付き合えなかった。きちんと食べることも眠ることができなくなった。限界まで働いた。>

 

おそらく、当時のジヌクを、訳もわからず、ずっと見守っていたんでしょうね。


「車を回してもらってもいいですか」

ジヌクの自宅に来たヘリが、ジヌクの帰宅を待っている。

「こんな時間に、なんでここに来た?」

「あなたが好きになったのはどんなに素敵な女性なのかと思ってた。でも、これは一体何よ?1夜限り?」

「ヘリ、どうやって、それを知った?」

「あまりにもひどいと思わない?10年よ・・・10年。その期間があれば、変わることだってできたのに。でも、なぜ、あなたは変わったの?なぜオッパは、私の気持ちを受け入れてくれないの?私の10年はあなたにとって何の意味もなかったの?その女との一夜限りのほうが、はるかに意味があるっていうの?えっ?」

「その一夜で・・・俺の人生は完全に変わったんだ」

「ジヌクオッパ・・・」

「俺にとって、彼女はそういう女だったってことだ。今夜は、お前を送っていけない。気をつけて帰れ」

そう言い捨てて、自宅に入ってしまうジヌク。

その場に座り込み、悪態をつくヘリ。

「そんなの我慢できないって言ったら、どうするのよ?他のすべての男が私を好きだとしてもそんなの意味ない。オッパが好きになってくれなきゃ・・・やぁ、最低野郎!あんたよ。」

 

ヒョンテの店にやってくる会長。

1人で本を読んでいるドングに近づく。

「ちょっとごめんね。君のためでもあるんだよ」

ドングの髪の毛を取ろうとしたところをオンマが見咎める。

「ちょっと何してるの? あなた、お客様じゃないわね。誰が、他の人の子に触れていいと言ったんです?」

「私には彼に会う権利がある」

「権利?あなた、どこのどなたですか?」

「向こうに行ってなさい」

もしかして、ミヒが、ユミの母親だってことも調査してないの?

「ねえ、あなたは一体何を言ってるんです?なぜ、他人の子に触ろうとしたの?」

「私はそんな人間じゃない」

「警察に通報しますよ」

「いいから、どきなさい」

「あなたは一体何を言ってるの?何者なのか、自身で説明しなさいよ」

「おい、言ってもわからんのか。」

「ただのじいさんにしか見えないわよ」

「じいさん?」

「この・・ホントにわかんないヤツ・・」

「誰に向かって口をきいてると思っておる!」

「殴る気?」

「この女、邪魔だ」

「私を襲うつもり?」

「この女、まったく・・・」

 

~ユミの自室~

チュ・ヘリに言われた言葉を思い返すユミ。

<あなたは1夜限りなんでしょ。たった1晩。>

<お願いよ。あなたが1晩だけの相手なら、そういう人みたいに振る舞ってよ。そして、いい、もう邪魔しないで>

 

 [本部長]

ジヌクからの電話。

 

車を飛ばしているジヌク。

「もう。畜生、チャ会長!」

 

ジヌクからの電話に出られないユミ。

下の店から、オンマの怒号が聞こえてきて、ハッとする。

 

言い合いを続ける会長とオンマ。

「ねえ、あなたは一体何を言っているんですか?」

「この女・・・」

「この女? 私が何だっていうの?」

「わしは、この子が私たちの家族に関連しているかどうかを確認するためにきただけだ」

「ちょっと・・なんで、うちのドングが、お宅の家族の一員なのよ?ジェソクさん、ドングを向こうに連れてって」

店員さんが抱っこしてドングを連れ出しました。

「おい、ちょっと待ちなさい」

「私たちはこれまでお互いに、親密だったことがあります?私には、そんな覚えはないんですが・・・」

「あのな・・」

「何ですか?」

ユミが駆け込んできました。

「チャ会長・・・」

さすがに、気が咎めたのか、弁解する会長。

「確認しにきただけだ。あの子がジヌクの息子であるかどうかを・・」

「あの、なにをおっしゃっているのか・・?」

そこに、ジヌクも飛び込んできました。

「お父さん!」

オンマやユミに一礼したあと、小声で問い詰めるジヌク。

「ここで何をしてるんです?」

「お前が無駄に手をこまねいているから、自分自身で対処するためにここに来た。」

「何ごとですか?」

ジヌクにたずねるユミ。

「イ・ユミさん、俺は全部知っています。ドングが俺の・・・」

「あなたがたは、うちのドングについて、一体何を言ってるの!あの子は、私が自分で出産した息子です!あなたがたは、私の子宮を馬鹿にしてるの?えっ?まったく・・。これ以上、我慢できないわ。何なのよ?」

