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■     切ないロマンス(じれったいロマンス) エピソード2(1):あなたは深く私を侮辱しました

 

前回のワンナイトラブのおさらいです(笑)

もうだいぶ、お腹いっぱいなんで・・・さらりと流します。

 

出会ったばかりの、お互いのことをよく知らない二人が、激情にかられて、なにかをしようとも、当然、朝はやってきます。

 

先に目覚めたのはユミ。浜辺を散策するアジュンマたちの笑い声が、ジヌクの車に向かってくるところを、間一髪、服や、もろもろを抱えて、脱出。

シンデレラは、裸の上に王子のコートを着込み、ガラスの靴の代わりに、「豊胸パッド」をその場に残して消えてしまいました、とさ。

 

 [三年後]

ユミとジヌクのそれぞれの朝。

テボクグループの本部長として、チャン秘書の運転で悠々と出勤するジヌク。

ジヌク自らがモデルとなった男性の機能下着のブランドが大成功。

「反応は、既存のモデルに比べて非常に良いです。」

「当然だろ」

韓国にとどまらず、海外売上高は、今年度19.2パーセント増加。

重役たちを前に、売り上げや今後の戦略、ビジネスプランの展開を報告するジヌク。

すっかり、“できるエリートビジネスマン”に変身してます。

会長である父親から、結婚の催促をされるジヌク、多忙を理由に誤魔化しています。

 

そのまま、朝食ミーティングに突入。

「私たちはもはやここに座っている必要はなさそうですな。私も急ぎのビジネスがあるので、これで失礼しますよ、行こう」

ジヌクが着席した途端、退席する反ジヌク派のミン部長のあからさまな嫌がらせ。

黙っているジヌク。

正式な会議じゃなく、朝食MTGだと言いながらも、皆が朝食に箸をつけたところで、今シーズンのマーケティング戦略などの質問を重ね。結局、誰も食べることが出来ない。

「全体のマーケティング戦略の見直し案を明日までに、私に提出してください。」

 

一方、ユミは小学校で、栄養士として働いていたが、就職が決まり、今日が最後の日。

名札のハングルが名前以外よく読めなくて・・・。

子供たちには「行かないで」と引き止められる。

 

栄養士として働くことが決まった仲間たちでささやかな激励会。

大学や病院などのほか、ユミのように企業で働くものもいる。

「企業は最高よ、うるさい子供はいないし、人員は常に同じでしょ」

 

帰り道、ジヌクの車によく似たタイプのオープンカーを見て、まじまじと見てしまうユミ。3年経っても思い出してしまう。ドキドキドキドキドキドキ

就職先のCMモデルがジヌクだとは気付いてないの?

 

自宅に戻ってきたジヌク。

飼い猫の様子をみると、お腹に赤ちゃんがいるのがわかる。

ソファで寝起きしているジヌク、タオルケットを鼻に押し当て、寂しげに呟く。

「このにおい・・・もう、全部消えちゃってるよな」

猫ちゃんには、ダンボール箱を用意してあげるジヌク。

 

ユミのアパートの1Fは、高校時代からの友人が店を出している。

作家兼ブックカフェのオーナー ヒョンテ。

 

「こちら、ご注文のビールです。」

彼目当ての若い女性が目立つ。

テーブルにうつぶせになっているユミが目に入り、声をかけ、なんとか起こすものの、すでに夜中の2時。

明日は初出勤。

「早く上に行けよ。モーニングコールするか?」

「ありがと」

うわ、彼はユミが好きなのね。

ドアにぶつかりそうなところを、注意されるユミ。

 

翌朝、会社の前で、500ウォンを拾うユミ。

「ラッキー」

そこにすべり込んできたジヌクの専用車。

一足先に建物に入るユミ。ニアミス!

