長くなりましたので、今回は、3分割です。

『力の強い女ト・ボンスン』第10話(1)はこちらから。

 

■ 第10話(2) 숨은 마음 찾기 隠れた心の検索 

 

~ボンスン自宅~

鼻歌交じりに、服にアイロンをあてるボンスン。

そこへ、オンマが入ってきました。

「あんた、なんで、病院にいかないの?」

「オンマ、寛大な社長様は、私にこう言ってくれたのよ。今日は、明日のために、自宅でやすめって」

「じゃ、アンソバンの面倒は誰が見てるのよ」

「さぁ、一人でなんとかするわよ。ああ、一人で過ごさせるのはかわいそうかな・・・。彼はすっごく寂しがり屋だから。でも、それを誰にも言わないの」

「わかったわ。私が様子を見てくるわ。いいから、あんたは、ここにいなさい」

 

~ミニョクの病室~

「はい、あ~ん」

ボンスンの代わりに、オンマが来ちゃって、困り果ててるミニョク。

しかたなく、口を開けます。

「うちのボンギから、もう今日から、食事をとっても大丈夫ってききましたよ。この鶏脚は、ボンスンの大好物なんですよ」

辛くて、飲みこめないミニョク。

「若いのに、珍しいでしょ。はい、あ~ん」

「ありがとうございます」

ミニョク、あまりの辛さに悶絶。

様子を見に来たボンギ。

「明日、退院だそうですね」

「え?」

「退院ですって?」

「ああ、傷もたいしたことありませんし、仕事もたくさん溜まってますから」

「オンマ、手術用の手袋で、鶏脚食べさせるの、やめてよ」

「なにいってるの、この手袋が一番いいのよ。 社長様、もっと食べますか」

「いいえいいえ」

「遠慮なさらなくてもいいんですよ。 私たちの間で、そういうのはなしにしましょうよ。ね?」

遠慮じゃなくて、本心です(笑)

「まぁ、本当に食べっぷりがいいこと」

ボンギも見ていて、ハラハラしてます。

 

水もなくなってしまって・・・大ピンチ。

「あら、水がほしいのね? ちょっと待ってて。すぐに持ってきます」

オンマがいなくなると、すぐさま立ち上がり、ボンギに縋りつきます(笑)

「お願いだから、お母さんを帰らせてくれよ。家に帰るよう、言ってくれよ」

「俺からは言えないです」

なんで???

「母は、他人のいう事を聞くような人じゃないんで。では・・・」

まだ、ファン・ジニという人間をよく理解してないミニョクです。

みかんの水分で、なんとかしのごうとするミニョク。

「ああ、これはこれで、酸っぱいぞ~」

 

病室から出てきたペク・タクと顔を合わせるオンマ。

深々と頭をさげるペクタク。

「まぁ、お顔が台無しね。」

「それは、まぁ、なんというか、でも、なぜ、また、こちらにいらしたのですか?」

「うちの娘、アインソフトで、明日から正社員として勤めるんです。ですから、私が代わりにきたんです」

「正社員・・・」

 

「でも・・・そのお顔、私が殴っていたら、そこまで傷付けなかったと思いますよ。あらあら、まぁ、アイゴー」と、触るオンマ。

「あ、痛いです」

「なんで、あんな悪いことを・・・?」

「あなたの御嬢さんが、うちの奴らを傷付けたんです。私は、うちの評判を取り戻そうとしただけなんですよ。でも、間違った選択でした。本当に申し訳なく思っています。あいつらには、武器を使わないよう、指示もしていたんです」

「もういいですよ。そのことは伺いました。 あなたの顔は、とても怖ろしいくらい・・・ひどい状態ですよ。茹でて15日くらいたった豚の頭みたい」

「なに? 豚?」

「どこを一番、痛めたのですか?」

「視力です・・目を閉じていても開いるように感じますし、開いていても閉じているような感じです。あなたの姿は霧のようです、奥様」

いきかけて、病室を覗くオンマ。

「まったく、私の娘にひどいことをしようとした連中ね。あの彼なんか、どうやって、食事をするのかしら。ひどいありさまね」

ペク・タクにドアを閉められてしまいました(笑)

「ホントに、恥ずかしいやつらだ。」

 

げ?ミニョクの病室に、オンマが泊りこみ?