 

店の外に出てきたユミとジヌク。

「本当に違うのか?ドングは本当に、俺の息子じゃないのか?」

「違います。前に、うちの母がここに連れて来たって話しましたよね。ドングは、私の異父弟なんです。」

「俺は、今まで何をやってたんだ?」

「それじゃ、本部長が私のためにしてくれたことや、言ってくれたこと全部・・・ドングを自分の息子だと思ったから・・それが全てだったってこと?私は何も知らず、胸をときめかせて、感動したのに、それって全部、私だけの幸せだったってこと?」

答えられないジヌク。

 

会長も店から出てきました。

「行くぞ」とジヌクに一声かけて、車に乗り込み、出発してしまう。

 

ユミにむかって「話そう」というものの、混乱しているのが、まるわかりなジヌク。

「いえ。あとで・・・あとで話しましょう。帰ってください」

ユミの失望感も半端なく、拒絶されるジヌク。

 

~会長室~

「お前は馬鹿野郎だ。金目当ての女のために、ヘリを拒否したのか?」

「彼女は、そんな女じゃありません。」

「わしがそれを信じると思うか?母親がアダルトビデオの女優をしてた娘だぞ、金目当ての女に決まってる!恥ずかしい。」

「そう不用意に話すことじゃありません。もし、そうだと仮定をして、このことを話したのは誰ですか?」

「何だと?」

「お父さんが話題にするのは、孫のことばかりだ。恥ずかしくありませんか?」

「何がだ?わしが何をした?彼女は身の程を知るべきだ。Daebokグループを手玉にとるとは!彼女が再びお前と会わないようにしてやる!」

「彼女に・・指一本触れないでください。私はもう子供じゃありません。私は・・・私の母がいなくなったときのように、ただ見てるだけではいません。お願いです。失礼します」

 

運転しながらも、ユミの言葉が相当こたえているジヌク。

<本部長が私のためにしてくれたことや、言ってくれたこと全部・・・あなたが、ドングを自分の息子だと思ったから・・それが全てだったってこと?私は何も知らず、胸をときめかせて、感動したのに、それって全部、私だけの幸せだったってこと?>

 

ユミも高台の公園にきて、ジヌクの言葉を思い出しています。

<君が黙って姿を消してから、俺は誰とも付き合えなかった。きちんと食べることも眠ることができなくなった。限界まで働いた。一瞬たりとも君を忘れたことはない」

<俺は、もう決心している。君はもう1人じゃない>

「そのためだったなんて知らなかった。馬鹿みたい・・・」

 

揚げサツマイモをおやつに作った調理長。

揚げたてを食べようとしたところ、本部長に持っていくように言われる。

躊躇うユミ。

「いやなの?どうしたの?私が行こうか?」

 

~本部長室~

父親と息子の下着セットのサンプルを見ているジヌク。

「食堂から来ました。」

「お入りください!」

「お仕事中、お菓子で休憩してください」

ウンジに、代わりに持っていってと頼んだのね。

 

「(小声で)彼女は、今、俺を見るのも嫌なのか」

「え?」

「何でもありません。ありがとうございます。そこに置いてください」

「どうぞ、おめしあがりください」

ウンジが部屋を出てから、ユミに連絡しようと携帯を手に取るが、できないジヌク。

 

~放送局~

控え室で、泣きはらした顔でメイクをされながらも、心ここにあらずなヘリ。打ち合わせにきたスタッフもそのまま、そっとしておくほど。

チュ・ヘリの料理番組にて、唐辛子特集の収録が始まり、講師が説明する、

タッパル(鶏足の激辛炒め)を食べながら、号泣するヘリ。

収録が中断してしまう。

その様子がネットニュースで、取り上げられてしまい、憶測を呼ぶ。

イニシャルではあるものの、読めばジヌクだとわかる御曹司との婚約破棄、番組降板、ジヌクの交際相手が栄養士らしいやら、二股疑惑などなど、チュ・ヘリは報道陣に囲まれ、大騒ぎとなる。

 

