■『ポンダンポンダンLOVE』後編(1)
答えが出ないといいつつ、しっかりとダンビを抱きしめている世宗。
世宗の胸の中にすっぽりと包まれたダンビの目には、地面の水溜りが見えている。
いま、この手を振り解いて、あの水溜りに飛び込めば、元の世界に戻れる・・・。
それでも、世宗の背中に回した手で抱きしめかえすダンビ。
目を閉じる世宗とダンビ。
いつしか雨はやみ、水溜りに雨の波紋もなく・・・。
「さあ行こう」
「どこへ?」
「明に行く船を用意してある。」
「いやです、逃げたくありません。」
「命にかかわる問題だぞ」
「もう一度だけ時間をください。ここにも逃げてきたんです」
そこへ、ヨンがやってくる。一刻の猶予もないようです。
「あの者を生かしてはおけぬ。大義のためだ。従五品別座職の座を約束しよう」
王の側近で学者でもある高官が、ダンビの殺害をヨンに命じています。
「あの者が本当に未来から来たものならどうしますか」
「未来から来た何でも知っている者か。そうだな。それ以上に危険なことは無い」
ヨンとともに、馬で山奥に向かうダンビ。
「王様が走ってまであの者を助けたのです。王様自らが問題を起こしたのですよ。」
王妃に告げる父親。
水たまりに手を浸し、すくい上げるダンビの首元に、剣を突きつけるヨン。
父親の話を聞き、じっとしていられなくなった王妃、王の部屋に忍び込む。
大切に箱に仕舞われたみかんを見て、あの晩、ふらふらと現れ、倒れこんだダンビを抱きしめた王の姿と、ダンビの足元から転がり落ちたみかんを思い出す。
寄り添って写真を撮っていた2人の様子、特にダンビの肩や背中の感じから、何かに気づいた様子の王妃。
「苔だらけの水を飲むな。いや、苔に罪は無いな。人間の都合で、自然の性質が陥れられたかのように感じるだけだ。行こう。」
立ち上がったとき、石でバランスを崩し、ヨンに支えられるダンビ。
一度、離してから、再度抱き寄せるヨン。
「やっぱりな。女だろ?」
「な・・なんのことだか」
「そうか?じゃ、水浴びは?」
「あ・・洗うのは嫌いなんです」
「別にかまわない・・・前から知ってた。弟が、お姉ちゃん、お姉ちゃんって呼んでただろ?」
「だますつもりじゃなかったの。言うのがちょっと怖かったし、職に就くのも男のほうが有利だって聞いて・・・」
「部屋代を倍にするなら王様には言わないで置いてやる」
「あなたはいい人ですね。最初は悪い人かと思ったの」
「計算してるだけだ。確実な従五品を選ぶかもしれないし、王の女を救って従四品を狙うか。とにかく今は俺のものだから・・・」と言いかけて・・・。
そのころ、王宮では・・・。
「なぜ、そのような命令を下したのだ?」
「あの者が密偵なら行おうとしてきた大業が水の泡になります」
ダンビの水色のパーカーの胸にかかれていたのは「LOVE」
ハングル文字を準備している世宗に、これが文字だとわからないはずがありません。
「余が直接聞く」
「王様。私的な感情はお捨てください」
側近の言う事を、ただ黙って聞く王様ではなくなりました。
白馬の王子様ならぬ王様・・・ポッ・・・
王宮を飛び出していく世宗を、更に追いかける王妃。
ダンビの背後に迫った刺客を刺すヨン。
数名が追ってきています。
ダンビを馬に乗せるヨン。
「時間を追って走れ」
「一人で?」
「一緒に死ぬか?」
胸からカッターナイフを取り出し、ヨンに渡す。
「あとで返す!」
そうだよ、死んじゃだめだよ、ヨン!
世宗は、どこに向かって馬を走らせているのだろう?
追いかけてる王妃、足は靴擦れ、オヨモリの鬘も投げ捨てました。
なかなか大胆です。
一人で数人を相手するヨン。強い!