 

朝、分刻みの本日の予定を読み上げるチャン秘書を、途中で制するジヌク。

不眠と、食生活も含め、不規則な生活を心配するチャン秘書。

向かい側のエレベーターに乗り込んだ女性の姿を見て、目を見開くジヌク。

次の瞬間にはドアが閉まって、見えなくなる。

あまりの驚きで、めまいを起こしかけ、チャン秘書の肩につかまり、今の女性を見たか、たずねるジヌク。

「いきなり、なんですか?」

「エレベーターに乗り込んだ黒い服の女性だ。」

「本当にどこか悪いんじゃありませんか?熱はないみたいですが・・・。」

混乱するジヌク。

 

社員食堂フロアーに上がってきたユミ。

広々としたおしゃれな社員食堂に、テンションアップ。

厨房も見て回る。

「予想通り。うわー、すごく素敵。ところで、栄養士のオフィスはどこかしら?」

 

ドリンク関係のスペースの片隅に、PCが置かれたデスクと、前任者の名札を発見。

「ここが私の席ね。ま、いいわ。仕事があるだけでもラッキーよ」

白衣に袖を通し、鏡越しに自分を励ますユミ。

「イ・ユミ、やったね。がんばれ!」

 

「私はDaebokグループの新しい栄養士イ・ユミです。お会いできて光栄です。」

4名の調理師スタッフ(調理長のワン・ボクジャ、セクシー調理師カン・ジェニ、唯一の男子調理師イ・シンファ、マンネのチャン・ウンビ)との顔合わせ。

なかでも、この道20年のベテラン調理長は、一筋縄ではいきそうもない雰囲気。

調理長「前にどこで働いてたのですか?」

ユミ「学校です」

調理長「大学?」

ユミ「いいえ、小学校です。子供たちは、とてもかわいいかったです」

調理長「会社の給食は、学校給食とはまったく異なるレベルにあります。人と食材の数に差がありますし、ラクじゃありませんよ。」

ユミ「はい、私、一生懸命がんばります。」

調理長「いいえ、がんばる必要はありません」

ユミ「え?」

シンファ「ああ、私たちの調理長はそういうのを嫌っています。」

ジェニ「初心者は、常に、一生懸命がんばって、めちゃくちゃにしてやめていくの」

調理長「まず、あなた自身の仕事だけに焦点を当てて適切に働いてください。我々は残りを行います。」

ユミ「それでは、私は何をすべきでしょうか?」

ウンビ「ジャガイモの到着が少し遅れています。向かってる途中です。私が案内します」

ジェニ「私がやるわ。行きましょう。」

ユミ「・・・はい、行きましょう。頑張りましょう。みなさん!」

出て行くユミたち。

ウンビ「でも、タマネギの皮をむく必要があるのに。」

シンファ「うわー、またさぼるつもりだ」

 

ジェニ「食材が届いたら、キッチンに運ぶことも仕事なの」

ユミ「そうなんですか。あの・・でも、調理長は、非常に打ち解けないタイプみたいですね。様子を見てるんでしょうか?」

ジェニ「いいえ、期待してはだめよ。あなたの前任だった栄養士は、彼女のせいで辞めたんだから」

ユミ「本当に?」

ジェニ「あなたは何歳?」

ユミ「私は28です。」

ジェニ「なら、私たちは同じ年齢ね。」

 

そこに通りかかるチャン秘書。

ジェニ「彼ってセクシーよね。」

本部長の秘書と聞き、秘書らしからぬファッションセンスに疑問を抱くユミ。

ジェニ「あれが、彼のストレスを緩和する方法なの」

ユミ「え?」

ジェニ「本部長の気性は冗談じゃきかないの。キッチンタイマーってわかるでしょ?彼は会議に​​使うのよ。みんな、それを時限爆弾って呼んでるわ」

ユミ「もしかして、本部長は、社員食堂で食事したりします?」

ジェニ「いいえ、私は一年以上、ここで働いてるけど、彼が食堂で食べるのを見たことはないわね。なんでも、忙しいから、パンやインスタントラーメンを食べてるって噂よ。」

ユミ「まあ、それは健康的じゃないわ」

ジェニ「でも、彼の筋肉や肩は完璧よ。いつか、脱がせてみたいわね」

 