父子セットの新商品が発売されたようです。

「とてもかわいい。」

「夫と息子のために、を購入したい」と口々に誉める女性スタッフ。

 

「本部長、これはただならぬ事態です。」

ネットの記事を見て、顔色を変えるチャン秘書。

 

「これは俺のアイデアだ。この種の反応は期待してもいいだろう」

「そうじゃありません。これ、見てください」

チュ・ヘリとの破局記事で大騒ぎになっていることを知るジヌク。

 [チュ・ヘリアナウンサー、C氏と涙の決裂]

 

廊下で、携帯を見ているウンジに話しかけるユミ。

「何してるの?」

「・・・友人が私にタブロイド紙の記事を送ってきたんです、本部長に子供がいて、彼の子供の母親は、この会社で働いているって」

「まあ、本当に?」

「それって誰のこと?迷惑な話だわ。・・・ユミ先生、どこ行くの?」

「ああ、ちょっと洗面所に。」

呆然となるユミ。

 

トイレに篭り、携帯で事態を確認するユミ。

<可愛そうなヘリ>

<エキサイティングだったに違いない>

<彼女は金持ちの男を得た。>

<1夜限りなんて、まともじゃない>

根拠のない憶測だけが飛びかっている。

 

「ねえ、あの記事、見た?」

「その従業員って、栄養士のことでしょ?」

「信じられない。彼女は、私たちの食事を作りながら、こんなことしてたの」

「そんなタイプにはみえなかったけど」

「でも、本当に、見た目で判断できないわね」

「ほんとね」

 

うわ、久しぶりのミン理事!

[女性従業員ですか?]

[彼の食事を用意していた女性ではないのですか?]

社内でも、容赦なく責められるジヌク。

「これはあなたの新製品がリリースされた後、すぐに起こったのは非常に残念です。あなたには、この危機をチャンスに変えるための、別の素晴らしいアイデアがありますか?」

 

ユミの携帯は当然電源オフ。

 

「おまえは、あの女のためにすべてを台無しにするつもりか?!」

会長の怒鳴り声も追い討ちをかける。

 

バス停にいるユミに気付かず、噂話をする社員たち。

「ねえ、あの噂、聞いたか?」

「何?」

「ああ、本部長が子供がいるっていう・・・」

「彼の子供じゃないって聞いたぞ」

「え?私は、彼らは1夜限りの関係だったって。彼女は彼のお金目当てだったのかな?」

「なんてこと」

「彼女は一体何をしているの?」

「話しにならないわ」

 

俯き、顔を伏せて停留所の椅子に座るユミを、車の中から見つめるジヌク。車から降りようとするジヌクをとめるチャン秘書。

「本部長、私は当分の間、彼女に近づくべきではないと思います。彼女をつかまえようとすると、彼女は逃げるかもしれません。ちょうどあなたのお母さんがしたように。」

 

「二人は出会うべきではなかった。3年前も、今も。」

ユミは、会長に、こんなことも言われていたのね。

暗いヒョンテの店。

高台の公園に向かうユミ。

 

~回想~

「時々・・・いや、かなり頻繁に君について考えた。ワインを飲んだときや、ここに来たときはいつでも・・・500ウォン硬貨を手にしたときは、裏返して見るようになった。」

「後悔してない。俺は自分の本当の気持ちに正直だったから。 」

 

「私も、あの夜のこと、後悔なんてしていません。本部長、ありがとうございます。」

 

 

「ユミ!」

ここで、セオリーどおりに2番手男子の登場です。

笑顔で手を振るヒョンテ。

「アイゴ・・・」

いやなことがあったら、バッティングセンターでバットを振るのは、日本のドラマでもありますね。

ようやく当たったユミ。

「やった~~!! もう1回打ちたい」

「おい、もうすでに30,000ウォン使ったんだぞ。行くぞ」

コツをつかんだのに。

「けち!」

「なんだと。待てよ。ユミ」

 

「気分はどうだ?ストレス解消できたか?」

「うん、完全になくなったよ。」

立ち止まるユミ。

「なぜ、私に聞かないの?」

「何が?」

「記事見たんでしょ?」

「さあな。何かあったのか?」

「あんたの言うとおりだった。あの人と私は、全然、別の世界に住んでいるの。私にとって、彼を好きでいつづけることは、より辛くなりそうだわ。ねえ、最初の交際の経験にしては、少しいろいろありすぎたよね?」