でも、さすがに多勢に無勢・・・剣がつかえなくなってからは、カッターナイフも大活躍。
走り出す馬に、ギャーギャー大騒ぎしながら、しがみつくダンビ。そのうちに、何かに気づくのです。。このリズムって・・・
手綱を握りなおせば・・・“♪オッパ 江南スタイル”
最初、見たとき、大爆笑しました!
これで、馬を乗りこなせるようになったのは、朝鮮ではダンビただ一人でしょうね。
“江南スタイル”を楽曲使用できなかったのが、すごく残念です。
代わりに“馬を走らせよう”が流れてます。
分かれ道に来たところで、
<時間を追って走れ>
<朝鮮では、太陽が時間なのだ>
ヨンと世宗、二人の言葉を思い出すダンビ。
「時間とは太陽のこと・・・西に行くのね」
ほらね、こういうところが適応能力の高さなんです。
携帯のアプリで、東西南北を確認するダンビ。
足を引きずりながらも歩いてきた王妃と、胸を怪我したヨンが、ばったり遭遇。
ヨンをビンタする王妃。え?
「知ってたんでしょ。私はどうすればいいのよ」
「一人で歩いて来られたんですか?」
王妃を抱き上げ、道端に腰掛けさせると、足元を確認し、靴擦れの手当てをする。
「一人で我慢するのは大変でしょう」
ヨンを見る王妃の顔は、いつも悔しげで辛そうなの。
なにもいわずに、王妃を担ぎ上げるヨン。
「ちょっと。おろしてよ。王様を探しにいくんだから」
夕日が傾く海にたどりついたダンビ。
<この国の太陽といえば私のことではないか>
白馬に乗った王様が現れました。
馬を降りるなり、いきなり近づいてきた世宗、ダンビを抱きしめると、そのまま口付けを・・・。
すっかり恋に落ちた二人。
城に戻ってきたヨンと王妃の前に、立ちはだかるのは、閉じられた城門。
しかたなく、自分の家に連れ帰るヨン。
部屋に飾られた楽器を眺めるソヒョン王妃。
~回想~
「本当の鳥みたいでしょ」
「私が、音が鳴るように作って差し上げます」
子供のころから、器用だったヨン。
幼かった当時のヨンはソヒョンの家の下僕だったようです。
身分違いの初恋だったのね。
ひっそりと遊んでいた二人だったのに、いつしか成長していく過程で、身分の差を意識したヨンが徹底的にソヒョンを避けつづけ、現在に至るって感じでしょうか。
自分の胸元に血が付いていることに気づいたソヒョン。
庭の縁台で、自ら包帯を巻くヨン。
「貸しなさい」
強引に、包帯を巻き始める。
「あなたも大変ね。かっこつけちゃって」
~浜辺~
焚き火をしながら、話をする世宗とダンビ。
「あの日は、命がかかった試験の日で、本当に重要な日だったの。なぜ、ここに来たのか考えたんだけど、私が選んだのかも。朝鮮でもどこでもいいから、ただ遠くへ消えたかったの」
「“まだ来ない”と書いて、“未来”と読む。まだ来ていない所からきたという話を私に信じろというのか?」
うんうんと頷くダンビ。
「疑い深いわね、ほんとに。そろそろ信じたらどう?それじゃこれ見て」
星座のアプリを見せる。
「どうやって、天をこの中に入れたのだ」
「きれいでしょ」
「これがあれば、天を仰ぐ必要が無い」
突然消える携帯。
「ああ、バッテリーが切れちゃった」
「やっぱり消えぬもののほうが良い」
世宗の示すほうを見ると、満天の星空が。
「やっぱり朝鮮は違うわね。すごい星の数だわ」
「あの星たちが日付や時を教えてくれるのだ」
「未来では良く見えないの。1等星が何個か見えても、それ以外は存在感も無い」
「よく見ろ。最初は明るい星を見ていると、その周囲の星もだんだん見えてくるだろう」
「本当にそうね」
「実は星が輝いているのではなく、見る人の心が広がるのだ」
ダンビの手のひらに、「L・O・V・E」と指でかく世宗。
「私も・・・」と恥ずかしそうに答えるダンビに、「なにが?」と問い返す世宗。
「愛してるってことでしょ」
「いきなりなんだよ」
もう照れまくって、顔を手で隠してしまうダンビ。
