まさかの2分割(笑)
■ 切ないロマンス(じれったいロマンス) エピソード1(2):ワン・ナイトの関係
髪に付いたケーキのクリームをふき取り、ため息をつくユミ。
「どうかしてたのよ。まるで、自分自身を拷問するために、ここまで来たようなものじゃない」
車の鍵を持っているスタッフを待ち伏せしているジヌク。
気弱なスタッフから、すぐさま、キーを取り戻す。
レンタルドレスを脱ぐユミ。バスローブを着たところに、チャイムの音。
ドアを開けると、ベルボーイがカートとともにいきなり現れ、止めるのも聞かず、ワインを開け始める。
「あの・・すみません、私はこれを注文してません。」
「これは無料です。」
「無料だとしても、私はそれを望んでいません。お引き取りください」
「このワインのコストが、どのくらいか知っていたら、そうは言ってられないだろう。」
その言い方にむっとしたユミ。
「私が、フロントに、あなたのことを報告する前に、出てってください」
「いいでしょう、私は、さきほどの件で謝罪にきただけです。」
「それなら、先に謝ってください。もし、あなたが謝罪するためにここに来たなら、まず、最初に、謝るべきですよね」
「わー、一体、なんで、そんなにえらそうなんだ?」
「何って言ったの?」
「俺に謝罪したいなら、君こそ、まず謝罪すべきだろう」
「ちょっと待って、なぜ私が謝るの?」
ジヌクに近付かれ、しゃっくりが出るユミ。
“異性を意識すると出ちゃう”という、例のあれです。
「君は、行きのバスでの俺とのことを覚えていないのか?」
~回想~
バスの揺れのせいで、ジヌクの膝に座ってしまったユミ。
あ・・・
「それから、君の方から、激怒牛のように、俺のカートに走ってきたんじゃないか?」
「何?激怒牛?ちょっと、言いたいことはそれだけ?」
「いや、言いたいことがもっとたくさんあるが、疲れるだけだからな。じゃ失礼」
部屋を出て行くジヌク。
「なんなの、あの最低男は何者?」
ロビーに降りてきたジヌク、声をかける同僚に早退すると告げる。
ポケットを探るジヌク。
「あれ・・俺の車のキー」
ユミの客室に落としたことに気づく。
~客室のユミ~
歩き回り、事態を考えているユミ。
<それから、君の方から、激怒牛のように、俺のカートに走ってきたんじゃないか?>
「どう考えても、迷惑な話よね。激怒牛?彼はなにさまのつもり?ほんとに迷惑だわ。多少、彼が格好良いということを除いても悪いものは悪いでしょ。」
ちらりとワインを見るユミ。
バスルームにワイングラス片手に入ってきたユミ。
「たしかに、これはおいしいわ」
<このワインのコストが、どのくらいか知っていたら、そうは言ってられないだろう。>
確かに味は気に入ったユミ。
泡風呂に足をつけようとして、片足を滑らせ、倒れ、持っていたワイングラスも粉々に飛び散る。
ユミの部屋に車の鍵を取りに来たジヌク。
バスルームでは、腰を強打し1人で起き上がれないユミ。床やバスローブにワインが飛び散り、まるで出血したかのよう。
ユミが在室しているのはわかっているため、チャイムを連打し、何度もノックするジヌク。
<すみません。ドアを開けてください。>
ジヌクの声にハッとするユミ。
「・・・すみません!助けて」
その声に気付いたジヌク。
とおりかかったルーム係(車のキーを取り上げたスタッフ)に、マスターキーで開けさせる。
「とにかく、彼女を探せ。急げ」
部屋に入るなり、ちゃっかり、車のキーは拾い上げるジヌク。
バスルームで発見されたユミ。
恥ずかしさのあまり、咄嗟に気絶したふりをする。
「血、血ですよ、あれ」
腰を抜かす同僚君。
さすがに、驚いたジヌク、なんども問いかけたり、頬を触っても反応なし。
「救急車だ」
あわてて、ユミを抱きかかえ、そのまま、下に降りる。
一瞬、その真剣な表情を見て、また意識のないふりをするユミ。
救急車が到着し、隊員に状況を聞かれるジヌク。
「何が起こったんですか?」
「彼女は、バスルームの床の上に倒れてました。」
「すみません、私の声が聞こえますか?大丈夫ですか?」
そっと、ユミのバスローブの裾の乱れを直すジヌク。
「すみません、私の声が聞こえますか?これを感じることができますか?」
隊員に足の裏をくすぐられ、こらえきれず笑い出し、蹴り飛ばしてしまうユミ。
「彼が倒れたぞ」
周囲の野次馬たちも、不審そう。
- どうしたの?
- 彼女は元気みたいだ!