「それはそうだな。お前も大人になったってことだ。ロマンス小説になりそうだな」

「やぁ、ジョン・ヒョンテ!」

「まったく、馬鹿か。だから、ああいう官能小説の代わりに、もっと意味のある本を読むべきだって言っただろ?」

「何ですって?ちょっとここに来なさいよ。ねえ!こっち来て!ねえ!」

 

自宅に戻ったユミ。オンマ、ベッドで横になりながらも寝入らずに、ユミを待ってました。

「ヒョンテと一緒にいたの?」

「え?・・うん。起こしちゃった?」

「本部長・・あの人は、どう言ってるの?」

「彼が、何を言えるのよ?心配しないで」

「こんな騒ぎを引き起こしても、しらんふりするなら、ろくな男じゃないわ。もう、彼のことを忘れなさい。」

オンマ、相当、怒ってます。

「彼だけがこの世界で唯一の男じゃないわ!始まったばかりなんだから!数え切れないほどの良い男がいるのよ。あんたは十分魅力的なんだから・・・」

「わかったわよ。ドングが目を覚ますかもしれないよ。」

ため息をつくオンマ。

 

ヒョンテのインタビュー収録の日。

「あなたのスピーキングスキルは、ライティングスキルと同じくらいすばらしいですね。それでは、最後に1つ、お聞きします。あなたにとって休暇とは何ですか?私達にあなたの定義を教えてください。」

「休暇とは、恋愛のようなものです。」

「どういう意味ですか?」

「休暇の前は興奮して、新しい場所について学習しながら、考えているときが一番楽しいです。休暇が終了したときの悲しみは、あなたがデートから帰宅したときに感じるものです。こんな点が恋愛に非常に似ています。」

「そう言われてみれば、そうですね」

「チュ・ヘリアナウンサーは、一人旅をしたことがありますか?」

「いいえ、私はまだ、したことありません」

「ぜひ、試してみてください。本当に、恋愛している気分になりますから」

「はい、カット!」

「とても素晴らしい!」

「お疲れ様でした」

 

「さすがね、テレビ取材を拒否しつづけたなんて、理由がわからないわ」

「新しい環境に適応するのが、うまいだけですよ。俺のアドバイス、検討してみて。破壊よりむしろ片思いがいいってわかる十分な年齢だと思わない?」

「私のことは気にしないで。」

大人な対応と気配りの出来るヒョンテの横顔を見つめるチュ・ヘリ。

 

朝、出勤してきたところで、すれ違うジヌクとユミ。

しばらく立ち止まり、一礼し、黙って通り過ぎるふたり。

 

~昼食時の社員食堂~

「彼女がまだ誰なのか、知らないのか」

「私はそれが私たちの社内の誰かだなんて思えないけどな」

「好奇心で死にそう」

 

ひとりひとりに膳を渡すユミを気遣い、交代を申し出るジェニ。

「私がやるから、休んでて」

「いいえ、大丈夫よ」

「早く!」

 

配給サービスセンターに連絡が入れるユミ。

「チームリーダー、イ・ユミです。私、別の職場に移るべきだと思います。はい、個人的な問題です。ありがとうございます」

 

窓辺にたち、外を見ているユミの姿を遠くから見つめてるジヌク。

 

<慎重に考えてみろ。彼女はお前のせいで、笑顔だったときより、泣き顔のほうが多かったんじゃないか?>

会長も、ユミのことを全否定している感じじゃないんだよね。

 

誰もいない社員食堂を見渡すユミ。

~回想~

初出勤の日、期待をもってここにたった日のこと。

ようやく分かり合えるようになってきた調理師たちとの日々。

[栄養士 イ・ユミ]

栄養士単独のオフィスをあたえられた日のこと。

卓上の[チョップドステーキ]のレシピ。

ジヌクに連れて行かれたレストラン

「なぜ我々はここに来たのですか?」

結果的に、味を認められただけでなく、栄養士や調理師チームの職存続もかかっていたのをジヌクが救ってくれたこと。

 

そこにジヌクからメール。

<話がある。あなたの家の近くで会おう>

 

車の中で会う二人。

「私もあなたに話がありました」

「連絡できなくてすまなかった。対処しなければならないことが多くあって・・・」

「本部長。いままでありがとうございました。私がここにいたら、お互いにとってよくないと思います。私は異動を願い出ました」

「何を言ってる?会社を離れると言ってるのか?」

「少し遅かったような気もしますが・・・それが最善のためだと思います。」

ユミを抱き寄せるジヌク。

「わかってる・・・君にとってどんなに辛い状況なのか、よくわかってる。でも、これは認められない。だめだ。絶対だめだ。俺がそんなことはさせない」

「本部長の許可を得るつもりはありません。私は、これ以上みじめになることは望みません。失礼します」

車から降りるユミ。

ハンドルを激しく打ち付け、目を閉じるジヌク。

 

[Epilogue10-1:私だけが愛しているの?]