~本部長室~

エレベーターで見かけたユミ(に似た女性)のことが気になって仕方がないジヌク。

「本部長。会議の時間です。」

「ああ」

 

「ウンビさん、私にもアクセスカードが必要です。」

「経理部門に行って、受け取ってください」

「ありがとうございます」

7階のつもりが3階で降りてしまったユミ。

「ああ、もう。この仕事を続けたかったら、もうすこし注意深くならなきゃ。」

朝、拾った500ウォン硬貨を投げて、取り損ねるユミ。

床を路が転がってなかなか見つからないコイン。

エレベーターのドアが開いた気配を感じるが、視線は床に落としたまま、探すつもりのユミ。

「あ、次のでいきますので、お先にどうぞ」

ここでもジヌクとニアミス。

「私の500ウォンはどこに行ったのよ?」

 

~会議室~

「座ってください。時間の無駄ですから、着席したままで結構です。みなさんが、これ(キッチンタイマー)を「時限爆弾」と呼んでいると聞きました。命名者に報いたいですね。私はその名前が気にいってます。それでは、これが爆発する前に、この会議を終了してみましょう。」

アイデアはいずれも却下。あまりの低次元に、

「からかってるんですか?やる気はありますか?次は何ですか?何もありませんか?・・もっとなにかあるだろう!あなた方にできることすべて・・・です・・・」

といいながら、倒れるジヌク。

「本部長!本部長!」

 

入院したジヌク。

反対派のミン部長がわざとらしく、おもねっています。

「仕事熱心なのは良いことですが、ご自身の健康に気をつけないと。」

「我々は、まだ危機管理の下にいます。管理職は、私のそばにくるのではなく、ご自身の仕事をしてください。」

追い出すジヌク。

「ええ、そうしましょう。お大事に。さぁ、行きますよ」

 

ひとり残ったチャン秘書が、本部長の健康管理を怠った責任を取り、明日、辞表を出すと言い出す。辞めない条件は、一日三食、きちんととること。

結局、折れるジヌク。

「必要な手配は私が行います。」

 

こうして、ジヌクの3食の食事作りの担当が、新任栄養士のユミのもとに降りてきました。

自社の栄養士が本部長の食事を作るということが、理的かつ効果的、また体系的かつ経済的に有利であると、チャン秘書に理詰めで説得されるユミ。

 

病院のベッドで、お守り代わりの500ウォン硬貨を眺めているジヌク。

 

提案を受け入れれば、解雇されないとわかり、了承する。

「やります!本部長の食事の世話をします。本部長は、この会社の一部ですので、我々はそれの世話をする必要があります。」

それを聞いていた調理長が、舌打ちして出て行く。

シンファ「すごく怒ってた」

ジェニ「彼女、おかしいんじゃない・・」

ウビン「この状況でどうやって、余分な仕事、請けられると思ったのかな?」

 

「それでは、朝食、ランチ、ディナーの一日三回、本部長のための健康的かつタイムリーな食事を用意してください。」

「一日三食?」

「問題はありますか?」

「いいえ。私たちは、ここの従業員の昼食を提供してますから、それほど難しいことではありません。心配しないでください。」

「本部長が回復するまでの3ヶ月間、続けてください。私はあなたの能力を楽しみにしています。 それでは」

 