なんだかよくわからないものの、ダンビの嬉しそうな笑顔を見て、つい微笑む世宗。
~さて、こちらのカップルは・・・~
「こんなに星が多いなんて知らなかった。・・・楽器が誇りまみれだったな。今からでも、掌楽殿に移ったらどうか?私の父に頼めば・・・」
急に立ち上がり、立てかけてあった古い楽器を斧で壊し始めるヨン。
「私はあなたの力になりたくて・・・」
唇をかみ締めていたヨンが、なにかを言いかけたとき・・・。
ぐ~~
ソヒョンのお腹が盛大に・・・。
つい最近、見た光景です(笑)。そっちは、ちっちゃいけど怪力の女の子でした。
~浜辺~
「L・O・V・E」
英字チョコレートを使って、
「“ラブ”って読んで、“愛してる”って意味なの」
「他国の文字か。そこでも独自の文字を使うのだな。遅れをとったようで気がめいる」
「気がめいるときはこれが一番よ。甘味」
「苦そうだからいらない」
「本当に甘いんだから。ひとつ食べてみて」
「余もいつか朝鮮の文字を作る、コサムのような貧民も、この複雑な朝鮮で楽に暮らせるように。だからお前に算学を習うのだ・・・」
~回想~
受験に向かうバスの中で開いていたページ
“ハングル文字を作った世宗大王”
「子音と字母の組み合わせには、算学が必要だ」
熱く語る世宗の話を聞いていて、急に思い当たり、1万ウォン札を取り出すダンビ。
「どうした?そんなに見つめて。いまさらなんだ。そんなにかっこいいか?」
それどころじゃないダンビ。偉人が目の前に。。。
って、数時間前には、ちゅ~もしちゃったけどね(笑)。
「王様は必ず文字を作れます。・・・すごいわ。サインでももらっておく?」
お札と見比べて、改めて興奮するダンビ。
「なによ。(実物のほうが)もっとかっこいいじゃない!」
「いまさら気づいたか? いつか、コサムに名前を書いてやろう」
掌のチョコレートを口に入れる世宗。
「わぁ~。この味は。わ~、一体、何なのだ?」
「おいしいって言ったでしょ」
止まらない。。。一口食べては「「わぁ~」」を繰り返す。
~ヨンの家~
揚げたての鶏をソヒョンに渡すヨン。
こっちも「わぁ~」です。
「一体、これは何なのだ?」
「さぁ、なんというか、“チキン様”?」
「チキンニム?」
ダンビ・・・さすがに鶏は捌けなかっただろうけど、フライドチキン作ってヨンや弟くんと食べたわね?
夢中で食べるソヒョンを見て、ようやく微笑んだヨン。
ちっちゃい頃から、食いしんぼだったんでしょう。
~浜辺~
「不思議なものが次々出てくるな」
「ほんと、私も不思議です」
リュックに入れた覚えのないチョコレート。
~回想~
入試の朝。庭先でダンビを引き止める母。
<ちょっと待ちなさい>
<なんなのよ>
黙って、このチョコレートをリュックに押し込んだのは母。
<私の娘ならきっとできるわよ。ファイティン!>
「オンマ・・・小さな頃、好きだったお菓子なの」
ただただ、口うるさく、うざくて仕方のなかった母のことが急に恋しくなる。
「(全部食べてしまって)申し訳ないことをしたようだ」
「違います」
涙ぐむダンビ。
「どうしたのだ?泣き止むのだ。王命だぞ」
<気がめいるときは甘いものが一番よ。>
ダンビの言葉を思い出すも、もうチョコレートは無くなっていて・・・。
チョコレート味の甘いキスをする世宗。
こんな粋な、甘ったるいことも出来る子だったんだねぇ。
涙がとまったダンビ。
~ヨン宅~
何か一生懸命描いているソヒョン。
明け方、ソヒョンがそっと一人で出て行ったあとに残されたたくさんの版木。
手にとって微笑むヨン。
ヨンがそれを並べて飾ると、昨晩見た満天の星空とそれを眺める2つの人影の絵が完成しました。
~浜辺~
こちらも夜が明けました。
諦めきれずに、まだ、砂浜に計算式を書くダンビ。
そんなダンビをじっと見つめる世宗。
磯の水溜りで、顔を洗おうとしたダンビ。