ミニョクの寝顔を嬉しそうに眺めるオンマ。

「まぁ、なんて、きれいなのかしら。 よかったわね、ボンスン」

 

突然の寸劇ですが、この間のパターンでいくと、これは夢です。

「おお、ロミオ、ロミオ」

バルコニーのシーンです。

ミニョクのロミオが、韓国語をしゃべるのに驚くジュリエット。

「あなたは女の子が好きなのですか?」

「もちろん、気が変になるくらいの女好きですよ」

あはははは~~。

 

急に、キスを迫るロミオ。

それにこたえようとする・・・ボンスン。

寝ながらキス顔のボンスンをみて、ギョンシムが呟きます。

「あ~あ、恋しちゃって。どんな夢みてんのよ? やぁ、ボンボン、そんなに欲求不満なの?」

直前の夢だから、きっと覚えてるはずよね。

「起きるわ・・・」

 

颯爽と出勤するボンスン。

 

退院したミニョク・・・え?朝っぱらから、バッグを買いに来ましたよ。

あれ、このバッグ、どこかのドラマで見た! どこだっけ? ああ、思い出せない。

 

スキップしながら入ってきた会社のロビーで、ゴン秘書が、レイと、くす玉でお出迎え。

「新部署への異動、おめでとうございます!」

コネ人事とかって、虐められるんじゃなかった?

 

社長室にくると、すでにミニョクの姿が。

「ここで何を? もう退院されたんですか? まだ、自宅で過ごすのは無理じゃありませんか?」

「まぁな、でも、選択の余地がなかったんだ。退院しないと、お前は、病院から抜け出そうとするからな」

「え?」

「いいよ、忘れろ。アインソフトの開発企画チームの一員だな、おめでとう」

「ありがとうございます」

本当に嬉しそうなボンスン。

「ああ、これを」

「え? これ、なんですか?」

「見てみろ。」

「こんなこと、していただかなくても・・・うわ~」

箱を開けると、グレーのバッグと社員証が。

社員証まで、首にかけてあげるミニョク。

「がんばれよ。期待してるからな。バッグは俺からの贈り物だ。祝福するよ」

「でも、この写真はイマイチですぅ」

「履歴書から取ったんだ。面接のとき、提出しただろ」

「社長様、私、絶対、がんばります! 一生懸命働きますから」

「楽しみだな」

「で、私はどこに行けば? どのチームに配属されるんでしょうか」

「ん? ああ、お前はお前の仕事をしないとな。さぼったりしたら、すぐクビだぞ。わかったか」

嬉しくて嬉しくて、キラキラしてるボンスンをまともに見れないミニョク。

 

さて、ここからが、今日の本題です(笑)

ジャジャ~ン。

ラブリーなボンスンの学習机の横に、新たにパーティーションが設けられました。

手作り感満載の部署名が。

  팀장  右矢印   チーム長 

기획개발 대기팀 企画開発待機チーム 

左矢印인턴       インターン

 

ん?

「やっぱり、なんか変だなと思ったんです。。。世の中、そんなに、うまくいくはずがないですよね。」

途端にテンションが落ちるボンスン。

 

「お前は知らないだろうから、念のために言っておくが、わが社の開発企画チームには、賢くて優秀な人材がそろってる。今のお前をすぐに配属させれば、みんなは、俺のお気に入りを無理やり押し込んだコネ人事だと言うかもしれないだろ? 俺は、お前が虐められるのを見るのが忍びないんだ。だから、ここでしばらく、インターンとして訓練する」

「上司もなく・・・同僚もなく・・・一人で仕事をして、一人でランチを食べて・・・全部全部、一人なんですよね。」

「そんなことないぞ、ちゃんと上司はいる」

え?顔がほころぶボンスン。

「本当?」

「もちろん、俺の会社は優秀な人材が揃ってるって言っただろ。」

「紹介してください」

「待ってろ。 よし、入れ!」

手を叩くミニョク。

「チームリーダー・・」期待度満タンなボンスン。

「なんで入ってこないのかな? って、それは俺だから」

 

そう簡単に、手元から、離すわけないじゃん。

 