「私は何も知らず、胸をときめかせて、感動したのに、それって全部、私だけの幸せだったってこと?」

 

[答えてください。なぜ、あなたは何も言ってくれないの?それは本当のことなの?]

[俺は今、君の涙を拭う必要があるとわかってる]

ユミにむかって「話そう」というものの、混乱しているのが、まるわかりなジヌク。

「いえ。あとで・・・あとで話しましょう。帰ってください」

 

 

[Epilogue10-2:私たちはいかにして別れたのか]

[彼に会ったら、どんなふうにしたらいいの?]

[もう、ここで終わりにしましょう。]

[彼女が出勤するにちがいない。彼女はよく眠れただろうか。]

[イ・ユミ、俺のもとにきてくれ]

[結局、私たちはお互いすれ違うことを運命づけられているのか?]

 

[Epilogue10-3:二つになれない]

 

2から1を引いた場合、それは1でなければならないことはわかってる。

でも、君がいなくなったら、俺は1にはならない。

そして、1+1が2でなければならないこともわかってる。

でも、私たちが一緒にいる場合、我々は2になれない。

俺たちが1つでなければならないのは、時間の問題だ。 

だが、君を手放したら、俺には居場所がなくなる。俺の存在自体、感じられなくなる。

背筋に悪寒がはしりそうなことを繰り返しても、俺はまだ1にすることはできない。

俺が時間を戻したいと祈り続けているよ。

2マイナス1が1だとしても、君を、マイナス1にすることはできない。

 

私は振り返りたいとは思わない。

戻れたとしても、本当に戻れたように感じるだけ。

後悔するかもしれないから、振り返りたくない。

あの日私が去ってから、どんなに私が思い続けたか、自分自身でも説明することができないってわかってる。

なぜ私が、ごめんなさいとあなたに伝えることができなかったのか、

なぜ私が、あなたを愛していると伝えることができなかったのか、

それは私の良心からでした。

 

私の心の中の言葉は、おそらく千個以上です。

でも、結局、一言も言えなかった。

どんなに失えば、昔の思い出は蘇らなくなるのでしょう。

これらの貴重な瞬間が、私を再び、幸せにすることはありません。

将来・・・遠い将来、その時が来て、振り返ったとき、私はそれを後悔するでしょう。

 

 

★  切ないロマンス エピソード11につづく★ 

3年前のあの日から、ジヌクとユミが、どれだけ、相手のことが忘れられず、思い続けてきたのか、だんだん浮き彫りになってきました。

でも、現代のおとぎ噺では、立場の違いもあり、2人の思いは同一ではありません。

ジヌクのほうが、圧倒的に、ロマンチストです。

ストレートだし、シンプルです。

ドングを息子だと思い込んだ時の強さは、あくまでも、ユミへの愛情ありき。

逆に、現実路線のユミは、そう単純に、3年前のことを昇華できていないのです。

「キャー、運命だったのね、私たち」とならずに、12話費やす所以です。

 

 

数々のドラマで、命や、莫大な費用や良心と引き換えに、今回のようなネットでの騒動を収束させる場面をみてきたので、初動対応に出遅れると、こういう羽目になるよという教訓かな、と穿った見方をしてしまいます。

恐ろしいのは、洪水のような人々の覗き見根性と、そこに垂らされる一滴の悪意ですね。

 

ヒョンテ、典型的な二番手ポジションですが、すごく、いいですね。

もっと、彼自身が絡むエピソードがあったら、相当評価高いと思うけど・・・と、ちょっともったいない感じです。

 

あと2話で本編に追いつきます。

これを訳しているつもりが、ついつい気がつけば、『怪しいパートナー』の細切れ動画ばかりを見ているという意志薄弱ぶり。

(ちゃんとした筋は追ってないですが、パーツで見てる分には、おもしろいです。)