ヨンから注意されたことを思い出す。
ふと、サインペンで持ち上げた藻。
~回想~
ここに来た日に見た干上がった川にも、一部大量の藻が発生して流れを止めていたことや、それを掬い上げ、取り除こうとしているおじいさんの姿を思い出すダンビ。
<藻に罪はないが、人間の都合で、自然の性質に陥れられたかのように感じるだけだ。>
急ぎ、王宮に戻るダンビと世宗。
「暑い時期なのに、水を溜めたから、苔で水が流れなかったんです」
水時計の苔掃除をするダンビ。
「ちゃんと一定間隔で流れれば計算どおりです」
笑顔を見せる世宗。
「私ひとりじゃ無理でした」
「早く来てください」
「指図するなよ。褒美は山分けだぞ」
自動水時計のパーツを分解して運ぶダンビとヨン。
水時計を正式に、王宮に設置したダンビと世宗。
「水時計を製作した逓児職を従四品に、コサムを免罪にする」
一応、納得する高官たち。
「申し上げにくいことですが、身分の低いコサムは王宮外に追放すべきです」
なんとしても、コサムと王を引き離したい王妃の父が進言をする。
「もし、身分が問題なのであれば、官職を与えてはいかがでしょうか」
お、反対派だった高官(キム・ガプスssi演)が助け舟を。
「正三品はいかがでしょうか」
意外な申し出に驚く世宗。
「太監、一体誰の味方なのですか?」
「私は民の味方です」
父親そっくりの高官の筋の通った考え方を、建物の陰で聞くダンビ。
そんなダンビを迎えに来た世宗。
恋人つなぎで連れて行かされたところは、王の部屋。
九九も大分上達し、ダンビ危うし。“デコピン”の代わりに“デコちう”です。
ラブラブは止まりません。
「見てください。こうやって、太陽の周りを地球が回るんです。意味わかります?」
首を振る世宗。
自分の、髪留めのゴムをはずし、太陽系の周期表上で星の動きを見せるダンビ。
髪を降ろして、女性っぽい雰囲気になったダンビから目が離せない世宗。
「水星、金星 これが地球で・・・火星、木星、土星・・・」
「金星・・・もう一度言ってみて」
「・・・金星」
なにかメモし始める世宗。
「聞いてます?」
「ああ」
「この星たちが太陽の周りを、回るんです」
「ああ、お腹ぺこぺこだわ」
勝手知ったる台所、でも先客がいました。
「・・・ソウ」
「し~~」
大食漢の王妃にカップラーメンをご馳走する。
「辛いでしょう」
水を勧めるダンビ。
「このくらい平気よ」
意地っ張りな王妃。
「私の友人にそっくりなんです」
「・・・私も、なぜか親しみを感じる・・・。未来国の人は本当に何でもわかるのか?」
「ううん、そんなことない」
ギロリと睨まれる。
「・・・です」
おもむろに 女性の立ち姿の絵を見せる王妃。
「チマ(スカート)を星空のように塗りたいのじゃ。色が見つからぬ。」
「ああ、他の人のSNSで見たアイデアなんですけど」
カッターナイフを取り出したダンビ。
「そんな刀は、はじめて見るぞ」
「どの部分を塗りたいんですか?」
「ここと、ここを帯のように」
言われたとおりに、チマの部分を切り抜くと、夜空にかざす。
刳り貫かれた部分と星空が重なって見える。
「うわぁ、なんて不思議・・・。きれいだわ」
王妃の心からの笑顔を、隣で嬉しそうに見つめるダンビ。
「何をおっしゃっているのですか?」
王妃の申し出に驚愕する父。
「王様とあの者を、一晩すごさせるですと?」
「受け入れるほかはありません。私を信じ、お待ちいただきたいのです」
「そこまでおっしゃるのであれば、もちろん、そういたしますが・・・」
じっと考える王妃。
「いっそ追い出してしまえばいいものを、なぜ、そのような愚行を・・」
「今回の件、私が解決をしたいのです。」
久しぶりの入浴。
「良い官職が付くっていいわねぇ」
湯舟に、花びらが浮いているわけに、そろそろ気づきましょうか、ダンビちゃん。
あれだけオンマと時代劇、見てたでしょう?