「よし、自己紹介でもするか。それから、会議をはじめよう。はじめまして。一時的なチームリーダーのアン・ミニョクです。」

握手をもとめるミニョク。

「・・・ト・ボンスンです(涙)」

「ああ、良く知ってるから、続けなくていいぞ。」

「あなたが、自己紹介をしろ・・・って」

「よし、会議をはじめようか」

「あの・・・ふたりの場合は、“会議”とは言わず、“会話”なのでは?」

ナイス突っ込み爆  笑

 

「そうか? ああ、じゃ、もうひとり招待してみよう。そんなに大したことじゃないのに、何が問題だよ」

ぶつぶつ言いながら、電話で「ちょっとこっちに来てくれ」と指示します。

入ってくるゴン秘書。

「ここに座れ。 よし、これで3人だ。これならいいだろう? そこに座れ」

こんなのいや~~~~。

倒れこむボンスン。嬉しそうなミニョク。

 

 

~駅の近くを歩いているボンスンオンマ~

「ああ、オンマ。」

ボンスンオンマの電話の相手は、おばあちゃんのようです。

<もうすぐ着くよ>

「そうなの? 持ってきてくれた? ああ、そう。あとでね。」

電話を切るオンマ。

「それにしても、やっぱり、仏様を信心していてよかったわ、仏様が送って下さったのね。ふふふ、アンソバン、可愛いかったわ。」

 

~社長室~

ため息しかつけないボンスン。

「さ、会議を始めるぞ」

そのとき、ノックの音。

「お入りください。」

入ってきた人物をみて、ボンスン、棒立ちになって、固まりました。

<なに?これ? こんなことってある? ドッペルゲンガー? じゃなければ、幽霊みたいな複製? 他人のそら似?>

キム・クァンボクそっくりの、おかまさんが、しゃなりしゃなりと入ってきました。

「これが、明日のプレゼンテーション用の資料です」

当たり前のように、ミニョクにファイルを手渡す。。

「このグラフィックコンセプトは、提出する前に、チームリーダーに確認させただろうな?」「もちろんです」

「ああ、さすがだな。お疲れ様」

「はい」

小芝居しながら、出ていくキム・ウォネ氏(笑)

 

「今の・・あの方・・・名前はなんとおっしゃるんですか?」

「ああ、彼は、プロジェクトリーダーの一人、オ・ドンピョンですよ。これからの仕事でも、関わりますよ」

「もしかして、双子の兄弟がいらっしゃるとか?」

「さぁ、そんなことは聞いたこと覚えがないですよ。一人っ子だから、寂しかったとか、前に聞いたことがありましたね」

教えてくれるゴン秘書。

「さ、会議を始めるぞ」

「はい」

そこへ、ゴン秘書に電話・・・。

「ちょっと失礼します」

もともと、ゴン秘書、関係ないもんね。

「まず、ト・ボンスンさんがすべき・・・」

まだ、クァンボクショックから立ち直れてないボンスン。

「あ、はい」

「おい、しっかりしろよ。 おまえが開発したいゲームはなんですか?」

「あの・・・ゴン秘書様を待たなくてもいいんですか?」

「忙しいときは、中座することもある」

「ああ、そうですか」

「いってみろ。お前が作りたいゲームはどういうゲームだ?」

「はい、私が作りたいゲームとは・・・現実ではありえない、暴力的ではない、教育的で豊かな音楽性のあるものです。言い換えれば、健全なゲームを開発したいんです。」

「・・・となると、まったく儲かりそうもないな」

「そんなことありません。絶対、ヒットします。だって、幼稚園児からお年寄りまで、誰もが遊べるんですよ」

「園児や年寄は、ゲームに金をかけたりしないものだが・・・。」

否定されておもしろくないボンスン。

「ま、最初の会議としては成功だな。今日のところは、このへんにしよう。」

「え? まだ、なにもしてませんよ」

「何言ってるんだ。すごく生産的な会議だったじゃないか?」

「どこが生産的だったんですか? 具体的には?」

「チーム・リーダーとして、ト・ボンスンさん作りたいゲームが把握できたってことだろう?」

「それがわかったからって、このあと、どうなるんですか?」

「俺は・・・CEOにこれをプロジェクトとして提案書を提出するつもりだ」

「CEOにですか? 本当に? CEO・・・ああ、もう! どうしろって言うんですか? もうこんなお芝居はやめましょう。意味わかんない」

「会議も終わったことだし、トイレとか、休憩してきていいぞ。」

「トイレ? トイレなんて、私、行きたいときに行きますけど、今は行きたくないですよ」

「いや、まず行ってきたほうがいい。気分転換だ。インターンなら、自分の本能くらいコントロールできるだろ?」

「トイレ・・・」

「ああ、 急げよ」

 