「ああ、恥ずかしいわ」
壁に額を押し付けて絶賛、ひとりごとタイム。
「お前は一体なにものだ?今日、何回目だ?なぜ、君は俺に近づくんだ?」
「ちょっと、私がいつあなたにアプローチしたの?」
「じゃ、なんで浴室の床に倒れたふりなんかした?」
「あの床、石鹸の泡で滑りやすかったから、ただそれだけよ」
「俺が大丈夫か、確認したときに言えばよかったじゃないか」
「私が言おうとしたときには、もうすべて、あなたがやってしまって・・・」
「いいだろう、多分君は当惑したんだろう。だが、その後、君は、もっと良い行動だってできたはずだ。それなのに、大勢の前で俺に恥をかかせたんだぞ」
激高するジヌク。
「ミスタースマイル。それなら、あなたはどう?なぜあなたは私の許可なく、部屋にはいったんですか?」
「君が助けを求めたんじゃないか」
「・・・」そのとおり(笑)
「迷惑なのよ。なぜ、あなたは私にカートを持ってきたりしたの?
なぜ、私にはできないの?ただ、お風呂に入る程度のことが・・。
なぜ、私にはできないの?正しいドングンラテン(韓国風ミートボール)を作ることが・・。
なぜ、なりたいものを目指しちゃだめなの?」
だんだん心の声が駄々漏れになるユミ。
「大丈夫か?」
ユミがかなりストレスを溜め込んでるって、気付くジヌク。
「何が?」
「言いたいことが言えたなら良かったよ。」
自分のジャケットを脱ぎ、ユミに羽織らせるジヌク。
「君が楽しもうとして、ここに来たのなら、そんな不機嫌にしてないで、楽しんだほうがいい」
去っていくジヌク。
翌朝、着替えを済ませたユミ。
ジヌクのジャケットをあてて、鏡に映してみる。
「彼はやくざなの?こんなに広い肩幅なんて」
<君が楽しもうとして、ここに来たのなら、そんな不機嫌にしてないで、楽しんだほうがいい>
ジヌクの言葉を思い出し、なぜか豊胸パッドを胸に当ててみるユミ(笑)
海岸線沿いを運転するジヌク。助手席には花束が置かれている。
[お粥レストラン]
携帯で確認しながら、店の前までやってくるジヌク。様子を伺いながら、入り口に花束を置く。
反対側から連れ立って歩いてくるアジュンマたちに気付き、すばやく立ち去る。
「皆さん、今日は手伝っていただき、ありがとうございます。」
「がんばったわよね」
他の3人は、店の前を通り過ぎていく。
店の前に置かれた花束に気付いた女性、メッセージカードを見る。
<誕生日おめでとう。>
あわてて周辺を見回す女性を、隠れて見ているジヌク。
この様子からすると、名乗れない事情のあるジヌクのお母さんなのでしょう。
自撮棒を使って、岬の灯台やつり橋周辺をひとり、散策するユミ。
せっかく来たんだもの。
ジヌクの忠告にちょっとだけ素直になったみたいです。
しかし、気がつけば、周囲は恋人たちだらけで気後れするユミ。
<ご注文は2人様以上から>
お腹がすいても、お一人様はただそれだけで拒否られる(笑)
しかたなく、バス停で、コンビニのおにぎりを食べるユミ。
通りかかって行き過ぎ、無視できずにまた戻ってきたジヌク。
「ところで、これってレンタカー?まさか、顧客の車を盗んでいませんよね?」
「言っておくが、君は俺が誰か分からないと思うけど、普通の人間じゃないんだ」
「ああ、そうですよね。そうでしょうねぇ」
確かに、今までの言動は“ポトンサラミ”じゃない(笑)
「言うつもりはなかったが、テボクリゾートの会長の息子・・・」
「あなた、会長の息子の車を盗んだの?」
「もういい。行くぞ。送ってやる・・・。もしかして、俺の申し出に不満が? 」
「あの・・・車の盗難の共犯として逮捕されたりしませんか?」
「それ、忘れろ。それに、ここのバスはすでに廃止されたはずだが・・・おじさん、ここのバスってまだ運行されていますか?」
<いや、もう走ってないよ>
「たしかそうだったはず・・」
ジヌクが横を見ると、すでに、助手席に座っているユミ(笑)
「私は、このオプションの顧客サービスを検討してみることにします。」
「シートベルトして」
「はい。」
発進するとき、笑みがこぼれたジヌク。← もうかなり、気になってるというか、いっしょにいたいのね。
「君は面接に来たの?」
「ええ?」
「なんか、ドレスよりも、そっちのほうが似合ってるな。秘書みたいだ。」
「待って。あなた、何を言ってるの?」
「大声で読んでただろ?」
「何を読んでたって?」
「『ボスの明示的な味』タイトルは非常に挑発的だ。」
「あれは・・小説じゃないの」
「ああ、そうですか。」
突然、車から警告音が・・・。
「ところで、その音は何ですか?」
「くそ、チャン秘書め! ねえ。ちょっと金を貸してくれないか?」
「なんですって?」
会長に報告するチャン秘書。
「彼は、そう遠くには行けないはずです。車はガス欠ですから。」
「あいつは、今日のために出かけたんだ。もう、おそらく行っただろう」
「はい、わかっております」
「母親に会った後、むこうにつく可能性もあるな」
「降りて」