史実はどうであれ、ドラマではお約束です。
~王太后の部屋~
談笑している大妃と王妃。
「王様のお成りです」
「王様、大妃様にはすべてお話いたしましたから、もうお隠しになる必要はございません。あの者のことでございます」
「殿下、あの者を官職ではなく、側室に致しましょう」
すっかり、お化粧も含めて、身支度を整えられたダンビ。
「あの~、私、一体どんな官職になったんですか?」
「殿下が、“花の眠り”を準備するようにと」
「“花の眠り”? “花の眠り”ってなんですか?」
文字通り・・・初夜のことです(笑)
「げ~~」
脱走するダンビ。
「正気なの?側室って、チャン・ヒビンでもないのに」
<夜伽の後、ヒビンに封じましょう>
ダンビのもとに急ぐ世宗。
「申し訳ございません。王宮からいなくなられました」
女官の報告に、黙って、先を急ぐ世宗。
『集賢殿』にかくれることにしたダンビ。ほどなく世宗も到着。迷路のような廊下を逃げ惑うが、結局見つかってしまう。
王の居室の、寝所の布団に投げだされるダンビ。
「オモ、オモ・・・女だってわかったら追い出されるって言われたんです。それに、
そっちが最初に“友達” だって言ったんでしょう?私、まだ19歳なんです。」
半泣きで、必死に言い訳を並べ立てるダンビ。
「なに、そうなのか?19なら、子供が3人いてもおかしくない頃だな。うそばかりついているから、直接確かめてやってもいいぞ」
「うわぁ、うわぁ、うわぁ、」
貞操の危機に、カッターナイフを取り出し、ぐいと刃を出すダンビ。
そんなダンビの様子を楽しそうに見つめ、安心させるようにやさしくハグする世宗。
「女性だと気づいておらぬと思っていたのか? 何度もこうしていたのに、余はそんなに馬鹿者か?」
実際には、ヨンの家で、弟くんが「ヌナ」って呼んでたのが決定的ってこと?
「黙っていたのは近くにおいておくためだ。女だと知れたら、周囲の目もあるゆえ、無理であったろう。さて、どうしたものか?母上はヒビンにしたいようだが。うちの母は頑固で誰にも止められない」
ツツツツツーとカッターの刃が再び伸びて・・・(笑)
「心配するな。急いだりはせぬ。皆が血眼で探しているからここに隠れていなさい」
ツツツツツーとカッターの刃がしまわれる・・・(笑)
「ここなら、誰も入ってこれない(=ふたりっきり)」
ツツツツツーとカッターの刃が再び伸びて・・・(笑)
「大丈夫だ。今から公務だ」
立ち上がる世宗。
「あ、もう言ったかな、まだだったか・・・。今日の・・・お前、綺麗だ」
咳払いで照れ隠しをした世宗が出て行ってから、ツツツツツーとカッターの刃がしまわれる・・・(笑)
夜・・・王の布団にはダンビ、ついたてを隔てた裏側に世宗が寝ています。
「寝たか」
「わ、びっくりした!」
「なんで寝たふりを?」
「話しかけられたから起きました」
「この状況で、よく寝れるな。やっぱり男なのか?確かめるか?」
からかうのが楽しくてしょうがない世宗。
「うちの母はいまだに聞いてくれぬ。余を信じられておられぬようじゃ。何かにつけて、口うるさい」
「私の母もそうです。」
「次の雨が降っても行くな」
きゅん・・・
「え・・?」
「雨を降らすために使い物になると思った。国政のために必要なのだと。でも今はそうじゃない。」
「何の取り柄もないってわかったからでしょ?」
「余が言いたいのは、お前が傍にいればそれで十分だってことだ。お前が必要だからじゃなく、ただお前だけで十分だと。そばにいてくれれば それで十分」
胸がいっぱいになって、反対側に寝返りを打ったダンビ。
「よし、もう寝よう」
ついたてを回って、結局、ダンビの腕枕で眠る世宗。
世宗の寝顔を見つめるダンビ。
~ヨンの作業場~
「今度は、朝鮮の暦を作りたいそうだ。お前のせいで夜勤続きだ」
ヨンから、嫌味を言われるダンビ。
作ってるのは、渾天儀の試作?