社長室から、出てきたところで、さきほどの、オ・チームリーダーから呼び止められたボンスン。

「やぁ、 どこいくの?」

「トイレですけど・・」

「待ちなさい。」

「はい」

「ちょっと、ついてらっしゃい。」

会議ブースに入りました。

「ドアしめて」

「はい」

「ねぇ、そこでなにしてんの。もっと近くに来なさいよ」

近づくボンスン

「ストップ。気を付け! ト・ボンスン?」

「はい」

「ねぇ、秘書でもないくせに、社長の一番近くにいるあんたは何者なの? あんた、そんなに可愛いの?」

「え? いえ、そうではなくて。社長様が、私がプロジェクトチームに入る前に、インターンシップ期間が必要だっておっしゃったんです。」

「なによそれ。とんでもないわ、マジで。インターンシップって何よ。やぁ!」

「はい」

「もっと大きな声で返事できないの?」

「はい!」

「私はね、この部門のトップなのよ」

ヒステリックに叫ぶオカマに、驚くボンスン。

「あんたが、社長のお気に入りだって聞いたけど、私はそんなの気にしないわよ」

「違います、お気に入りだなんて、そんなこと」

「よくも、この私にそんな口がきけるわね、小生意気な女ね。」

手を出さないものの、半端なく威嚇されるボンスン。

「よく聞きなさいよ。私についたほうがいいわよ。なぜかわかる?私を経由せずに、うちのプロジェクトチームに入ることはできないのよ。警告しとくわよ。 でしゃばらないことね。」

「はい・・・」

退出したかと思ったら、またすぐに戻ってきたオ・チーム長。

「あんたは、 社長から離れてなさい!」

「あの・・・すみません。もしかして、双子のご兄弟がいらっしゃいますか?」

絡まれても、ボンスンの興味はそこなのね(笑)

「××××」

さすがに、一人になると

「なに、あの人・・怖い」

 

(本当の)「開発・企画部 プロジェクトチーム」

うらやましそうに見つめるボンスン。

 

ゴン秘書のオフィスに立ち寄るボンスン。

「少し、ここにいてもいいですか」

「なぜ? あなたのオフィスは、あっちでしょ」

「ちょっとだけここに居たいんです。気にしないでください」

「ダメですよ、さっさと戻ったほうがいいですよ」

「ほっといてよ」

<ト・インターン!>

<ト・インターン!>

オペラ調で、ミニョクから大声で呼ばれるボンスン。

「わかってます。すぐ戻ります!!」

<ト・インターン!>

すごすごと、戻っていくボンスン。

電話しながら、つぶやくゴン秘書。

「なんで、社長は、彼女をいじめるんだ?」

虐めてないよ、好きなんだよ(笑)

「彼女の身代わりで刺されたから、復讐したいのかな」

ああ、あなたがミニョクの秘書で、本当によかったと思います。

 

「おお、来たか?」

「はい。なぜ、お呼びになったんですか?」

「よし、これからの仕事についてどう考えてる?」

「・・・仕事もなにも、まだ、始めてもいないので、わかりません」

「俺は、新入社員歓迎会をやろうと思うんだ。出席できるか?」

「歓迎会?」

「ああ」

「私たち、ふたりだけで?」 

「ああ。だから、お前が行かれない日はだめだろ?」

「必要ないように思いますけど。歓迎される気分でもないですし」

「なんでだ? この仕事環境のどこに問題がある?」

 

そこへ、ゴン秘書がノックで入ってきました。

「すみません、電話が長引きまして・・・」

「ゴン秘書様」

「はい」

「うちの会社の社長様に伝えていただけませんか?」

「はい???(社長様なら、すぐそこに・・・)」

「これは、あまりにも、最初に約束していたことと、違ってます。 こんなの馬鹿げてるって、社長様に伝えてください。それから、本当の仕事をさせてくれるように頼んでくださいね。ありがとうございます!」

言いたいことだけいうと、自分の学習机に座ってしまいました。

あ、ラブリーなパーテーションで、視線も遮りましたよ(笑)

思わず、笑ってしまうミニョク。

 

★第10話(3)に続く★