「ちょっと待って。ここ、どこなの?私たちはリゾートに戻るのかと思ってました。」
「俺は、リゾートに戻るとは一言も言ってないぞ。君はチェックアウトしてきたんじゃないのか?」
「ええっ、だって、ガソリン満タンにしたでしょう。もしかして、抜け出すために言っただけなの?」
「おい。それは、もう。だから、二倍にして返すって言っただろう。」
「あなたを信じられません。」
ユミに疑われ、むかつくジヌク。
「俺は約束したら、必ず守る男だ!」
「いいわ、わかったわよ」
車からワインを取り出すジヌク。
「君がバスに乗ろうが、ヒッチハイクしようが、俺はしばらくここにいるつもりだ。それで帰れるかどうかは知らないが。」
「え?どういうこと?」
「それとも、俺と一緒に飲むこともできるな」
「一緒に?」
浜辺で、演奏する若者たち。
海を眺めながら、砂浜に腰掛けるジヌクとユミ。
「俺たちのどちらが良い気分になるまで、しばらく充電してみよう。君には興奮しないから、手を出したりしないよ。」
「ちょっと! 私だって、何も感じません!」
「それは良い。」
「私にも一口ちょうだい。全然飲まないうちに、ワインを捨てることになっちゃった。ま、どうでもいいことよね、もう、お会いすることも決してないだろうし・・・」
ちらっとユミを見るジヌク。
ああ、お会いするつもりだったのね。
「どうでもいい!」
「どうでもいい!!」
海に向かって叫ぶふたり。
「あ、これ見て。ナイス!お金見つけた!すごい!1989これは私が生まれた年よ。ラッキー」
「まじで?君の一日が幸運だというには、あまりにもクレイジーだったと思わないのか?」
「百の悪い事が起こっても、たった1つの良いことが起これば、その日は幸運な日よ。この広大な砂のベッドの中で、500ウォンを見つけたわ。そして、それは私が生まれた年だった、私はラッキーだったのよ。さぁ、贈り物よ。」
「俺がガソリン代も持ってないからって、哀れんでるのか?」
「私は、あなたの幸運を願っています。あなたは一日中悲しそうに見えたわ。母を失った子猫みたいだった」
「猫?一口で酔ったのか?」
「ねえ、私はヘビー級よ!」
機嫌の良さそうなユミ。
「ご機嫌だな?」
「うん」
「踊りだしても、驚かないな。」
「踊ったほうがいい?私はかなり良いダンサーですよ!」
「何するつもりだ?」
「踊ってるのよ!」
「何やってんだよ?君には当惑させられっぱなしだな、すぐにやめろ!」
夜の海。車に移動した二人。
「私は、今日、あなたに感謝しました。なかなか就職できないし、とても孤独で、本当に苦労したんです。誰も私に“大丈夫か”なんて尋ねたりしなかったのに。あなたが最初でした。“大丈夫か”って、聞いてくれたの、あなたが初めてだった。そんなに、言葉自体は大したことなくても、妙に私を慰めてくれたの。」
「まぁ、俺はとても魅力的だからな。俺のために泣いた最初の女性じゃないが、“大丈夫か”と尋ねて泣かれたのは初めてだ。それに、泣いた顔が可愛く見えたのも初めてだ」
その言葉にちょっとドキッとしたユミ。
また、しゃっくりです(笑)
「遅くなったから、そろそろ帰らなきゃ・・・」
立ち上がり、バランスを崩したユミを支えるジヌク。だいぶ、接近してます。
顔を覗き込むジヌクの視線に耐え切れず、しゃっくり連発のユミ。
お互いの唇から目が離せなくなり、とうとうジヌクからキス!
あわてて離れたユミに、拒絶されたかのように寂しげになるジヌク。
しばらくためらった後、自分からもジヌクにキスするユミ。
もう止まりません。
2人の世界に突入です。
Epilogue1
クラブでの夜、猫に餌をやるからと、整形美人の誘いに乗らなかったジヌク。
言い訳ではなく、本当に、黒猫ちゃんを飼ってました。
うん、嘘はつかない男。
今日も一日楽しかったか?
家の中で、ベッドではなく、毛布の匂いに包まれてソファに横になるジヌク。
初回、可もなく不可もなく見終わりました。
どうしても、初回は放映までの間に、ティーザーを見まくるので、既視感もありますし、これからこれから。
レビューを書かなくてもいいかなと思っていたのですが、4話くらいまで見たところで、たしかに、切なさ指数が上がってきました。
恋は時間じゃないからね。
最初、ジヌクはユミに押し戻されてるところで、動きを止めてるし、ユミは決して流されたわけじゃないって、ちゃんとユミからのキスで表現してるし、ユミの、あ、私も脱がなきゃ・・・みたいな慣れてない感じとか、結構、細かく見ると、二人の心理や性格を、このシーンに込めているのがわかります。
(細かく見る必要があるかどうかは置いといて・・・(笑))
とにかく初回は、偶然・必然に関わらず、どれだけジヌクがユミに引き寄せられていたのかを知る上で、大事ですね。
俺様系全開のジヌクですが、お母さんのお店のシーンや、ソファに置きっぱなしのタオルケットとか、(あれは文字通り、ライナスの毛布なのかな)、決して幸せいっぱいの幼少期ではなかった演出がちりばめられています。