「ホントに大丈夫かな?」

泣きたくなるユミ。

当然、調理長の猛反発をくらう。

「誰がやると、同意しましたか」

「ですが、彼はこの会社の本部長で・・・」

「本部長だから何?」

「え?ああ、ええっと・・・」

「彼には、手と足はないの?ここに自分自身で来て、彼に教えてやりなさいよ」

「それはそうですけど、彼は、それを行うにはあまりにも忙しいです」

「私たちも忙しいです!あなたは、調理師が、食堂の外で、食べ物を提供することが違反だと知らないの?知らなかったとしても、私の許可しませんよ!これはあなたの冗談なの?あなたに命令されたら、私たちは薄い空気の中でも料理しなきゃならないの?」

かなりヒステリックに叫ぶ調理長。

ウビン「そんなに、怒らないでください。調理長・・・」

シンファ「もう・・・ヌナニム」

若い2人が取りなそうとしても、おさまらない様子。

調理長「彼の食事のことは彼自身でやればいいんです。私たちにそれを押し付けるのは筋が違うわ。あんたたちは、自分のすべき仕事をやってればいいのよ。わかったわね」

調理長に従い、部屋を出て行く調理師たち。

正論を言われ、あとに残されたユミ、重いため息。

 

病院の大型テレビに映し出されたニュース番組を見ているジヌク。

画面には、チョ・ヘリアナウンサー

 

自宅に送るというチャン秘書に対し、会社に戻るというジヌク。

「医師はあなたに休息をとるように言いました」

「どっちの言うことを聞くつもりだ、俺か医者か?」

「医者です。ご自宅に戻りますよ」

 

ジヌクの携帯に電話が・・・

<チョ・ヘリ>

「まさか、彼女にしゃべったのか?」

「彼女は私が言わなければ、ソウル中のすべての病院を捕捉するだろうと言われましたもので・・・」

「彼女に遭遇したら、俺は再び入院することになるぞ」

「すぐ、家に帰るぞ!」

「だめです。ここは、エレベーターがひとつだけです」

「非常階段だ」

あわてる2人が消えるのと同時にエレベーターから降りてきたヘリ。

「うわー、チャ・ジヌク。私の電話を無視したわね?」

昔からの知り合いなのか、ヘリがジヌクを追っかけてるようです。

 

 

チャン秘書から、今すぐ、ジヌクの食事を用意するように連絡が入る。

焦るユミ。

「どうしよう。私は何をしたらいいの?・・彼は倒れたんでしょ?休む必要があるのに、なんで、こんなに早く退院したの?」

<次の3ヶ月間、私はあなたの能力を楽しみにしてます。>

あわてて買出しに行き、1人で作り始める。

「ああ、だめ、焦げちゃうわ」

 

なんとか出来上がった食事セットをチャン秘書に手渡すユミ。

「ああ、ちょっと待ってください。」

付箋を貼るユミ。

「それでは」

 

「はぁ。緊張する」

 

<早く回復されることを願っています。楽しんで! - 栄養士イ・ユミ>

「これは何だ?」

「よく分かりませんが・・・野菜のお粥?」

「ああ、そうだな・・・って、これがお粥のように見えるのか?ドッグフードでも、これより美味そうだろう。捨てろ!」

 

社員食堂のお昼時。

たくさんの社員が列に並んでいる。

「お召し上がりください」

順々に渡していくユミ。

 

ユミに電話がかかってくる。

「え?もう一度作れですって?」

 

「キュウリのキムチが無くなりましたけど、どうしますか?」

「え?もう」

ギロリと調理長がユミをにらむ。食材発注はユミの仕事なのよね。

「どうしましょう?」

ジヌクの食事つくりと平行し、困り果てるユミ。

 

「本部長、お食事です。」

「これから出張だ」

「突然ですか?」

 

疲れきってるユミ。

「ああ、もう夕食の時間だわ」

出来上がったセットを持って急ぐユミに、本部長は、出張の後に直帰すると聞かされる。

「もうすこし、早くおっしゃってくだされば・・・。」

無情にも電話をぶち切りするチャン秘書。

 

退勤時、ため息をつきながら、会社をあとにするユミ。

 

 

★切ないロマンス 2話(2) に続く★