爆薬を触っていて、手に汚れのつくダンビ。
「ああああ」
「まったく、世話の焼ける奴だな。これで拭け」
手桶の油を渡される。
「世宗大王に、チャン・ヨンシルか・・・」
まじまじとヨンの背中を見つめるダンビ。
「偉人ばかりで羨ましいわ。私にはなにもできない」
「そんなやつが後宮に入るなんて、それ以上の出世があるかよ」
「チャン・ヒビンみたいに悪女になるなんて。そんなこと考えたこともなかった。それに、なんだか歴史に影響が出そうで心配だし。私のせいでハングルが作れなかったりして・・・」
「なにぶつぶつ言ってんだ」
「ああもう。心配する理由があるの。何もしらないくせに」
「後宮に入れるのだって、王妃様には苦渋の決断だったはずだ」
おお、やっぱり、ヨンは王妃の理解者ね。
「でも私、帰らなきゃいけないし・・・」
「本当に帰りたいのか?」
それもまた本質をつく一言で・・・。
「私って、ホント使えない」
ため息をつくしかないダンビ。
~世宗の居室~
特注か海外製か・・どっちにしてもダンビへの簪(かんざし)ね。
似顔絵の描かれたみかんに当ててみる世宗。
「似合うだろうか・・・」
渡すときの言葉をあれこれ練習中。
「余の傍にとどまり、この朝鮮で共に暮らそう」
照れてるけど、想いは真剣なんだよね。
その頃、書庫で、リュックから『数学の定理』を取り出すダンビ。
「ここにいたのか」
そこに現れたのは王妃。
すっかり打ち解けた様子の2人。
「お前に会いたいという人がいる」
連れてこられたのは大妃のもと。
一目見て、自分のオンマにそっくりで、泣き崩れてしまうダンビ。
子供のように声を上げて泣くダンビを困りながらも優しく慰める大妃。
~王宮の庭~
夜、外に設置された渾天儀を見ている世宗。世宗のそばに灯篭を置こうとして、邪険に追い立てられる内侍長が片足を引きずるのを気にして、目で追うダンビ。
そのダンビは、着物ではなく、高校の制服姿に着替えている。
「どうだ?これが朝鮮の星座アプリだ。この渾天儀で、朝鮮の朝鮮だけの暦法が研究できる。また助けてもらったな」
無言のダンビ。
「どうした?また不細工な身なりに戻ったな。やはり、衣服は重要だな。顔もむくんでいるし・・」
ぱっとダンビの顔に視線を合わせる世宗。
「泣いたのか?」
首を横にふるダンビ。
「顔が不機嫌そうなのは気に入らないが・・・」
ダンビの手を取る世宗。
「とにかく行こう。お前に見せたいものがある」
後半戦に入りました。
『江南スタイル』には、最初見たときから、大爆笑でした。
あと、カッターナイフが貞操の危機バロメーターになるところとか。
半分、逃避行のような状況で、お互いの気持ちをしっかりと確認できた世宗とダンビ。
夕日から夜にかけての浜辺のシーン、素敵でした。
ヨンとソヒョン(昭憲)の2人も、なんか良かったです。
現実離れしてても、ロマンスはロマンス・・・。
ぶっきらぼうなのに、器用で頭も良くて武芸にも長けていて、世話焼きオッパキャラのヨン。
キャラもご本人も、2番手にしておくのがもったいない(笑)
(まだ新人君だもんね。これからが楽しみです。)
世宗の愛が本気だと伝わるほど、朝鮮でのダンビの立場は複雑になってきて、自分で思ってるより遥かに賢いダンビは、歴史への介入に対する不安を漠然と感じる。
だんだん気持ちがかたまりつつあるようで、世宗の前で、どうしても笑顔が少なくなってしまう。
ここらへんは、『月の恋人 歩歩驚心 麗』のヘスにすごく通じてます。
ただひとつ違うのは、ダンビの場合は、どうすれば、現代に戻れるのか、最初からわかっているところ。
自分の決心次第なのです。
次回で完結です。